CASE STUDIES

導入事例

人事統合システム ADPS 導入事例
名港海運株式会社様
名港海運株式会社様

■所在地:愛知県名古屋市 ■業種:物流 ■従業員数:社員855名、連結1,914名(2023年9月現在) 
■導入ソリューション:人事統合システム ADPS

人事統合システム ADPSの機能と
手厚い保守体制により業務効率化が加速
グループ会社を含む複雑な給与体系にも対応

1949年の創業以来、名古屋港での港湾運送事業を中核に事業を展開し、海・陸・空の輸送ニーズに応える総合物流企業として大きな社会的役割を果たしている名港海運株式会社。
名古屋港において輸出入の取り扱い量や倉庫面積でトップの実績を誇るほか、アメリカ、ヨーロッパなどにも海外拠点を置き、国際的なスケールでの物流に多大な貢献をしている。
同社ではさらなる成長をめざすため、2025年に向けて新たな人事制度の構築に取り組んでいるが、それに先駆けて人事・給与システムも刷新。2021年10月から『人事統合システム ADPS』を導入した。
複数の職種と複雑な給与体系がある中、管理業務を効率化するツールとして力を発揮している。

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名港海運株式会社 本社

課題は保守体制の充実と
評価のペーパレス

今、名港海運株式会社は新しい人事制度の抜本的な改定に取り組んでいる。それまで2006年に制定した人事制度をマイナーチェンジしながら改善し運用してきたが、昨今の働き方に対する価値観や社会情勢の変化といった時代の流れに即した制度をめざし、抜本的な改革に舵を切ろうとしている。

その狙いとポイントについて、同社人事部の栗原寛明氏はこう語った。「社員が高いモチベーションを持って働ける環境にしたいと考えています。そのために年齢や性別に関係なく役割に見合った報酬体系を整え、それに合った評価制度に変えていくことが重要だと考えており、人事のコンサルタントにも入っていただきプロジェクトを進めている最中です。2025年にスタートできればと考えています」

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人事部で制度改定、企画を担当する栗原寛明氏

同社のような港湾での物流事業を営む企業は、年功序列など昔ながらの人事制度がまだ残っている業界でもある。時代に則した制度にいち早く変えていきたいというのが同社の考えである。
こうした中、2001年に導入された前システムの保守期限を機に人事・給与システムの刷新が検討され、カシオヒューマンシステムズの『人事統合システム ADPS』を導入した。長い間、使い慣れたシステムを変えたのはなぜか。その理由について栗原氏は前システム時代にあった課題の解消と語った。

「大きな課題としては保守体制でした。レスポンスのスピードや対応の質の面でストレスを感じていました。たとえばこういう計算式を考えているが…とシステムベンダーの担当SE(システムエンジニア)に相談してもすぐに対応してもらえなかったり、過去の経緯や情報が引き継がれていないため、あらためて説明しなくてはいけなかったりと、煩わしい思いをしたこともありました。また、頻繁にあるリビジョンアップ作業を弊社の情報システム部門が行う必要があったことも大変でした。最終的には相談はコールセンターでの対応のみという契約に変わり保守体制への不安は大きかったですね」

その他の課題として栗原氏は評価のペーパレス化も挙げた。当時は年2回の人事評価は紙で行っており、評価の度に社員分の約800枚の紙が人事部に送られ、業務を圧迫していたという。

後継システムの選考にあたっては、前述の課題をふまえて2つのシステムが検討され、ADPSのAdvance Edition Smartが採用となった。決め手になったのは、保守体制だったと栗原氏は振り返る。

「勤怠管理、所得税や社会保険等、人事業務を熟知したSEやリモート保守、それにリビジョンアップも任せられるということで手厚いサポート体制への安心感は大きかったですね。また、前システム時代に給与や賞与などの支給明細書、源泉徴収票などを従業員向けにWEB配信するADPSと親和性の高いシステムを使っていたこともあり、決定要因になりました。弊社の紙の評価フォームを、人事評価ペーパーレスシステムに落とし込んでサンプルを作成してくれるなどADPSへの信頼は高まっていました」

導入は1社だが、実態は複数の
グループ会社への同時導入

こうして2020年の年末から移行作業がスタートした。名港海運株式会社はグループ会社も多く、各社の意見の取りまとめなど段取りでの調整段階では苦労はしたものの、無事に2021年10月から運用が開始された。
この時期はコロナ禍であったが、両社間で十分にコミュニケーションをとり、データマッピングもカシオヒューマンシステムズ側で行うなど、万全の対応でサポートを行った。
名港海運株式会社およびグループ会社の人事管理体制は複雑で独特である。事務系社員と作業系社員で分けられており、名港海運株式会社が管理するのは自社とグループ各社の事務系社員で、作業系社員はグループ各社の管理部が管理している。
特に作業系社員の給与は事務系社員のように固定ではなく、勤怠にひもづく様々な手当によって異なるうえ、職種も多岐にわたるので給与計算は複雑である。「複数のグループ会社にまたがり、複数の職種の給与体系があったため名港海運株式会社1社の導入ではありますが、実態は"複数のグループ各社へ同時に導入する"サポートを頂いたと思っています」そう栗原氏は導入時のカシオヒューマンシステムズの対応を評価してくれた。

カシオヒューマンシステムズ 導入事例ページ 名港海運株式会社 名港海運株式会社およびグループ会社の人事管理体制

名港海運株式会社およびグループ会社の人事管理体制

イベント機能やCSVでの取り込みで
時間短縮や人的ミス防止が実現

新たな人事・給与システムとしてADPSが導入され、どのような成果が生まれたのか、実際にADPSを使用する吉岡明奈氏に伺った。吉岡氏は栗原氏から給与賞与計算処理、年末調整処理の実担当を引き継ぎADPSで業務を行っている。

「操作を行う上で一番便利なのはイベント機能ですね。給与計算業務にも手順があって、たとえば1から5の業務フローを順番に処理してチェックをすればそれで終了というわけではありません。ある社員に修正や変更があると5から3に戻って処理を行うというケースがよくあります。そういう時にはイベント機能が役に立っています。最初に1から5までの業務フローを組んで計算を行い、その後に3に戻って対象の社員だけを選び出して3から5の処理を行います。業務フロー(イベント)単位で履歴の保存もできるので後から気になる対象者の確認や作業を途中から呼び出して行うことで、作業を効率的に進めることができるようになりました」

※イベント機能:人事情報管理、給与計算、採用管理など、人事部門の多岐にわたる業務を「イベント」というスタイルにまとめ、各業務の流れに沿ってナビゲートする機能

吉岡氏によればこうした機能は前システムにはなかったため大きな時間短縮ができるようになったと言い、特に年末調整にはイベント機能は欠かせないと話す。また、社員番号をCSVで取り込むことによって効率化が図られたとも語った。

「社員番号を数百人入力するとなるとヒューマンエラーのリスクは大きいですが、あらかじめ元データからコピー&ぺーストして社員番号をCSVにしておけば、とても作業が楽でミスも起こりません。作業する対象者を画面上に呼び出すのに毎回社員番号を手で打つ手間が大変で、年末調整で300人ほど処理したのですが、ADPSだと自動的に1分で取り込んでくれます」

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導入後、最もADPSを使用している吉岡明奈氏

その他、データ加工と出力について栗原氏はNextCELLによる利便性の向上を挙げた。「前システムではデータの加工は私たちが考えて行っていました。NextCELLは出力した時点で、ADPSにある諸データを出したいようなレイアウト、書式で出せ、しかも最初に計算式や条件付き書式等を埋め込めるので大変便利です。忙しい時期は加工する時間が惜しく、その負担が解消されるので生産性は向上できていると思います」

※NextCELL; データベースから必要なデータを検索・抽出し、多彩な帳票を自動作成できるExcelのアドインツール。

ADPSを導入したことで、給与計算業務の効率化を実現することができたのはもちろん、導入前の課題であった保守への不安とペーパレスについても改善することができた。

「ADPS導入後はリビジョンアップの際に情報システム部門に依頼することがゼロになりました。導入時から関わっていただいているカシオヒューマンシステムズのSEさんが迅速に対応してくれて助かっています。また、コールセンターも良く活用しています。NextCELLでこういう帳票を出力したい等と色々と相談しています。もっと活用したいですね」と栗原氏は保守の充実に満足をしていると語った。さらに評価のペーパレスも実現でき、業務負担が軽減されるなど導入の成果を実感していると言う。

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社員が高いモチベーションを持てる環境の実現に取り組む人事部

年齢、性別に関わらず皆が活躍できる人事制度をめざす名港海運株式会社。その取り組みにどうシステムを活用していくのか、これからの抱負を聞いた。「次はタレントマネジメントシステムの検討もしていきたいと考えています。年齢や性別に関係なく良い人材を人事部や部門長が発見したり、配置や育成をしたりできるツールとして活用するだけでなく、社員同士で「こういう仕事を経験したことがある人がこの部署にいるからアドバイスを聞いてみよう」というように活用されれば、一人ひとりの経験やスキルといった情報を余すことなく活用できるようになると思います」
早ければ2025年の春に新しい制度が施行される。名港海運株式会社の人事戦略がどのように進化するのか期待される。