キャリアデザインとは?注目されている理由や具体的な手順と取り組み方を解説

2023.03.09

グローバル化やAIの導入、少子高齢化による生産年齢人口 の減少など、日本企業を取り巻く社会環境は大きく変化してきています。
これからの時代を勝ち抜くためには、キャリアデザインを育てる取り組みが重要です。

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キャリアデザインとは?意味や考え方

キャリアデザインとは、仕事を通して、自身が描いていきたい人生を設計することを意味します。
具体的には、目指す将来像に近づくために、自身の働く意味や、自分の経験やスキルをどのようにアップデートしていくかについて、具体的に考えることです。
キャリアデザインは、各個人の考え方やライフスタイル、ライフイベントなどによって変化するのが一般的です。
仕事の上では、就職、転職、転勤、昇進、降格がそれにあたり、プライベートでは、結婚、出産、育児、病気、事故、親の介護などが相当します。
これらの出来事は想定通りのものもあれば、予期せぬ出来事も数多く発生します。
そこでそれぞれの場面でキャリアデザインを考えていく事が、従業員個人にとっても企業にとっても重要となってきます。

混同しがちな「キャリアプラン」「キャリアパス」「キャリア形成」との違い

「キャリアプラン」と混同されやすい言葉として、「キャリアプラン」や「キャリアパス」、「キャリア形成」などが挙げられますが、意味の違いはそれぞれ以下のように異なります。
適切な意味合いを理解し、使い分けていくことが大切です。

キャリアプラン

仕事を通じて自身の将来の理想像の実現に向けて設定された具体的な計画のことです。
プライベートにあたるライフプランは含まず、あくまでも職歴を計画といった意味合いがあります。

キャリアパス

キャリアプランで設定した計画を達成するために積み上げていく道筋のことです。
昇進昇格や異動など、企業の中でどのように経験やスキルを獲得していくかを設計することを意味します。

キャリア形成

仕事・プライベート問わず、キャリアデザインで設計した理想の将来像を実現するためにスキルや経験を獲得していくことです。
自分の将来像を明確にした後、プランを叶えていくために必要不可欠な事項です。

キャリアデザインが注目されている理由とは?

社会環境の変化

少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少は、企業の人材不足の大きな要因です。企業は人材を確保するとともに、従業員一人ひとりの生産性を向上させることが求められているため、従業員が自らキャリアデザインを考え、モチベーションをアップさせることで、生産性の向上に繋げていくことが必要となってきています。

企業と従業員の関係が変化

戦後の日本企業は高度経済成長を背景に、人材確保に有効な人事制度として、年功序列制度と終身雇用制を人事制度の中心に置いていたため、日本のビジネスパーソンの多くは、大学を出て、企業に就職すれば、定年まで安定した雇用が約束されていました。
しかし時代は変わり、日本企業は年功序列制度と終身雇用制の人事制度を維持することが困難になり、企業は従業員に自律したキャリア開発をすすめてもらうため、キャリアデザインを考えるスキルをつけさせる必要が出てきました。

個人の働き方への意識の変化

企業と従業員の関係は、囲い込み型から、選び選ばれる対等なものへと変化してきました。
多様な就業環境や働き方が認められるようになり、従業員のキャリアデザイン形成の選択肢の数も増加してきています。
このような変化に伴い、従業員が能動的な行動を引き起こすことができるようなキャリアデザインを意識した人事、企業も従業員も共存共栄な状態で仕事ができる環境の創出が求められています。

企業がキャリアデザインを支援するメリットとは?

企業が従業員のキャリアデザインを支援することは、従業員にメリットがあるだけでなく、企業の継続的な発展にもメリットがあります。

社員のエンゲージメントが向上し、生産性が上がる

まず、従業員のキャリデザインの形成を助けることで、働く意欲やモチベーションが高まり、企業に対する従業員満足度を上げることにも繋がります。
従業員が自ら企業に対して愛着を持つようになり企業のために自発的に行動を起こすような関係性であるエンゲージメントが向上し、自ずと企業・組織への貢献度も高まることが想定できます。
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社員の離職率が下がり、定着率が上がる

企業がキャリアデザインの支援状況を社内外に発信することで、従業員の会社に対するエンゲージメントの向上だけでなく、社外からのイメージ向上にもつながることが考えられます。
キャリアへの支援が充実している環境ということを従業員や社外から認知されることで、従業員の組織への満足度も向上し、結果、離職率の低下や定着率の向上に結び付くといえるでしょう。

企業がキャリアデザインを支援するデメリットとは?

企業が従業員のキャリアデザインを支援することで、メリットが生じることは容易に想像がつくかと思いますが、デメリットが生じてしまう可能性も考慮することが必要です。

優秀な社員が転職してしまう恐れがある

従業員が自身の理想のキャリアを築いていくために、他の企業や業界・業種・職種などを選択してしまう可能性もあります。
優秀な人材を逃さないためにも、自社にてどのようなキャリアの選択肢があるのか、どのようなキャリアを実現することができるのかをきちんと提示しておくことが必要です。また、提示するだけにとどまらず、従業員がきちんと環境を活用することができるような仕組みを整えておくことが必要です。

昇給や昇進だけが目的になってしまう恐れがある

従業員の主体性を育み、理想のキャリアを実現していくことがキャリアデザインの本来の目的であるべきですが、昇給することや昇進することを目的ととらえられてしまう可能性もあります。
キャリアデザインの在り方を、企業・組織として従業員にきちんと浸透させておくことが必要です。

キャリアデザインを構築するための要素

目的が明確になっている

仕事とプライベートなど、従業員自身がきちんと目的意識をもってキャリアデザインを構築していくことが重要です。目的が明確になっていなければ、具体的なキャリアを設計することはできません。
既に希望が理想のビジョンがある場合は、企業がそれらをきちんと支援する姿勢を見せておくことが必要ですし、まだはっきりとした希望がみえていない場合には、伴走してキャリアデザインを支援していくことが大切です。

自分のスキルや強みを理解している

理想を実現するためには、客観的に現状を把握しておくことが必要です。自分が今持っているスキルや強みは何か、今後補強していくべき経験は何かを明らかにすることで、どのようなキャリアをデザインしていくかの方向性を明らかにすることができます。

自分の適性や価値観を客観的に把握できている

従業員本人の特性は、主観的に見た場合と客観的に見た場合で異なることがあります。
これまでの経験やスキルを踏まえ、どのような職種や仕事に適性があるのか、どのような志向性があるのかを把握しておく必要があります。

キャリアデザインの具体的な手順

具体的な手順①将来なりたい自分を具現化する

人事担当者に求められるのは、従業員の将来目指す姿に対して、必要な要素・アクションを言語化すること、つまり、従業員の内省の深掘りを助けることになります。
最初の一歩として、大切にしているのはどういった軸なのか、どのような自分になりたいのか、具体的な理想像に落とし込むことをフォローする体制が必要です。

具体的な手順②なりたい自分になった後を具現化する

将来のありたい姿を具現化できた後は、本人が目指す姿を達成した後のことまでを考えておくことが必要です。目標を達成して完了とするのではなく、さらなる飛躍に向けてどのようなステップを歩んでいくのが良いのかを検討していくことが重要です。

具体的な手順③目標達成時期(ゴール)を決める

どのようなスキル・経験を経てどのくらいの期間で目標が達成できるのか、現状と目標のギャップを客観的に可視化して提示する必要があります。
また、中長期的な目標の場合は、細分化して短期間の目標設定をしておくことで達成までの各プロセスにおいて、従業員のモチベーションを維持することができ、さらには柔軟に軌道修正を行うことができるようになります。

具体的な手順④目標達成に必要な要素を知る

具体的な目標や、達成するまでのスケジュールが見えてきた後は、達成までにどのような課題を解決すればよいのか、どのようなスキルを身に着けていくべきなのか、理解を深める必要があります。例えば、従業員が「採用業務のスペシャリストになる」を目標に掲げたとすれば、「採用人材の戦力化に貢献するため、採用ミスマッチ0の課題を改善する」など、詳細な要素の定義が必要です。

具体的な手順⑤目標達成に必要なアクションを設定する

目標達成までに必要な要素を固めることができた後は、求められる行動を言語化していきます。
例えば、以下のような項目があげられます。

  • ・コミュニケーションスキル「イエス。アンド話法」を身につける
  • ・社員同士のナレッジ共有する
  • ・採用関連のセミナーに参加して情報収集する
  • ・内定者へ定期的なフォロー、入社の心構え、入社までを細かくフォローする

従業員だけでは掘り下げることが難しい要素を、人事担当者も一緒に考えることで、行動まで落とし込むことができるようになります。

キャリアデザインの具体的な取り組み方

具体的な取り組み方①キャリア面談

従業員が設定したキャリア目標に対して、定期的な進行状況を確認したり、フォローを行う環境を提供することが重要です。
具体的には、キャリアシートを使った面談の実施や、キャリア自律の考え方の理解と実践を目的とした、キャリアアドバイザーの設置などが挙げられます。

具体的な取り組み方②外部研修

社員が自身のキャリアを主体的に考え行動するための機会を提供することは、社員が自らのキャリアを中長期的にデザインすることに効果的です。
具体例として、職業能力開発のための体形立てた研修の実施や、自己啓発の機会として公開オンライン講座を積極的に取り入れるなどがあげられます。その他にも、豊富な知見を有する著名な講師を招いたフォーラムの開催など、社外から情報を得る機会を通じて、各種ビジネススキル・デジタルリテラシーなどの学びを促進することも有効です。

具体的な取り組み方③ライフキャリアデザイン研修

仕事だけでなく従業員の生活も含めたライフキャリアを支援する制度も必要です。
例えば、以下のような年代別に適したトータルでキャリアを考える場があげられます。

30代:資産運用の内容を中心としたマネープラン研修
30~40代:健康教育を中心としたセルフケア研修、幹部職にはストレスマネジメント研修
40~50代:10年後の家族構成や生活・職場の役割の変化などを含めたライフキャリア設計

他にも、若手にこれからのキャリア形成支援の方向性を明確に伝え、自らキャリアデザインを考えさせることで、早期の戦力化に向けた対策も必要です。

具体的な取り組み方④社内制度の構築

職種・階層別に勤務態度や習得すべき知識技術、業務、成果をまとめた「成長シート」を軸に自己成長を図り、スピーディーな従業員育成をすることも効果的です。
資格取得者を増やすことで、スキルアップの場を提供していることを従業員に浸透させることができます。企業が提案するキャリアデザイン支援制度やルールをオープンに従業員に伝え、先に述べた成長シートを使って、企業と従業員がコミュニケーションをとりながら、全社的な取り組みとしてキャリアデザイン支援を実施することが大切です。

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人財マネジメントソリューション「Hito-compass」は、人材照会、評価、コミュニケーションツール等々ございますが、一貫して従業員の自律性の育成をコンセプトにしています。
キャリアデザインをするためには、まずは現状を可視化することが必要です。
Hito-Compassを用いて現状を把握し、従業員を巻き込んだキャリアデザインの仕組みづくりを検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

企業が持続的な成長と競争力を培っていくためには、自社の生産性や従業員満足度を向上させることが必要不可欠です。
ワークライフバランスや多様な働き方の受け入れなど、時代とともに企業と従業員の在り方は変化してきています。
ぜひ、この機会に従業員のキャリアデザインや支援制度、その方法について改めて検討してみていただければ幸いです。

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カシオヒューマンシステムズ コラム編集チーム

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