業務システムとは何か?種類やメリット・デメリット、導入事例を紹介

2023.12.07

業務システムとは、業務効率化や業務品質の向上に役立つシステムです。業務システムにはさまざまな種類があり、自社の課題や業務フローに応じて適切なシステムを選ぶ必要があります。

今回は、業務システムを導入する効果が得られるよう、業務システムの種類やメリット、デメリット、導入方法や導入する際のポイントなどを解説します。

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業務システムとは、どのようなツール?

業務システムとは、特定の業務や目的のために活用するシステムのことです。これまで人の手でアナログ的に行っていた業務に対して業務システムを導入することで、業務効率化や品質向上などが実現します。

たとえば、勤怠管理システムであれば、従業員の出勤・退勤時間の記録や有給取得率の把握などを効率的に行えます。会計管理システムであれば、帳簿の作成や請求書作成・送付といった会計業務を効率化でき、ミスを減らせるでしょう。

業務システムにはさまざまな種類があります。どの業務を効率化したいかを明確にした後、適切な業務システムを選ぶことが大切です。

なお、業務システムと混同しやすいのが基幹システムです。基幹システムは、企業活動の根幹を支えるシステムのことを指します。たとえば、製造現場における生産管理システムは、事業に直結するため基幹システムと言えます。

業務システムが業務に役立つシステムである一方、基幹システムは業務になくてはならないシステム、と整理できるでしょう。

業務システムの種類は?

自社に適した業務システムを選ぶためには、まずは業務システムの種類について理解しましょう。

主な業務システムの種類は、以下のとおりです。

種類 特徴
人事・給与管理システム 従業員の個人情報や給与、賞与、年金などのデータ管理を行えるシステム
勤怠管理システム 従業員の勤怠情報や労働時間、有給休暇取得率などを管理できるシステム
会計管理システム 帳簿作成や請求書の作成、キャッシュフロー管理、財務諸表の作成などを効率化できるシステム
生産管理システム 製品の生産コストや人員配置、品質データ、スケジュールなどを管理できるシステム
在庫管理システム 製品や資材の在庫情報、仕掛品の数量データなどを管理できるシステム
販売管理システム 注文状況や購入者の情報、在庫の数量データなどを管理できるシステム
配送管理システム 商品の出荷から配送までの一連のプロセスを管理できるシステム
顧客管理システム 顧客の情報や購入履歴、問い合わせの履歴などの顧客情報を管理できるシステム
営業支援システム 顧客リストや名刺情報、案件の進捗、訪問スケジュール、営業担当者の業績データなど、営業活動に関するさまざまなデータを管理できるシステム

このように、業務システムには多くの種類があります。どの業務を効率化したいかを明らかにしたうえで、適切なシステムを選びましょう。

中には、複数の機能を搭載しており、該当する部門間でシームレスに活用できる業務システムもあります。また、ほかのシステムと連携させることで、さらに業務効率化や品質向上が期待できるものもあります。使いやすく業務にフィットしているかどうかを、長期的な視点に立って検討することが大切です。

業務システムを導入するメリットとは

業務の確実性・正確性が向上する

業務システムを導入することで、ヒューマンエラーを防ぎ、業務の確実性・正確性が向上するのは大きなメリットです。

人間が対応すると、注意していてもデータを紛失してしまったり、作業でミスをしたりする可能性があります。業務システムを活用することで、業務をスピーディーかつ正確にこなせるようになります。

業務システムは、ビジネスで使いやすいように設計されているため、使い方に慣れればどの従業員でも正しく扱えるでしょう。

データ管理の手間が削減できる

データを業務システムで管理できるようになれば、データ管理の手間も削減できます。

多くのデータの中から必要なものを見つけ出したり、必要に応じてデータを更新したりするのは骨の折れる作業です。また、データが複数のシステムや書類に分散している場合は、新しいデータを見つけ出すのは困難です。

業務システムなら、データを一元管理できるため、必要なデータを検索してすぐに見つけ出せます。データクレンジングも容易であるため、データの品質維持につながるほか、データの共有も簡単に行えます。

管理スペースを節約できる

業務システムを導入することで、データの管理スペースを節約できるのもメリットです。

膨大な情報を紙で保存するとなると、多くのファイルを保管するスペースが必要です。業務システムで一元管理することで、管理スペースを確保する必要がなくなり、管理にかかるコストも削減できます。

特に、クラウド型の業務システムなら社内サーバーの設置をする必要がないため、サーバーの保管スペースも削減できるのがメリットです。

社内のシステムトラブル時も影響が限定的で済む

業務システムを導入することで、社内のシステムにトラブルが発生した際の影響を抑えられます。

社内の基幹システムには、業務を支える多くの重要な機能が搭載されています。そのため、トラブルが発生した際は、多くの業務がストップして企業活動に大きな支障をきたす可能性が高いです。

一方、個別の業務に対してそれぞれ業務システムを導入する場合は、1つのシステムにトラブルが発生しても、ほかの業務は問題なく続けられます。そのため、影響を軽減できるでしょう。

また、クラウド型の業務システムを導入する場合は、災害時のリスクヘッジにもなります。自社サーバーが壊れた場合も、データはインターネット上で管理されているため、業務を続行できるためです。

業務システムを導入するデメリットとは

システムの導入に手間や費用がかかる

業務システムを導入する際は、手間や費用がかかる点に注意が必要です。

どの業務をシステムによって効率化したいのか精査したり、システムを選定したりするのには時間がかかります。さらに、業務システムは導入して終わりではありません。従業員が使いこなせるよう、使い方を教える必要があります。加えて、システムの導入を前提に、業務フローも見直さなければなりません。

また、当然ですがシステムの購入費用や初期費用もかかります。

導入初期は費用や工数の負担が増えることをふまえて、導入に向けたスケジュールを立てることが大切です。

専門的な知識やスキルが必要な場合がある

業務システムを使いこなすために、専門的な知識やスキルが必要になる場合もあります。

従業員がシステムを使いこなせなければ、システムを導入する意味がありません。

専門的な知識やスキルが必要な難しいシステムの場合は、従業員が使いこなせるかをよく見極めたうえで、導入するかを決めましょう。導入時は、十分な研修を実施することも欠かせません。

システム障害などのトラブルのリスクがある

システム障害や事故によって業務システムが使えなくなるリスクがある点にも注意が必要です。

前述のとおり、基幹システムに比べると、業務システムはトラブル発生時の影響が小さいというメリットがあります。

しかし、影響がゼロというわけではありません。特に、業務システムの活用を前提に業務フローや人員体制を整備している場合は、システムが使えなくなると業務がストップしてしまう可能性があります。

トラブルが起こるリスクを想定し、事前にトラブルへの対処法を検討したり、特定のシステムに業務を依存させない対策を講じたりすることが大切です。

業務システムの2つの導入方法

業務システムの導入方法には、システムをゼロから自社開発する方法と、完成品を購入する方法の大きく2つがあります。

それぞれの特徴やメリット、デメリット、対応可能な企業規模をまとめると、以下のとおりです。

導入方法 メリット デメリット 対応可能な企業規模
業務システムを自社開発する スクラッチ開発 完全オリジナルのシステムを開発できる コストや工数がかかる 大企業におすすめ
フレームワークを活用したシステム開発 開発にかかるコストや工数を抑えられる カスタマイズの自由度が制限される 大企業〜中小企業
業務システムを購入する オンプレミス型 完成品であるため導入のハードルが低い

カスタマイズもできる
サーバーやネットワークを用意する必要がある 大企業〜中小企業
クラウド型 短期間かつ低コストで気軽に導入できる カスタマイズが難しい 中小企業におすすめ

以下では、それぞれの導入方法について詳細を解説します。

業務システムを自社開発する場合

導入方法

自社の業務内容にマッチしたシステムを使いたい場合は、自社開発がおすすめです。ゼロからシステムを自由に構築できます。

システム開発の手法は、さらに以下の2つに分けられます。

  • スクラッチ開発
  • フレームワークを活用したシステム開発

スクラッチ開発は、ひな形を活用せず、ゼロから完全にオリジナルのシステムを開発することです。一方、フレームワークを活用したシステム開発では、既存のひな形をベースに、随所でカスタマイズを行い、システムを完成させます。

メリット

スクラッチ開発のメリットは、自社の業務に合ったシステムをオーダーメイドで開発できることです。コンピューターの能力の範囲内で自由に設計でき、自社専用のシステムを構築できます。そのため、業務システムを導入する効果を感じやすく、既存システムからの移行もスムーズに行えるでしょう。

フレームワークを活用したシステム開発では、既存のひな形を活用して効率よく開発できるため、開発にかかるコストや期間を抑えられるのがメリットです。カスタマイズも可能なため、コストを抑えながら、理想に近いシステムを開発できます。

デメリット

業務システムを自社開発するデメリットは、完成品を購入する場合に比べてコストや工数がかかる点です。特に、開発を外注する場合は高額な費用が発生します。

社内で開発する場合は、プログラミング言語に精通した、技術力のあるエンジニアの確保が必要です。その分の人件費がかかる点も考慮しましょう。

フレームワークを活用する場合は、スクラッチ開発よりも自由度が制限されるのが難点です。

業務システムを購入する場合

導入方法

短期間かつ低コストで業務システムを導入したい場合は、完成品(パッケージ製品)を購入するのがおすすめです。

業務システムには、以下の2つの種類があります。

  • オンプレミス型
  • クラウド型

オンプレミス型は、システムを端末にインストールして、自社サーバーと社内ネットワークを使って使用するシステムです。一方、クラウド型はオンライン上のサーバーで提供されているシステムを、インターネットを使って利用するシステムです。

メリット

完成品は、手軽に導入できるというメリットがあります。製品をそのまま使用する場合は、購入したその日から使い始められることもあるでしょう。

オンプレミス型の場合は、カスタマイズも可能なため、完成品でありながら自社に合わせたシステムを実現できるのもメリットです。必要に応じて機能を拡張したり、既存のシステムを連携させたりできます。また、自社サーバーと社内ネットワークを利用するため、セキュリティ面でも安心です。

クラウド型の場合は、自社でサーバーやインフラを用意する必要がないため、さらに低コストで導入できます。メンテナンスやバージョンアップなども、基本的にはベンダーに任せられます。また、インターネット環境があればどの端末からでもアクセスできるため、出張先やテレワークでも簡単に活用できるのも魅力です。

デメリット

一方、業務システムを自社開発する場合に比べて、開発の自由度が制限される点にも注意しましょう。自社独自の業務については、完成品では対応できないケースが多いです。

また、オンプレミス型の場合は、サーバーやネットワークなどを自社で用意しなければなりません。そのため、導入コストが高額になってしまう可能性があります。

クラウド型の場合は、自社でセキュリティ管理を行えるわけではない点に注意が必要です。また、システムをカスタマイズ性が低く、業務内容にマッチするシステムを見つけられなかったり、既存システムと連携できなかったりする恐れもあります。

業務システムを導入する際のポイント

業務フローを把握する

自社に適した業務システムを導入するためには、まずはシステムで効率化したい業務のフローを把握することが大切です。業務フローを明確化することで、どのような機能を搭載したシステムを選ぶべきかが見えてきます。

業務フローを把握しないままシステムを導入すると、システムがうまく機能せず、効果が薄れてしまう可能性があります。システムの見直しや再導入が必要になり、余計にコストがかかってしまうこともあるでしょう。

業務を担当する従業員の意見も参考に、業務フローを抜け漏れなく洗い出しましょう。

業務担当者へのヒアリングで課題を洗い出しておく

業務担当者にヒアリングを行い、現場の課題を洗い出すことも欠かせません。

課題を理解したうえで業務システムを選ぶことで、自社の課題を解決してくれる効果的なシステムを導入できます。システム開発会社に相談する際も、具体的な課題を共有することで、適切なシステムの種類や開発手法などをより具体的に提案してくれるでしょう。

このとき、経営層が課題を予測するだけでは不十分です。実際に業務担当者にインタビューやアンケートなどを行い、現場の意見を反映する必要があります。

また、顕在化している課題だけではなく、潜在的な課題も見つけることが大切です。

業務内容に合ったものを選ぶ

業務システムは、効率化したい業務内容に合ったものを選ぶ必要があります。

業務システムには多くの種類があり、システムによって搭載されている機能はさまざまです。

機能が多く搭載されているシステムを選べばよい、というわけではありません。機能が多すぎるあまり、費用が高額になってしまう、操作が複雑になって結局現場で使われない、などの可能性があります。

効率化したい業務内容を明らかにしたうえで、課題を解決してくれる使いやすいシステムを選びましょう。

費用に見合う効果が得られるかどうか

十分な費用対効果が得られるかどうかもポイントです。

費用対効果とは、初期費用やランニングコストなどの費用と、導入によって得られる効果やメリットを比較し、コストに見合う価値があるかを評価する指標です。コストよりも効果やメリットが大きい場合は、費用対効果が高く、システムを導入する価値があると判断できます。

業務システムの効果を評価する際は、長期的な視点で考える必要があります。システムを導入して、すぐに成果が出るとは限らないためです。業務にかかる工数や人員はどのくらい削減できるか、商品・サービスの品質や従業員満足度はどのくらい向上できそうかなどをよく検討しましょう。

管理、維持にかかるコストを考慮する

コストを考える際は、管理や維持にかかるコスト、つまりメンテナンス費用も考慮しましょう。メンテナンスは、システムが安定的に稼働できる体制を整えることです。メンテナンス費用としては、システムのアップデートやデータのバックアップにかかる費用、トラブル発生時の対応にかかる費用などがあります。

自社でメンテナンスを行う場合も他社に委託する場合も、メンテナンス費用が発生します。メンテナンス費用を考慮せずに予算を考えてしまうと、結果的に予算をオーバーしてしまう可能性が高いです。

メンテナンス費用は、自社でゼロから開発するか、完成品を購入するかなど、導入方法によって異なります。

業務システム導入の費用の相場

業務システムの導入にかかる費用相場は、システムの種類や導入方法などによって異なります。

システムの導入方法別の費用相場は、以下のとおりです。

開発方法 費用相場
スクラッチ開発 約500万円〜
完成品の購入(オンプレミス型) 導入費用:約50万円〜
ランニングコスト:0円
完成品の購入(クラウド型) 導入費用:0円〜
月額費用:数千円〜
完成品の購入+カスタマイズ 約100万円〜

上記はあくまでも目安であり、システムの内容や規模、業者によって費用は異なります。

業務システムをゼロから開発するスクラッチ開発では、高額な費用がかかるのが特徴です。一方、完成品を購入する場合は、比較的低価格で導入できます。特にクラウド型の場合は、月額費用が発生するものの、無料で導入できるシステムも少なくありません。

業務システムの導入事例を紹介

人事給与管理システム

株式会社西松屋チェーン様は、カシオヒューマンシステムズ株式会社が提供する人事統合システム「ADPS」を導入して、人事業務を効率化しました。

株式会社西松屋チェーン様は、全国に1083店舗(2023年5月20日時点)を構え、9,000人以上の従業員数を抱えています。煩雑な人事業務に対応し、毎年の法改正にも適切に対応できるよう、「ADPS」を導入しました。

アドオンで自社独自のオリジナリティも残し、自社に合った使いやすいシステムを実現しています。

導入後は、業務負荷が特にかかる給与計算の時短化や、人事業務におけるデータ活用の効率化を実感しているそうです。

参考:ADPS導入事例「株式会社西松屋チェーン様」

勤怠管理システム

東京センチュリー株式会社様は、ADPSの勤怠管理システムを導入して働き方改革を進めている企業です。

東京センチュリー株式会社様では、多様な人材が活躍できるような企業風土と、働きがいのある職場づくりを目指しています。そして、従業員が時間を意識して効率よく働けるよう、ADPSの勤怠管理システムを導入しました。

具体的には、時間外労働を行う際は事前にシステムで申請し、管理者の指示や承認を受けるというルールを設定しました。結果、従業員が時間を意識して働けるようになり、業務効率化や長時間労働の是正につながったと言います。

さらに、有給休暇の取得推進や時間休制度などの制度を推進するうえでも、ADPSの勤怠管理システムを活用しています。その結果、ダイバーシティの推進やワークライフバランス向上につながり、働きやすい環境づくりを実現しているようです。

参考:ADPS導入事例「東京センチュリー株式会社様」

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まとめ

業務システムは、特定の業務や目的のために活用するシステムです。業務システムの種類や導入方法にはさまざまな選択肢があります。まずは、現状の業務フローや課題を明確化しましょう。

自社でシステムを開発するのが難しい場合は、業務システムの導入支援を受けたり、完成品を購入したりするのがおすすめです。自社にマッチする業務システムを導入し、業務効率化や業務品質の向上を目指してみてはいかがでしょうか。

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カシオヒューマンシステムズ コラム編集チーム

カシオヒューマンシステムズコラム編集チームです。
人事業務に関するソリューションを長年ご提供してきた知見を踏まえ、
定期的に「人事部の皆様に必ず今後の業務に役立つ情報」を紹介しています。