人事制度とは?仕組みや目的、設計手順、最新トレンドなどを解説

2024.01.12

人事制度とは、従業員を管理・雇用するための仕組みです。大きく、等級制度・評価制度・報酬制度の3つに分けられます。人事制度には多くの種類があるため、自社に適した制度を導入することが大切です。今回は、人事制度の種類や設計手順、トレンドなどを解説します。

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人事制度とは?

人事制度とは、企業が従業員を雇用・管理するためのさまざまな制度のことです。広い意味では、従業員の採用や育成、評価、福利厚生など、幅広い領域の仕組み全般のことを指します。

しかし、昨今では人事制度を「従業員の処遇を決めるための制度」という意味で使用するケースが多いです。

人事制度を構築することには、以下のような目的があります。

  • 企業や組織に安定・秩序をもたらすため
  • 従業員を適切なポジションに配置するため
  • 従業員育成を促進するため
  • 適切な人事評価により、従業員のモチベーションや生産性を高めるため

企業運営を安定させ、従業員の適切な配置や育成、生産性向上を実現するためには、適切な人事制度の設計・運用が欠かせません。

人事制度は、さらに等級制度・評価制度・報酬制度に分けられます。以下では、それぞれの制度について見ていきましょう。

1. 等級制度

1つ目は等級制度です。等級制度とは、従業員を能力や職務レベルなどに応じて区分し、業務の範囲や責任、処遇などを決定するための仕組みです。

等級制度は従業員のポジションを決めるものであり、人事制度の根幹となります。

等級制度を設定することで、従業員の能力に応じて適切な業務を割り振れるほか、従業員のモチベーションアップにもつながるのがメリットです。

等級制度には、さらに以下の3つの種類があります。

  • 職能資格制度
  • 職務等級制度
  • 役割等級制度

ここでは、それぞれの等級制度について解説します。

・職能資格制度

職能資格制度とは、職務を全般的に遂行するために必要な能力(職能)によって従業員を評価し、等級に分ける制度です。等級に応じて賃金表を作成し、賃金表に基づいて給与を支払います。職能が高い従業員ほど、高い給料を受け取れる仕組みです。

職能資格制度は日本で生まれた評価制度であり、多くの企業に採用されています。

職能資格制度では、特定の職務ではなく、あらゆる職務を遂行するための能力が評価されるのが特徴です。そのため、ゼネラリストを育成しやすく、人事異動や職務変更の際も、評価基準を大きく変える必要がない、というメリットがあります。

一方、勤続年数が上がることでも「職能が高まった」と評価されやすいため、年功序列になりやすいのがデメリットです。また、等級が上がるにつれて該当する従業員が少なくなるため、上位層への人件費が高くなる点も懸念点です。

・職務等級制度

職務等級制度とは、従業員が担当する職務や業務ごとに等級を分け、職務・業務の実際の成果をもとに等級を決める制度です。

職務等級制度では、職務の重要性や難易度などによって、あらかじめ等級が決められています。事前にジョブディスクリプション(職務記述書)を作成し、ジョブディスクリプションで定義した基準に対する、従業員の成果や行動などを評価するのがポイントです。

職務ごとに基準が明確に定義されているため、評価の根拠が明確で納得しやすいというメリットがあります。また、ある分野への専門性が高い従業員、つまりスペシャリストの育成につながりやすい等級制度です。

一方、ジョブディスクリプションで定義されていない、評価対象外の職務へのモチベーションが低下しやすいのがデメリットです。また、長年勤めれば等級が上がるというわけではないため、従業員の定着率が低下する可能性もあります。

・役割等級制度

役割等級制度とは、従業員それぞれに任せる役割(ミッション)ごとに等級を分け、役割をいかに果たせたかに応じて等級を決める制度です。ミッショングレード制とも呼ばれています。職能資格制度と職務等級制度のハイブリッドと言える、新しい制度です。

役割等級制度では、経営目標に基づき、従業員が果たすべき役割が細かく定められています。従業員は、自らの役割をもとに理想像や目標を設定し、その達成度合いに応じて等級や給与が決まる、という仕組みです。

役割等級制度には、業務内容が可視化しにくい管理職を適切に評価しやすいというメリットがあります。また、成果だけでなく行動や仕事への姿勢も評価対象となるため、社員の主体性が向上するのも特長です。

一方、それぞれの役割の定義を明確化するのが難しいというデメリットがあります。

2. 評価制度

2つ目は評価制度です。評価制度は、従業員の行動や能力、成果などを評価するための仕組みです。評価制度には多くの種類があるため、自社に適した制度を選択する必要があります。

評価制度は、業務や処遇の決定の際に使われるほか、従業員の育成やモチベーション管理などにも活用できます。

ここでは、評価制度を以下の3つに分けて見ていきましょう。

  • 能力評価
  • 職務評価
  • 成果評価

・能力評価

能力評価とは、業務を遂行するうえで必要な能力の有無によって評価する制度です。職能資格制度に基づいており、以下のような能力が評価されます。

  • 知識力
  • 技術力
  • コミュニケーション能力
  • 課題解決能力
  • 判断力
  • 企画力
  • 実行力
  • 交渉力
  • 分析力

能力評価を導入することで、従業員の能力やスキルを具体的に理解できるようになり、従業員の配置や育成に役立つのがメリットです。

一方、明確な実績や数字で評価できるわけではないため、評価が曖昧になりがちです。また、スキルはあるものの業務態度が悪い従業員が高い評価を受ける可能性もあります。

従業員をより適切に評価するためには、能力評価とほかの評価制度を組み合わせることが効果的です。

・職務評価

職務評価とは、職務、つまり従業員それぞれが担当する仕事の内容に応じて評価する制度を指します。従業員ではなく、職務自体を評価するのがポイントです。重要性や難易度が高い職務を担当している従業員ほど、評価が高くなる傾向にあります。

職務評価では、以下の4つの評価方法が利用されるのが基本です。

評価方法 説明
単純比較法 職務を1対1で比較し、職務の大きさによって序列をつける方法
分類法 職務の大きさや重要度によって職務を分類し、評価する方法
要素比較法 知力や熟練度といった要素条件を設定し、それに基づいて評価する方法
要素別点数法 職務を構成する要素でいくつかの項目を設定し、点数化した後、合計点数によって評価する方法

また、以下のような項目が評価されます。

項目 説明
人材代替性 代わりの従業員を探すのが難しい仕事
革新性 革新的な方法が求められる仕事
専門性 特殊なスキルや技術が必要な仕事
裁量性 従業員の裁量に任せる仕事
対人関係の複雑さ(部門外/社外) 部門外や社外の関係者との調整が必要な仕事
対人関係の複雑さ(部門内) 部門内の関係者との調整が必要な仕事
問題解決の困難度 課題を分析・明確化し、解決につなげる必要がある仕事
経営への影響度 業績を大きく左右する仕事

参考:厚生労働省 多様な働き方の実現応援サイト「職務評価の手法 要素別点数表」

・成果評価

成果評価とは、その名のとおり仕事の成果に応じて評価する制度のことです。業績評価とも呼ばれます。

能力評価と混同されやすいですが、能力評価では従業員が有する能力を評価する一方、成果評価では売上や業績といった実際の成果を評価する、という違いがあります。

たとえば、業務に必要な専門知識や資格を有しているものの、業績目標は達成していない、という従業員がいたとします。能力評価では、知識や資格がある点が評価されるでしょう。一方、成果評価では、目標が未達である点から高い評価にはつながらない可能性が高いです。

成果評価は、評価基準が明確であるため、従業員が納得しやすいというメリットがあります。従業員のモチベーションも高まりやすく、業績アップにも直結するでしょう。

一方、短期の目標を追求する従業員が増えたり、チームワークが弱まったりする点には注意が必要です。また、成果を数値化しにくい業務を担当している従業員については、成果評価では正しく評価できない可能性があります。

3. 報酬制度

3つ目は報酬制度です。報酬制度は、従業員の評価に基づき、適正な給与や賞与を決定するための仕組みです。一般的に、報酬は等級や評価によって決まります。基本給や賞与だけでなく、退職金制度や福利厚生についても、報酬制度の1つとして考えられています。

報酬制度を整えて評価に見合った報酬を与えることで、従業員のモチベーションアップや生産性向上を実現できるのがポイントです。また、能力の高い従業員に多くの報酬を与えることで、人件費の適正化にもつながります。

報酬は、以下の4つに分けられます。

  • 基本給
  • 手当
  • 賞与
  • 退職金

それぞれの構成要素について見ていきましょう。

・基本給

基本給とは、毎月支払われる給与のことです。年齢や勤続年数、役職、業績などによって定められています。昇給の基準やルールは、企業によってさまざまです。

基本給の決定方式には、主に以下の3つがあります。

  • 給与表方式
  • 昇給方式
  • 洗い替え方式

給与表方式とは、等級や年齢などによって定められた給与表に基づき、基本給を決める方式です。

昇給方式では、前年度の基本給に今年度の昇給額を加算、あるいは昇給率を乗じて基本給を決めます。

洗い替え方式は、前年度の基本給にかかわらず、毎年基本給を決定する方式です。

・手当

手当とは、基本給とは別に、従業員の状況や職務内容などに応じて支払われる給与です。基準を満たす従業員に対して、基本給に上乗せする形で支給されます。

手当には、以下のように多くの種類があります。

  • 通勤手当
  • 残業手当
  • 役職手当
  • 等級手当
  • 住宅手当
  • 単身手当
  • 特殊勤務手当

残業手当のように支払い義務があるものから、福利厚生の一環として企業が任意に支払うものまでさまざまです。

・賞与

賞与は、企業が任意に支払う報酬です。基本給や手当とは別で支払うものであり、会社の業績や個人の実績、基本給などによって金額が決まります。賞与の支払いの有無や回数、金額などは企業の自由です。日本では、年に2〜3回賞与を支払うケースが多く見られます。

賞与の支払いは義務ではありませんが、賞与を支払うことで従業員のモチベーションがアップしやすいというメリットがあります。

・退職金

退職金は、従業員の退職時に支払う報酬です。退職金制度は法律で義務づけられているものではなく、退職金制度を設けていない企業も存在します。特に、終身雇用が当たり前ではなくなっている昨今、退職金制度を廃止する企業も少なくありません。

退職金の算定方式としては、以下のような種類があります。

算定方式 説明
退職時基本給 退職時の基本給に、勤続年数別の支給率を乗じて算出する方式
定額方式 勤続年数別に設定した退職金額を支給する方式
別テーブル方式 退職金算定用のために作成した賃金表を用い、勤続年数別の支給率を乗じて算出する方式
ポイント制 勤続年数や役職などの要素にポイントを割り振り、1ポイントあたりの金額に合計ポイントを乗じて算出する方式

人事制度のトレンド

人事制度には、経済情勢や働き方の変化などに応じて、トレンドが存在します。トレンドを押さえて適宜取り入れることで、時代に即した働き方を実現でき、従業員の満足度も高められるでしょう。魅力的な制度を取り入れられれば、採用候補者に選ばれる可能性も高まります。

ここでは、人事制度の近年のトレンドを紹介します。

  • 成果主義の浸透
  • 役割主義も広がり始めている
  • 評価期間やタイミングの変化
  • 評価情報の公開・多様化

成果主義の浸透

人事制度を取り巻く変化として押さえておきたいのが、成果主義の浸透です。成果主義とは、仕事の成果や実力などに応じて従業員を評価する考え方のことを指します。

日本では、長い間年功序列制度が主流でした。年功序列制度では、年齢や勤続年数の長さによって等級や給与などが変化します。

年功序列制度のメリットは、以下のとおりです。

  • 従業員の帰属意識が高まり、定着率向上が期待できる
  • 年齢や勤続年数で評価できるため、人事評価が容易である
  • 従業員の育成をスムーズに行える

しかし、能力が高い若手社員を正当に評価できないため、モチベーション低下や優秀な従業員の離反が問題視されていました。

そこで注目され始めたのが、成果主義です。成果主義に基づく人事制度では、年次にかかわらず、成果を上げれば上げるほど高く評価され、給与もアップします。特に、終身雇用が困難になり、生産年齢人口の減少によって優秀な従業員の確保をめぐる競争が激化している中、成果主義を取り入れる企業が増えているのが実情です。

役割主義も広がり始めている

昨今は、成果主義からさらに役割主義へとシフトしています。

役割主義とは、従業員の職務や仕事内容といった役割に応じて従業員を評価する考え方です。ジョブ型とも呼ばれます。

成果主義では、従業員個人が短期的な成果を追求するようになり、チームワークや人材育成が弱体化してしまうという問題が発生していました。ほかの従業員をサポートしたり部下を育成したりする時間があれば、自身の業績を上げたいと考えるのは自然なことです。また、成果を上げなければならないというプレッシャーから従業員が強いストレスを感じ、かえって離職率が高まってしまう課題もありました。

そこで注目されているのが役割主義です。役割主義では、企業が従業員に求める役割を明確化した後、その役割に基づいて従業員を配置します。そして、それぞれの役割に応じて評価する仕組みです。たとえば、部下の育成やマネジメントも担う管理職の場合は、個人の業績だけでなく、いかに部下の育成に力をかけたか、リーダーシップを発揮したかなども評価されます。

役割主義では、従業員が自身の役割を全うできるように動くため、組織としてうまく機能しやすいのがポイントです。

評価期間やタイミングの変化

役割主義が広がっている結果、評価にかかる期間やタイミングも変化してきています。

これまでは、半年や1年ごとに成果を評価するケースが多く見られました。しかし、役割主義では行動が重視されるため、評価期間が長いと正しく評価できません。その結果、評価期間が短くなり、リアルタイムに随時評価する機会が増えてきているのが特徴です。

また、評価の際にランク付けを行わない「ノーレイティング」も注目されています。

従来、人事評価ではA・B・Cのような等級で従業員を管理していました。一方、ノーレイティングではランク付けをしません。その代わり、上司が1on1面談を通じて部下にフィードバックし、行動や成果を評価します。

ノーレイティングでは、上司と部下が月に数回ほど1on1面談を実施し、定期的にコミュニケーションを取る必要があります。リアルタイムで上司からフィードバックを受けられ、目標や役割を再認識できるため、評価基準の明確化や評価結果への納得感を高められるのがメリットです。

評価情報の公開・多様化

人事評価に関する情報が公開され、多様化しているのもポイントです。

これまで、人事評価の内容は非公開であり、経営層や人事部など社内の一部のみが閲覧できるものでした。そのため、従業員がどのような基準で評価されているのかを理解できず、不信感を抱く恐れもありました。

近年では、評価情報をオープンにするケースが多く見られます。評価情報を公開することで、従業員が評価内容に納得でき、モチベーションアップにもつながると考えられています。

特に、多様な働き方が認められている昨今では、評価基準も多様化しています。人事評価の透明性を高めるためには、基準を見える化し、従業員に納得してもらうことが大切です。

働き方改革について、詳しくは以下のコラムをご覧ください。

関連記事:働き方改革とは?目的や背景を、事例を交えてわかりやすく解説

人事制度の設計手順

人事制度は、以下の6ステップで設計しましょう。

  • 経営理念の再確認
  • 現状分析
  • 制度設計
  • 移行シミュレーション
  • 運用開始
  • 制度の定着化

それぞれの手順について解説します。

経営理念の再確認

まずは、自社の経営理念を再確認しましょう。人事制度は、経営理念に基づくものであり、企業の方向性を従業員へ伝える役割も果たすためです。経営理念と合致する人事制度を設計することで、制度同士の整合性がとれ、従業員にも経営理念や基本理念を伝えられるようになります。

具体的には、経営理念を確認した後、自社が従業員をどのように捉えているかという人事理念を明確化しましょう。これを人事ポリシーと呼び、人事制度の方向性を定める方針となります。

現状分析

次に、現行の人事制度の課題を分析しましょう。現場を分析して課題を明らかにすることで、どの人事制度を採用すべきか判断しやすくなります。

業績や離職率、他社との給与水準の差といったデータはもちろん、従業員への満足度調査や各部門へのヒアリング、管理職へのインタビューなどを実施し、さまざまなデータを収集することが大切です。

制度設計

現状分析が終わったら、等級制度や評価制度、給与制度を設計しましょう。

まずは、等級制度から設計しましょう。等級制度は従業員のポジションを決めるものであり、人事制度の骨格となる制度であるためです。等級の数や各等級の要件を定めましょう。

そして、等級制度に対応する形で評価制度を考えます。経営理念を基準に、従業員のモチベーションが高まるような評価項目や評価基準を定めることが大切です。

さらに、人事評価を正しく給与に反映できるような給与制度を設計しましょう。等級ごとに給与の上限と下限を定め、従業員が問題なく生活できる範囲内かどうかも考えたうえで給与を決定します。無理なく給与を支払い続けるために、人件費の総額を計算して問題がないかも確認しましょう。

等級制度・評価制度・給与制度は独立しているものではありません。それぞれ関係し合っているため、バランスを考えながら、適宜微調整を繰り返すことが大切です。

移行シミュレーション

制度設計が完了したら、導入する前に移行シミュレーションを行いましょう。

制度を導入した後の人件費の変化や従業員のモチベーション、生産性の変化などをシミュレーションし、期待する成果が得られるかを確認します。

また、従業員に対して制度の説明を行い、理解を得ることも欠かせません。従業員から受け入れられなければ、制度が十分に機能しません。特に、新制度によって等級や給与が大きく変化する従業員に対しては入念に説明し、必要に応じて猶予期間を設けることも検討しましょう。

運用開始

シミュレーションが終わり、従業員からの理解を得たら、いよいよ運用を開始させます。

制度の定着化

運用を開始して終わりではなく、制度が定着するようさまざまな施策を講じることも必要です。従業員への周知や管理職に対する研修を実施したり、制度に合わせて人員配置や組織運営、従業員の教育方法を工夫したりしましょう。

また、定期的に従業員にアンケートを実施し、課題を明らかにすることも大切です。課題の分析と改善を繰り返し、より自社に適した制度になるようブラッシュアップしましょう。

人事制度を設計する際の注意点

人事制度を設計する際の注意点は、以下のとおりです。

  • 取り入れる制度を慎重に検討する
  • 複雑になりすぎないようにする
  • 新たな制度を導入する際は従業員からの理解を得る
  • 徐々に新たな制度に移行する

人事制度には多くの種類があり、トレンドも参考にしながら新たな制度を取り入れることが大切です。しかし、すべての制度が自社に適しているとは限りません。自社の経営方針や規模、社内風土などにマッチしているかを慎重に検討する必要があります。

自社に合っていない制度を採用してしまうと、人事制度がうまく機能せず、かえって従業員のモチベーションや生産性が低下してしまう恐れがあります。

人事制度が複雑になりすぎないようにすることも重要です。社内制度は会社全体で共有するものです。複雑すぎるあまり、現場の従業員が理解しきれず、定着しない恐れがあります。その結果、形骸化してしまう可能性が高いです。

また、新たな制度を導入する際は従業員からの理解を得るようにしましょう。人事制度の変更は、評価や給与の変化につながるため、従業員に大きな影響をもたらします。従業員からの理解を得られないまま制度を導入すると、従業員が不満を抱き、モチベーション低下や離職の発生につながるリスクが高いです。

制度を一新すると、従業員から反発を受ける可能性があります。はじめは現行の制度の一部を変更する形で導入し、徐々に新たな制度に移行していくとスムーズでしょう。

ジョブ型雇用とは?

ジョブ型雇用とは、企業にとって必要な職務内容を明らかにした後、その職務に相応しい従業員を雇用することです。欧米で主流な人事制度であり、近年では日本でも注目されています。

日本では、従来メンバーシップ型雇用が主流でした。メンバーシップ型雇用では、総合職として従業員を採用し、後から職務を割り当てます。

一方、ジョブ型では必要な職務を定義した後に、必要な知識やスキル、経験などを有している従業員を雇用し割り当てるのが特徴です。業務内容に合致した、企業が必要とする資質を有する従業員を確保できるというメリットがあります。また、事前に決めた職務内容や評価基準、報酬体系などに合意した従業員を採用するため、正当な人事評価が実現しやすいのもポイントです。

ジョブ型雇用を採用するためには、事前に業務内容を記載したジョブディスクリプション(職務記述書)を作成し、評価基準や等級、給与などを決定する必要があります。

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まとめ

人事制度とは、企業が従業員を雇用・管理するための制度のことです。特に、従業員の処遇を決めるための制度という意味で用いることが多く、大きく等級制度・評価制度・報酬制度の3つに分けられます。

人事制度にはさまざまな種類があるため、自社に適した制度を導入することが大切です。各制度のメリット・デメリットやトレンドを理解したうえで、制度を慎重に検討しましょう。同時に、従業員に受け入れてもらい、社内に定着させるための工夫も欠かせません。

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カシオヒューマンシステムズ コラム編集チーム

カシオヒューマンシステムズコラム編集チームです。
人事業務に関するソリューションを長年ご提供してきた知見を踏まえ、
定期的に「人事部の皆様に必ず今後の業務に役立つ情報」を紹介しています。