人事評価システムのメリットとは?役立つ機能や選び方も解説

2024.03.25

人事評価システムは、人事評価業務の中で生じるデータを管理できるシステムです。業務効率化を向上できるほか、さまざまなメリットを得られるため、多くの企業で導入が検討されています。今回は、人事評価システムのメリットをはじめ、役立つ機能や選び方について解説します。

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人事評価システムとは?

人事評価システムは、人事評価業務で取り扱うデータを管理できるシステムです。従来、評価シートはExcel(エクセル)で作成するのが一般的でした。

しかし、従業員が多い企業の場合、評価シートの作成や従業員とのやり取りに時間がかかるため、人事担当者の業務負担が大きくなりがちです。また、従業員の情報を収集しても、「有効活用できていない」といった課題を抱える企業も少なくありません。

人事評価システムでは、360度評価やコンピテンシー評価などテンプレートを使用して評価シートを作成することが可能です。評価シートは、同システム上で各従業員への配布や回収が可能になり、客観的なデータ分析による人事評価や目標設定にも役立ちます。

人事評価システムを導入する4つのメリット

人事評価システムを導入すると、以下のようなメリットを得られます。

  • 人材データを一元管理できる
  • 人事評価業務を効率化できる
  • 従業員のモチベーションアップにつながる
  • 客観的データをもとにした最適な人材配置が可能

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

メリット1: 人材データを一元管理できる

人事評価システムを導入すると、人事評価業務で収集した人材データを一元管理できます。多くの企業では、従業員の個人情報や経歴、スキルなどのデータは各部署で管理されることが一般的でした。評価結果に関しても、その部署の責任者が個別にExcelなどで保管しており、従業員の人材データが複数箇所に散在している企業も多いです。

特定のデータが必要なときには、従業員の情報を探し出すのに時間がかかるため、人事担当者の業務負担が大きくなる傾向があります。人事評価システムは、従業員の情報を集約して一元管理できるため、情報管理におけるコストを削減することが可能です。労務管理や勤怠管理などのシステムと連携すれば、収集した情報を人材データとして有効活用できます。

メリット2: 人事評価業務を効率化できる

人事評価システムを導入すれば、人事評価業務の効率化が期待できます。従来の人事評価はExcelや紙を使用して運用することが多く、評価シートの作成や従業員とのやり取りに時間がかかるといった課題がありました。また、作成した評価シートは従業員に配布・回収する必要があるため、人事担当者の業務負担が大きくなりがちです。

人事評価システムは、評価シートの作成や配布、回収作業をシステム上で管理できます。回収した評価シートは自動集計されるため、人事評価にかかわる業務を大幅に軽減可能です。また、進捗状況はリアルタイムで確認でき、提出が遅れる従業員には自動通知を行える機能もあります。

メリット3: 従業員のモチベーションアップにつながる

人事評価の過程や基準が不透明になると、従業員は自分の評価に不満を抱きます。人事評価は昇給や昇進に直接影響するため、評価結果に納得できないと離職につながる可能性が高いです。

また、評価者の主観や価値観に影響されるため、偏りのある評価になることも考えられます。このような人事評価エラーを防ぐには、人事評価の過程や基準を社内で共有することが重要です。人事評価システムを導入すれば、公平かつ透明性の高い評価が可能です。各従業員への丁寧なフィードバックも可能になるため、個々のモチベーションアップにつながります。

メリット4: 客観的データをもとにした最適な人材配置が可能

人事異動を決める際は、従業員の能力やスキル、実績などを考慮することが必要です。評価者の主観や価値観に影響されると、最適な人事配置が不可能になり、従業員に不満が出ることがあります。結果的に従業員の納得度が低くなり、優秀な人材の流出につながることも多いです。

人事評価システムは従業員の評価に必要な人事データを集約できるため、可視化した情報を考慮して適した部署やプロジェクトへの配置を行えます。これらのデータをもとに人事配置の理由を説明すれば、従業員も納得して働くことが可能です。また、グループ各社も含めた組織全体の人材把握が可能になるため、部署や支社を超えた横断的な人事配置にも役立ちます。

人事評価システムの機能

人事評価システムに搭載されている主な機能には、以下のようなものがあります。

  • 情報管理機能
  • 人事評価機能
  • 目標設定・進捗管理機能
  • タレントマネジメント機能
  • 他システムとの連携機能

それぞれの機能について詳しく解説します。

情報管理機能

人事評価システムには、氏名をはじめ、評価によって変更が生じる可能性のある役職や職種などの従業員の基本情報を管理できる機能が搭載されています。
各部署に散在する人事情報を一元管理し、Excelや紙による人事情報管理から脱却可能です。

履歴書を見返さなくても従業員の強みを確認でき、キャリアプランの策定に活用することが可能です。従業員のパーソナリティをタイプ別に診断する機能がある人事評価システムもあり、従業員の情報を紐づけてデータを蓄積できます。

人事評価機能

人事評価機能は、これまでExcelや紙で行っていた人事評価をシステム上で一括管理できる機能です。Excelや紙で人事評価を運用する企業は、評価シートの準備やファイル管理、評価の進捗管理などの煩雑な業務が増えて人事担当者の負担が大きくなる傾向がありました。

とくに従業員数が多い企業ほど業務負担が大きくなる傾向にあり、有効な対策を見つけられない状態に陥る企業も少なくありません。人事評価システムの人事評価機能を利用すれば、効率的な評価や評価結果の集約により、人事担当者の業務負担を大幅に軽減できます。

目標設定・進捗管理機能

人事評価システムには、目標設定や進捗管理機能が搭載されています。目標設定や進捗管理機能は、個人やチームの目標を設定し、その目標の達成度の進捗や評価を可視化できる機能です。システム上ではリアルタイムに進捗状況を確認でき、目標達成の可能性を向上できます。

また、システム上でフィードバックの共有やデータの管理・分析を行うことが可能です。個人やチームの評価を行いやすく、次の目標を設定する際にも有効活用できます。公正かつ透明性のある評価が可能になり、納得度の高いフィードバックを行えるのもメリットです。

タレントマネジメント機能

人事評価システムには、人事評価の結果や従業員のスキルなどの情報をもとに、最適な人員配置を行えるタレントマネジメント機能が搭載されているものもあります。優秀な従業員にさらに活躍してもらうには、最適な人事異動を実施することが重要です。また、公正かつ透明性のある評価を行えると、従業員の納得度が高まり、エンゲージメントの向上につながります。

さらに、人事異動に納得いかない従業員が退職したり人選ミスが発生したりするなど、人事配置に関する課題を解決することが可能です。人事評価の結果を人事異動やプロジェクトメンバーの抜擢に活用したい場合は、タレントマネジメント機能に強みのあるサービスを選びましょう。

他システムとの連携機能

人事評価システムには、勤怠管理システムや給与管理システムなど他システムと連携可能な機能が搭載されています。これまでExcelや紙で管理していたデータを移行できるため、人事評価システム上で一元管理することが可能です。また、異なるシステムで管理していたデータを集約することで、従業員情報の二重入力を防ぐメリットもあります。

給与管理システムと連携すれば、評価結果を給与・賞与へ自動的に反映させることが可能です。他システムと連携することにより、人事評価と関連する業務を効率化できるため、人事担当者の負担軽減にもつながります。ただし、すべての人事評価システムが他システムと連携できわけではありません。どのようなシステムと連携できるのかをしっかり確認しましょう。

人事評価システムを選ぶ際の比較ポイント

自社に適した人事評価システムを選ぶには、以下のような比較検討すべきポイントがあります。

  • 必要な機能の有無
  • カスタマイズのしやすさ
  • 自社との相性
  • セキュリティ機能
  • サポート体制の充実度

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

必要な機能の有無

人事評価システムによって搭載されている機能が異なります。自社に必要な機能がない人事評価システムを選んでしまうと、期待した効果を得られないことがあります。自社で必要な機能を明確にし、その機能が備わる人事評価システムを導入することが大切です。

企業が人事評価システムを導入する目的は、「人事評価業務を効率化したい」「人材管理全般を効率化したい」に大きく分かれます。人事評価業務を効率化したい場合は、360度評価やコンピテンシー評価など人事評価に特化したシステムを選びましょう。人材管理全般を効率化したい場合は、他システムと連携可能な人事評価システムを選ぶのがおすすめです。

カスタマイズのしやすさ

独自の評価基準がある場合は、評価方法や評価項目を自由にカスタマイズできる人事評価システムを選ぶと効率よく移行することが可能です。自社独自の評価制度がある場合、一般的なシステムで採用されている評価基準と合わないことがあります。自社の評価基準に合わせて作り替えられれば、従来と同じ基準で評価することが可能です。

人事評価制度は法律や制度の変更で変わることがあるため、法律や制度の変更に合わせて対応できるかも確認しておきましょう。また、自由にカスタマイズできる人事評価システムは、専門知識やスキルが必要になることがあります。ITに不慣れな場合は使いにくさを感じる場合があるため、操作性とカスタマイズ性のバランスを考慮することが大切です。

自社との相性

人事評価システムは、自社の企業規模に適したサービスを選ぶことが大切です。とくに、企業規模が大きいほど人事評価のワークフローが複雑になる傾向があります。グループ会社の場合は、企業間での人事異動が多くなり、人材情報の共有が求められる場面も多いです。人事評価システムには、対象の従業員規模が決められている場合があるため注意しましょう。

また、部署の統合や人事異動がある場合、データの引き継ぎが必要になることがあります。システム上でデータを引き継げないと、従業員が異動するたびに登録情報を修正しなければいけません。部署の統合や人事異動に対応できる人事評価システムを選ぶことで、登録情報を修正する手間が省け、人事担当者の負担を大幅に軽減できます。

セキュリティ機能

人事評価システムは、役職、資格、職種などの情報だけではなく、スキルや経験など機密情報を管理します。情報が漏れると、情報を悪用されたり企業の信頼が失われたりするなどのリスクがあります。このようなリスクを低減するには、セキュリティ性が高い人事評価システムを選ぶことが大切です。

とくに、インターネット上で情報を管理するクラウド型の場合、セキュリティはベンダー側に一任されています。どのように情報を管理するのかを確認して、導入する人事評価システムを選ぶことが重要です。また、情報管理の安全性を高めるために、IPアドレス制限や二段階認証などセキュリティ機能が搭載された人事評価システムを選ぶのも有効です。

サポート体制の充実度

人事評価システムを導入する際、操作に慣れるまで人事担当者の負担が大きくなります。とくにシステムの導入直後は、さまざまな疑問や質問が出てくることも多いです。人事担当者の負担を軽減したいなら、サポート体制が充実するシステムを選ぶことをおすすめします。サポート体制の充実度が高ければ、疑問や質問が出てもすぐに解決できます。

システム導入後に、どのようなサポートを得られるのかを確認しましょう。また、人事評価システムの中には、サポート内容によって有料になる場合もあるので注意が必要です。システム導入後に、深刻なトラブルが発生する可能性がないとは断言できません。もしもに備えて、迅速かつ柔軟な対応をしてくれる人事評価システムを選ぶことが大切です。

人事評価システムにおける注意点

人事評価システムで成果を出すには、以下のような注意点を考慮する必要があります。

  • 評価シートを引き継げない可能性がある
  • 従業員へのフォローは引き続き必要

それぞれの注意点について詳しく解説します。

評価シートを引き継げない可能性がある

人事評価システムを導入する場合、これまで使用していた人事評価シートをそのまま使用できないことがあります。既存の人事評価シートを引き継げない場合は、導入したシステムに合わせて人事担当者が新しく作り直すことが必要です。

ただし、評価シートを新しく作り直す場合、人事担当者は通常業務と並行して作業を進めなければいけません。導入直後に人事担当者の業務負担が増えるため、これらの手間を省くのであれば、カスタマイズ性が高いシステムを選ぶのがおすすめです。

従業員へのフォローは引き続き必要

人事評価システムを導入すると、人事担当者の業務負担が軽減されます。しかし、Excelや紙で人事評価をしてきた企業の場合、システムの導入により混乱が生じることがあるため注意が必要です。直感的に操作できるサービスが多いですが、慣れるまでは時間や労力がかかる人事担当者もいます。システム導入後も、従業員をフォローできる体制を整えることが大切です。

また、効率重視でシステムを導入すると、一部の従業員から不満が出る可能性があります。不満が解消されない場合は、離職につながることもあります。従業員の納得感を高めるには、公平かつ適正な人事評価であることを丁寧に説明することが大切です。一方で、従業員の不満が適切である場合は、人事評価システムや活用方法を見直す必要があります。

人事評価システムを導入する流れ

人事評価システムの導入手順は、以下のような流れになります。

  • 自社の課題を明確にする
  • 目的や自社の規模に応じたシステムを選ぶ
  • システムの試運転を行う

それぞれの項目について詳しく解説します。

自社の課題を明確にする

人事評価システムによって、搭載されている機能は異なります。自社に適したシステムを選ぶには、現在抱えている課題を明確にすることが大切です。自社の課題を明確化したら、どのような機能があるとその課題を解決できるのかを考えましょう。

必要な機能を搭載する人事評価システムを選定し、その中から自社に適したものを選びます。また、必要な機能だけでなく、必要のない機能を明確にしておくことも重要です。基本的に、機能が多く搭載されているシステムほど費用は高くなります。不要な機能を把握しておけば、必要最低限の機能が搭載されている人事評価システムを選ぶことが可能です。

目的や自社の規模に応じたシステムを選ぶ

自社の課題を明確にしたら、目的や企業規模に応じて人事評価システムを選定します。導入する人事評価システムを選定したら、導入や評価基準について社内で共有しましょう。とくにExcelや紙で管理してきた人事担当者の場合、新しいシステムの導入に不安を感じることがあります。

また、評価基準が変わる場合は、公正かつ適正に評価されるのか不安を抱いている従業員も多いものです。人事担当者や従業員が納得して受け入れられるように、説明会を設けて丁寧に説明することが欠かせません。さらに、人事評価システムにおける運用ルールの策定も重要です。システム導入の際には、必要なルールを決めて運用しやすい環境を整えましょう。

システムの試運転を行う

人事評価システムが自社に合うのかを確認したい場合は、無料トライアルを利用しましょう。自社に必要な機能が搭載されている人事評価システムでも、実際に使用すると操作しにくいと感じることがあります。試用期間を経て問題がなければ、本格的な導入へと移行しましょう。

また、人事評価システムを導入して軌道に乗せるまで一定の時間がかかります。とくにExcelや紙で管理してきた企業の場合、データベースに登録し直すだけで時間がかかることも多いです。人事評価システムを導入する際は、中長期的な視点で取り組んでいくことが重要になります。

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まとめ

人事評価の業務は、評価シートの作成や従業員とのやり取りに時間がかかるため、人事担当者の負担が大きくなる傾向があります。また、人事評価のために収集した従業員情報を部署の統合や人事異動に有効活用できていない企業も少なくありません。これらの課題を解決したい場合は、人事評価システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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カシオヒューマンシステムズ コラム編集チーム

カシオヒューマンシステムズコラム編集チームです。
人事業務に関するソリューションを長年ご提供してきた知見を踏まえ、
定期的に「人事部の皆様に必ず今後の業務に役立つ情報」を紹介しています。