労務管理システムとは?機能や比較ポイントを解説

2024.04.03

労務管理システムは、従業員の情報管理や年末調整の手続きなど労務管理業務を効率化するためのシステムです。業務効率化を図れるなど多くのメリットを得られますが、導入時はいくつか注意点があります。今回は、労務管理システムの機能やサービスの選び方について解説します。

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  • 申請

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労務管理システムとは

労務管理システムとは、入退社手続きや従業員情報の管理、年末調整など労務管理業務を効率化するためのシステムです。従業員が多い会社や入退社が頻繁に行われる会社の場合、労務管理業務が増えるため、担当者の業務負担が大きくなる傾向があります。

また、法定労働時間を超えて労働できる時間は、原則として45時間/月、360時間/年が上限です。担当者の管理ミスで従業員を法定労働時間を超えて働かせた場合には、6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金刑が科せられます。労務管理システムを導入すれば、簡単な入力作業で管理できるため、業務量の負担やミスを軽減することが可能です。

参考:労働基準法

労務管理システムに搭載されている機能

労務管理業務は多岐にわたるため、労務管理システムに搭載されている機能も多様です。搭載機能もサービスによって異なるため、自社で抱える問題を解決できるシステムを選ぶことが大切です。労務管理システムに搭載されている基本的な機能には、以下のようなものがあります。

  • 入退社の手続き
  • 扶養家族の追加
  • 従業員情報の管理
  • 年末調整の手続き

それぞれの概要を以下で確認していきましょう。

【入退社の手続き】
入退社時の書類作成や従業員の基本的な情報管理を行える機能です。社会保険や雇用保険資格の取得・喪失届、扶養控除等申告書の作成などの書類作成も行えます。労務管理システムによっては、関係機関の提出もシステム上で完結できます。

【従業員情報の管理】
連絡先登録やマイナンバー、扶養家族の追加など基本情報を管理できる機能です。従業員が直接入力した情報を管理できる労務管理システムもあり、労務担当者の業務負担を減らせます。従業員数が多くなると業務が増えるため、労務管理システムを導入すると業務効率化が可能です。

【年末調整の手続き】
従業員の基本情報と連携して、給与支払報告書や源泉徴収票、所得税徴収高計算書など年末調整に必要な書類作成・提出を行える機能です。従業員への書類の受け渡しも不要になるため、テレワーク環境下でもスムーズに手続きを完了できます。

労務管理システムを導入する5つのメリット

労務管理システムを導入すると、業務効率化を図れる以外にもさまざまなメリットが期待できます。主なメリットは、以下のとおりです。

  • 労務管理業務を効率化できる
  • 法改正に迅速に対応できる
  • 勤怠データを一元化できる
  • 電子申請が可能
  • 他のシステムと連携できる

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

メリット1:労務管理業務を効率化できる

労務管理システムを導入することで、労務管理業務の効率化が期待できます。給与支払報告書や源泉徴収票など労務管理関係の書類を作成するには、各従業員の情報を入力しなければいけません。手作業で入力する場合、慎重に作業を進めても人的なミスが発生することがあります。

労務管理システムは電子申請に対応しており、従業員自身に情報を入力してもらうことが可能です。入力や申請を簡素化できるため、ミスや修正の手間を大幅に軽減できます。また、従業員が自身の情報を直接システム上に入力できれば、書類を配布や回収する手間を省くことが可能です。従業員への書類の受け渡しが不要になるため、業務効率化を実現できます。

メリット2:法改正に迅速に対応できる

労務管理業務は、労働基準法に順守する必要があります。労働基準法が改正された際、労務担当者は随時労務・勤怠管理業務を見直さなければいけません。通常業務を進めながら、法改正を理解して業務に反映させていくのは労務担当者に負担がかかるものです。

労務管理システムには、法改正に応じてアップデートされる機能が搭載されています。法改正に適合するように自動的に改正されるため、担当者の負担を軽減することが可能です。また、ミスによる法令違反などのリスクを防げるメリットもあります。

参考:労働基準法

メリット3:勤怠データを一元化できる

労務管理システムでは、勤怠情報を一元管理できます。紙で情報管理する場合、各部署で情報を保管することが多く、重要な情報の散逸やデータの整合性が保てないなどのリスクがあります。労務管理システムを導入すれば、検索や更新が容易になり、データの整合性を保てます。

また、労務管理システムは情報を正確に管理することが可能です。たとえば、タイムカードや出勤簿による勤怠管理を行う場合、本人でなくても打刻できてしまう欠点があります。顔認証や指紋認証など生体認証に対応する労務管理システムであれば、本人以外の打刻はほぼ不可能です。不正な打刻を防げるのは、労務管理システムを活用する大きなメリットです。

メリット4:電子申請が可能

労務管理システムを導入すると電子申請が可能になります。紙で申請を行う場合、従業員が記入した書類を手渡す、または郵送する必要がありました。労務管理システムで電子申請が可能になると、オンラインでいつでも申請や承認を行えます。

また、担当者はシステム上で従業員の申請状況をリアルタイムで確認可能です。申請が遅れている従業員に自動通知できる設定があるため、漏れや遅延リスクを防げます。労務管理システムで作成した書類のまま電子申請できる場合もあり、担当者の負担を軽減できるのもメリットです。

メリット5:他のシステムと連携できる

労務管理システムは外部システムと連携可能なものも多くあります。給与計算システムと連携させると、勤務時間や残業時間など給与計算に必要な情報を自動的に集計することが可能です。会計システムと連携させれば、面倒な入力や仕訳を自動化して会計処理を効率化できます。

また、業務上での人為的なミスを削減できるのも労務管理システムを導入するメリットです。従業員が多い会社や入退社が頻繁に行われる会社の場合、労務管理に関する業務が増えるため、担当者の負担が大きくなる傾向があります。業務量が増えると人為的なミスが起こる確率も上がるため、外部システムとの連携で業務を自動化できるのは魅力です。

労務管理システムを導入する際の注意点

多くのメリットが期待できる労務管理システムですが、導入時はいくつか注意点があるのも事実です。主な注意点には、以下のようなものがあります。

  • システムにより機能が異なる
  • 更新や保守に一定の手間を要する
  • 一定のコストが発生する
  • 電子申請不可の手続きがある

それぞれの注意点について詳しく解説します。

システムにより機能が異なる

労務管理システムは多くの企業が開発しており、対応サービスは一律ではありません。勤怠管理や給与計算に特化したシステムや社会保険関連管理に特化したシステムなど多種多様です。

この点を考慮して労務管理システムを選ばないと、求めていた機能がないといった事態になる可能性があります。どの分野で業務効率を向上させたいのかをよく検討したうえで、自社に適した労務管理システムを選ぶことが大切です。

更新や保守に一定の手間を要する

ITに不慣れな従業員がいる場合、労務管理システムを導入することで負担になることがあります。労務担当者が入力期限を決めても、時間内に対応できずに回収効率が悪くことも考えられます。システムの操作に早く慣れてもらうために、マニュアルを作成するのがおすすめです。

マニュアルがあれば誰でも確認できますが、マニュアルを読んだだけでは理解できない従業員も少なくありません。このような場合は、入力時にサポートできる体制を社内で整えましょう。労務管理システムを提供する業者もあるため、コールセンターを利用するのも有効です。

一定のコストが発生する

労務管理システムは労務担当者の業務負担を軽減できますが、利用を継続するには一定のコストが発生します。とくに、自社サーバーにインストールして使用するパッケージ型の労務管理システムは、クラウド型に比べると費用が高額になる傾向があります。

パッケージ型の費用が高くなるのは、バージョン更新や保守作業を自社で行う必要があるためです。社内に知識やノウハウを持った人材がいない場合、新たに雇用するか、外部委託しなければいけません。クラウド型は、利用し続けるかぎり月額料金を支払う必要があります。

電子申請不可の手続きがある

労務管理システムを導入することで、電子申請が可能になります。電子申請に対応できれば、オンライン上で申請を行えるため、労務担当者の負担を軽減することが可能です。しかし、電子申請に対応していない手続きがあるため、事前に確認しておきましょう。

たとえば、雇用保険の手続きは電子申請可能ですが、企業で加入先が異なる健康保険組合は、電子申請を利用できない場合があります。また、労働保険事務組合に加入しており、手続きを委託している場合も原則として電子申請できません。

労務管理システムを選ぶ際の比較ポイント

自社に適した労務管理システムを導入するには、いくつかのポイントを抑えることが大切です。主なポイントには、以下のようなものがあります。

  • 操作性
  • 他システムとの連携性
  • サポート体制の充実度
  • セキュリティ体制

それぞれの注意点について詳しく解説します。

操作性

労務管理システムを選ぶ際は、操作性を確認しておくことが大切です。業務効率化が期待できる労務管理システムですが、操作が複雑すぎると従業員が慣れるまでに時間がかかります。

労務管理システムは従業員も使用するため、全員が扱えるものを選ぶことが大切です。とくにITに慣れていない従業員が多い場合は、シンプルで感覚的に操作できるシステムを選ぶのが望ましいです。トライアルを提供する労務管理システムもあるため、導入前に使い勝手を確認しましょう。

他システムとの連携性

導入している他社の給与計算システムや勤怠管理システムがある場合、他システムとの連携性に優れているのかを確認することが大切です。企業が使用しているシステムは多岐にわたり、それぞれで保有する情報を共有できると業務効率化につながります。

たとえば、給与計算システムと連携できれば、労務管理システム内に保存している勤怠情報を用いて給与を自動計算することが可能です。給与計算業務の負担軽減にもつながるため、導入前に他システムとの連携性をしっかり確認しておきましょう。

サポート体制の充実度

労務管理システムを導入するにあたって、トラブルが発生する場合があります。このような事態に備えて、サポート体制が充実するシステムを選ぶことが重要です。

サポート体制の充実度が高ければ、トラブルが発生しても迅速かつ適切に対応できます。具体的には、操作マニュアルや問い合わせ窓口などが整備されていると安心です。他にも、運用支援やトライアルの有無を確認しておくことをおすすめします。

セキュリティ体制

労務管理システムは機密性の高い情報を扱うため、セキュリティ対策が重要です。セキュリティ対策が不十分なシステムを選んでしまうと、個人情報漏えいが発生するリスクがあります。労務管理システムの暗号化や二段階認証などセキュリティ機能を確認することが大切です。

クラウド型を利用したい場合は、ベンダーのセキュリティ対策を確認しましょう。たとえば、情報を適切に管理するISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の認証を受ける場合、一定のセキュリティ対策を講じていると判断できます。

労務の負担を減らすならカシオヒューマンシステムズ

労務業務は入退社手続きや勤怠管理、年末調整など多岐にわたり、従業員数が多い企業ほど労務担当者の業務負担が大きくなりがちです。労務担当者の業務負担を減らすためには、労務管理業務を効率化できる労務管理システムの導入を検討するのがおすすめです。

「ADPS(アドプス)」は、カシオヒューマンシステムズ株式会社が提供する人事統合システムです。「ADPS」を導入すれば、情報管理や給与計算など労務業務を一元管理できます。また、シンプルなインターフェースを構築しており、ITに不慣れな従業員でも感覚的に操作可能です。

詳しくは、以下をご確認ください。

人事統合システム
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  • 申請

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まとめ

入退社手続きや勤怠管理など労務業務は多岐にわたります。とくに、従業員が多い会社や入退社が頻繁な会社は、担当者の業務負担が大きくなりがちです。労務管理システムを導入すれば、勤怠情報を一元化できたり法改正に迅速に対応できたりするため、業務効率化を実現できます。

また、他のシステムと連携できる労務管理システムを導入すれば、業務効率を高められるうえに、業務上での人為的なミスを削減することも可能です。労務担当者の負担を減らしたいなら、人事情報や勤怠管理情報と連携可能な人事統合システムの導入を検討しましょう。

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カシオヒューマンシステムズ コラム編集チーム

カシオヒューマンシステムズコラム編集チームです。
人事業務に関するソリューションを長年ご提供してきた知見を踏まえ、
定期的に「人事部の皆様に必ず今後の業務に役立つ情報」を紹介しています。