私たちは、イチゴを中心とした季節の果物を、ケーキ屋さんやパン屋さん向けに卸しています。取り扱う果物の種類は時期によって変わりますが、常時およそ30品目あります。仕入れ先は、地元の農家さんから直接買い付けるものと、市場を通じて仕入れるものが、だいたい半々の割合です。中でも一番大切にしているのは「品質」です。いくら安くても、半分腐っているようなものでは意味がありません。仕入れの段階から保管に至るまで、「お店の先にいるお客様」の存在を常に意識し、きちんとした状態の果物を届けられるよう心がけています。生鮮品なので、温度管理などにも非常に気を配っています。
一番の悩みは、人為的なミスでした。うちは注文の約9割がFAXで届いており、それを1枚ずつ確認しながらピッキングリストに手書きで転記し、さらに販売管理システムに入力し直すという、三つの工程が必要でした。その過程で、例えば「ブルーベリーの欄に入力したつもりが、隣のオレンジの欄に書いてしまっていた」といったケアレスミスが、日常茶飯事だったのです。注文処理からピッキングリストの作成、伝票入力まで、毎日あわせて約3時間かかっていて、業務時間が長くなることに相当な負担を感じていました。繁忙期には、夜10時まで作業が続くこともあり、翌日の配達準備が間に合うかどうか、毎日ヒヤヒヤしていたのを覚えています。また、果物は日によって価格や状態が変わるため、「今日は少し高めです」や「この品種は熟しているので早めに使ってください」といった情報を、得意先にきちんと伝えたいとも思っていました。
しかし、以前は電話か配達時の口頭でしか伝える手段がなく、そのために伝えられたお客様とそうでないお客様が出てしまい、情報のムラも気になっていました。
とにかくミスが多く、転記作業にも非常に時間がかかっていました。伝票を夜遅くまで打ち続ける日が続くと、「もうダメだ、思考力も落ちてきているな…」と、自分でも限界を感じるようになっていました。そんな中、周囲の業者さんでもWebで受発注を行っている会社が増えてきていて、「みんなやっているなら、うちもそろそろ考えないと」と思ったことが、大きなきっかけです。その中でBC受発注に決めた理由は、販売管理システムとの連携ができる点が一番の決め手でした。「連携できる」と聞いた瞬間に、「それだ!」とピンときたのを覚えています。価格も納得感があり、サポートもスムーズだったため、導入まではわずか1ヶ月ほどでした。
注文の9割を占めていたFAXが、現在では全体の約5割がBC受発注経由になりました。中でも特に活用しているのが「広告・お知らせ機能」です。週2回、商品情報を画像付きで更新し、「今週はこれが安いです」「桃が入りました」といった情報を注文画面に必ず表示させ、全得意先に確実に届けられるようになりました。果物の活用例を写真で紹介し、エディブルフラワーなどの新商品も積極的に見せています。画像もスマホですぐに更新できるので非常に助かっており、「見やすい」「すごく助かる」とお客様からも好評です。得意先には、配達時に「スマホで注文できますよ」と直接ご案内し、年齢層やITリテラシーに合わせて無理なく浸透させていきました。
さらに、導入とあわせてEZ販売管理の提案も受けました。ちょうどマスタ情報を整理したかったタイミングだったこと、販売管理システムを入れ替えることで連携もスムーズになるとわかり、受発注と販売管理の両方をあわせて導入しました。
導入して一番実感したのは、「業務がとにかくラクになった」ということです。
それまで毎日3時間ほどかかっていた受注処理が、今では1時間程度で終わるようになりました。さらに、ミスもほとんどゼロになっています。Web注文のデータがそのまま反映されるため、転記の必要がなくなり、安心感がまったく違います。
ただ、個人的にいちばん「導入してよかった」と感じているのは、情報発信が格段に楽になったことです。価格や入荷状況をリアルタイムでお知らせできるのはもちろん、商品の使い方なども一緒に発信できるようになりました。インスタやホームページだと見てもらえるかわからないけれど、注文画面は必ず見てもらえる。だから、確実に届くのです。この“確実に届く”という点は本当に大切で、今では単なる受注ツールではなく、“売るためのツール”としても活用できている感覚があります。業務の手間が減ったことで、確認や提案といった“考える仕事”に時間を使えるようになったのも、大きな変化のひとつです。