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「理論在庫」と「実在庫」に差が出る原因と対策を解説

2025.10.31|最終更新日:2025.10.31

在庫管理の現場では、「システム上の在庫数と実際の在庫数が一致しない」という問題を抱えるケースが多く見られます。こうしたズレは、欠品による機会損失や過剰在庫によるコスト増大を招く可能性があり、対策が必要です。

ここでは、理論在庫と実在庫の違いを整理し、なぜ差異が発生するのか、その原因と具体的な解消方法について掘り下げて解説します。

目次

  1. 1.理論在庫とは? 実在庫・棚卸差異との関係
  2. 2.「実在庫」と「理論在庫」に「棚卸差異」が発生する原因
  3. 2-1. 記録の誤差・タイムラグ
  4. 2-2. 需要の変動・リードタイム
  5. 2-3. 情報の共有不足
  6. 3.理論在庫と実在庫の差異を解消する方法
  7. 3-1. デジタル化で実在庫をリアルタイムに把握
  8. 3-2. 棚卸業務をデジタル化する
  9. 3-3. 在庫情報を一元化・可視化する
  10. 3-4. 理論在庫の精度を高める
  11. 4.まとめ

1.理論在庫とは? 実在庫・棚卸差異との関係

「理論在庫」とは、入出庫の記録や仕入れ・売上データに基づいて管理される、帳簿上の在庫数量を指し、「帳簿在庫」や「伝票在庫」とも呼ばれます。

一方「実在庫」とは、倉庫や店舗で物理的に数量を確認した、実際に存在する在庫のことです。

適切な在庫管理が行われていれば両者は一致しますが、実際には差異が生じることが多く、これを「棚卸差異」といいます。

2.「実在庫」と「理論在庫」に「棚卸差異」が発生する原因

では、なぜ実在庫と理論在庫がズレて、棚卸差異が発生してしまうのでしょうか。その主な原因について見ていきましょう。

2-1.記録の誤差・タイムラグ

まず挙げられる原因が、記録時の人的ミス(ヒューマンエラー)や、データ反映のタイムラグです。

在庫管理では、検収・ピッキング・出荷・返品・棚卸など、人手による作業が複数の工程で発生します。紙の伝票を使い、手入力でシステムに登録する場合、数え間違いや記入漏れ、入力ミスといったヒューマンエラーをゼロにすることは難しいでしょう。

また、入出荷のタイミングと、その情報がシステム上の理論在庫に反映されるタイミングにタイムラグが生じることも原因となります。運悪くこのタイムラグ中に発注判断が行われると、欠品や過剰在庫につながるのです。

2-2.需要の変動・リードタイム

理論在庫の算出は、過去の需要や発注リードタイム(発注から納品までにかかる時間)に基づいて行うのが一般的です。

しかし、実際のビジネスでは、メディアで取り上げられたことなどによる急な需要の変化や、サプライヤー側の都合による納期遅延なども発生するでしょう。

理論在庫の計算式は、こうした想定外の変動に柔軟に対応できないケースがあります。理論値に依存しすぎると、急な需要増加で欠品を起こしたり、逆に需要が落ち込んだ際に過剰在庫を抱えたりするリスクが高まるでしょう。

2-3.情報の共有不足

在庫管理は、倉庫現場だけでなく、営業や生産などの関連部門が連携して行います。しかし、これらの部門間で在庫情報がリアルタイムに共有されていないと、差異が発生しがちです。

加えて、管理手順が明確でない場合や、ベテラン社員の経験則に頼る属人的な運用では、作業方法が統一されず、チェック漏れが起きやすくなります。キーパーソンが不在になると業務が停滞するリスクもあります。

3.理論在庫と実在庫の差異を解消する方法

理論在庫と実在庫の差異を放置することは、経営上のリスクになります。この差異を最小限に抑え、在庫管理の精度を高めるためには、どのような対策が有効なのでしょうか。

3-1.デジタル化で実在庫をリアルタイムに把握

差異を解消する第一歩は、現場にある「実在庫」の状況をリアルタイムで正確に把握することです。

従来の手作業や目視による在庫チェックは、ヒューマンエラーが発生しやすく、またタイムラグも生じがちでした。そこで、専用のシステムを導入しデジタル化(IoT化)する方法があります。

例えば、在庫を置く棚などに重量センサーを設置し、在庫の増減を自動で計測・記録するシステムがあります。このシステムにより、人手を介さない自動計測が可能となり、入力ミスや情報更新の遅れを大幅に削減できます。

3-2.棚卸業務をデジタル化する

在庫管理の精度を保つためには、定期的な棚卸が不可欠です。しかし、この棚卸作業が手作業の場合、数え間違いや転記ミスなど、新たなヒューマンエラーが起こり得ます。

この課題に対し、バーコードリーダーやRFID技術を導入する企業が増えています。商品を読み取り機器でスキャンすることで在庫データが即座に更新され、人為的な誤りを大きく減らすことができます。

3-3.在庫情報を一元化・可視化する

在庫管理の精度を高めるには、関連部門との連携を高めることも欠かせません。

その方法として、倉庫管理システムや基幹業務システムなどを利用した在庫管理があります。全部門が最新の在庫情報をリアルタイムで確認できる環境を整えられれば、実在庫と理論在庫のズレが減らせます。

また、システムによって在庫情報が一元管理されることで、部門によって持っている在庫情報が異なるといったケースも防ぐことができます。

3-4.理論在庫の精度を高める

実在庫の正確な把握と同時に、「理論在庫」そのものの精度を高めることも大切です。

従来の計算では、急な需要変動に対応しきれない場合があります。そこで近年では、AI(人工知能)を活用した需要予測なども登場しています。これは、過去の販売履歴や市場のトレンド、天候などの外部要因をより計算に取り入れるもので、精度の高い需要予測が可能になります。

これまでは、こうしたシステムの導入にはかなりのコストが必要でしたが、今後AIの普及により低価格化する可能性があります。在庫の適正化に役立つ方法として覚えておくとよいでしょう。

4.まとめ

理論在庫と実在庫の差異を放置すると、欠品による機会損失や過剰在庫によるコスト増大など、経営に悪影響を及ぼす可能性があります。

差異を解消するためには、専用システムなどを導入し実在庫をリアルタイムかつ正確に把握する方法が考えられます。

実在庫と理論在庫の棚卸差異に悩んでいる事業者の方は、システムの導入により部門間の情報を一元化し、業務ルールを徹底するなどの対策を取ることで、在庫管理の精度向上を図ってみてはいかがでしょうか。

理論在庫のズレの入口対策にカシオの「BC受発注」

理論在庫と実在庫の差異が生まれる原因の一つとして、電話やFAXで受けたアナログな注文を、販売管理システムなどへ手入力する際のヒューマンエラーが挙げられます。聞き間違いや読み間違い、転記ミスといった問題が、理論在庫の元となるデータを入口の時点で狂わせてしまうのです。

カシオの受発注システム「BC受発注」は、手入力のプロセスそのものをデジタル化するツールです。得意先がスマートフォンやPCから直接デジタルデータで発注するため、受注側での聞き間違いや入力ミスといったヒューマンエラーの発生を根本から防ぐことが期待できます。

在庫差異の問題を解消するために、在庫データの大元となる受注業務のデジタル化から始めてみてはいかがでしょうか。

以下のページでは、BC受発注について詳しく紹介しているので、ぜひ導入の参考にご覧ください。
https://www.casio-human-sys.co.jp/bc-order/