電子帳簿保存法とは?電子取引データの保存要件や対応方法を解説
最終更新日:2026.7.3
電子帳簿保存法は、帳簿や書類を電子データで保存する際のルールを定めた法律です。なかでも、メールやWebサイト、クラウドサービスなどでやりとりした請求書・領収書などの「電子取引データ」は、紙に印刷するだけでなく、電子データのまま保存する必要があります。
ここでは、電子帳簿保存法の対象となる書類・データ、電子取引データの保存要件、対応時の注意点に加え、システムを活用するメリットまで解説します。
目次
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法は、税務関係の帳簿や書類について、一定の要件を満たせば電子データで保存できることを定めた法律です。すべての帳簿や書類を必ず電子化しなければならないわけではありません。
保存の区分のうち、電子帳簿等保存とスキャナ保存は任意の制度です。一方、電子データでやりとりした取引情報については、電子取引データ保存への対応が求められます。
電子帳簿保存法の対象は3種類に分けられる
電子帳簿保存法における保存の区分は、次の3種類に整理されています。
| 区分 | 概要 | 対象の例 | 義務か任意か |
|---|---|---|---|
| 電子帳簿等保存 | 会計ソフトなどで電子的に作成した帳簿・書類を、データのまま保存する | 仕訳帳、総勘定元帳、自社が発行した請求書の控えなど | 任意 |
| スキャナ保存 | 紙で受け取った書類や、紙で交付した書類の写しをスキャンして保存する | 紙で受け取った請求書、領収書、契約書など | 任意 |
| 電子取引データ保存 | 電子データでやりとりした取引情報を、データのまま保存する | メール添付のPDF請求書、Webサイトからダウンロードした領収書など | 原則として対応が必要 |
電子取引データ保存は多くの事業者に関係する
実務で特に重要なのが、電子取引データ保存です。
メールに添付されたPDFの請求書、ECサイトからダウンロードした領収書、クラウドサービス上で受け取る請求書、インターネットバンキングの振込明細など、電子データでやりとりする取引書類は、業種や規模を問わず多くの事業者の日常業務に含まれています。
会計ソフトを使用していないケースでも、取引先から請求書をメールで受け取っている場合は、電子取引データ保存への対応が必要です。
電子帳簿保存法の対象となる書類・データ
電子帳簿保存法の対象となる書類・データは、保存区分によって異なります。ここでは、3つの区分ごとに対象を整理します。
電子帳簿等保存・スキャナ保存の対象
電子帳簿等保存の対象となるのは、会計ソフトや販売管理システムなどで最初から電子的に作成した帳簿や書類です。たとえば、仕訳帳、総勘定元帳、自社がシステムで作成した請求書や見積書の控えなどが該当します。
スキャナ保存の対象となるのは、紙でやりとりした書類です。取引先から紙で受け取った請求書、領収書、契約書、見積書などは、一定の要件を満たせばスキャンして電子保存できます。
いずれも任意の制度であり、帳簿や紙の書類を必ず電子化しなければならないわけではありません。
電子取引データ保存の対象
電子取引データ保存の対象となるのは、取引情報を電子データで授受した場合の、そのデータです。ここでいう取引情報とは、以下の書類に通常記載される情報を指します。
- 注文書
- 契約書
- 送り状
- 領収書
- 見積書
- 請求書
これらの書類に相当する内容を電子データで受け取ったり、自社から送ったりした場合、そのデータが電子取引データ保存の対象です。
電子取引データに該当する具体例
電子取引データに該当する主な例としては、次のようなものが挙げられます。
- メールに添付されたPDFの請求書・領収書
- クラウド請求書サービスで受け取った請求書
- ECサイトや通販サイトからダウンロードした領収書
- インターネットバンキングの振込明細
- EDI取引でやりとりした注文書・納品書
- Web上で発行される利用明細や請求データ
なお、インボイス制度に対応した適格請求書(インボイス)を電子データでやりとりする場合も、電子取引データ保存の対象となります。
電子取引データに該当するかどうかは、書類の受け取り方によって決まります。そのため、紙で受け取った書類と電子で受け取ったデータは、分けて管理することが重要です。
電子取引データの保存要件
電子取引データを保存する際は、単にファイルを残すのではなく、一定の要件を満たす必要があります。実務で押さえるべきポイントは、次のとおりです。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 電子データの保存 | 紙に印刷するだけでなく、電子データそのものを保存する |
| 改ざん防止の措置 | タイムスタンプ、訂正・削除履歴が残るシステム、事務処理規程などで真実性を確保する |
| 確認・出力できる環境 | 保存したデータを画面で確認し、必要に応じて印刷できるようにする |
| 検索機能 | 原則として、取引年月日・取引金額・取引先で検索できるようにする |
| ダウンロード対応 | 税務調査などでデータの提示・提出を求められた場合に応じられるようにする |
電子データのまま保存する
電子取引データは、紙に印刷するだけでなく、電子データそのものを保存する必要があります。メール添付のPDF請求書であればそのPDFファイルを、Webサイトからダウンロードした領収書であればそのデータを保存します。
保存期間は、各税法で定められた帳簿書類の保存期間に従います。法人は原則7年間、個人事業者は書類の種類により5年間または7年間の保存が必要です。
改ざん防止・確認・出力・検索に対応する
電子取引データは、改ざん防止の措置を講じたうえで、必要なときに画面で確認・出力できる状態にしておく必要があります。改ざん防止の方法は、タイムスタンプの付与、訂正・削除履歴が残るシステムの利用、事務処理規程の整備などです。
また、原則として「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3項目で検索できるようにする必要があります。ファイル名やフォルダ構成を統一する方法もありますが、取引件数が多い場合は、電子帳簿保存法に対応したシステムを使うと管理しやすくなります。
検索要件が緩和されるケースもある
電子取引データの検索要件には、事業者の規模や管理状況に応じた緩和措置があります。
| 検索要件が緩和されるケース | 概要 |
|---|---|
| 基準期間の売上高が5,000万円以下の場合 | 税務調査時のダウンロードの求めに応じられるようにしていれば、検索要件は不要 |
| 出力書面を日付・取引先ごとに整理している場合 | 電子取引データを出力した書面を、日付・取引先ごとに整理して提示・提出できる場合、検索要件が不要になる |
※いずれの場合も、税務調査時に電子取引データのダウンロードの求めに応じられることが前提です。
基準期間は、法人であれば原則として2期前の事業年度、個人事業者であれば2年前の1年間を指します。
ただし、検索要件が緩和される場合でも、電子取引データ自体の保存は必要です。緩和措置は「検索できる状態を整える負担を軽くする仕組み」であり、電子データ保存そのものを免除する制度ではありません。
電子取引データ保存の猶予措置
以前は、電子取引データを出力した書面で保存することを認める宥恕措置がありましたが、これは2023年12月31日で終了しました。そのため現在は、電子取引データを電子データのまま保存することが原則です。ただし、一定の場合には、保存要件を緩和する猶予措置が設けられています。
現在の猶予措置は、保存要件に従って電子取引データを保存できなかったことについて、相当の理由があると認められる場合に適用されるものです。
猶予措置が認められた場合でも、電子データを保存しなくてよいわけではありません。電子取引データそのものを保存したうえで、税務調査などの際に、データのダウンロードの求めや、出力書面の提示・提出の求めに応じられるようにしておく必要があります。
電子帳簿保存法に対応するメリット
電子帳簿保存法への対応は、書類管理を見直すきっかけにもなります。紙の書類を電子データで管理できれば、保管スペースや印刷コストの削減につながるでしょう。
また、請求書や領収書などを日付・取引先・金額で探しやすくなるため、過去の書類を確認する手間も軽減できます。税務調査の際にも、必要なデータを提示・提出しやすくなる点は実務上の利点です。
さらに、見積書、注文書、納品書、請求書などを一元管理できれば、経理業務や販売管理業務の効率化も期待できます。
電子帳簿保存法に対応する際の注意点
電子帳簿保存法に対応する際に特に注意したいのは、電子で受け取った書類を紙だけで保存しないことです。印刷して使うこと自体は問題ありませんが、元の電子データも必ず保存する必要があります。
また、保存先やファイル名の付け方、確認方法などのルールを社内で統一し、保存担当者を決めておくことも重要です。保存場所が担当者ごとにばらばらだと、必要なときにデータを探せなくなる可能性があります。
さらに、紙で受け取った書類を電子化する「スキャナ保存」と、電子データで受け取った書類を保存する「電子取引データ保存」は扱いが異なります。請求書や領収書は複数の部署で受け取ることもあるため、誰がどの書類を受け取り、どこに保存するのかを関係者全員で共有しましょう。
電子帳簿保存法への対応にはシステム活用がおすすめ
電子取引データは、フォルダ分けやファイル名のルールでも管理できますが、取引件数が増えると、保存漏れや検索のしづらさが起こりやすくなります。また、担当者の異動や退職によって、保存場所や管理方法が分からなくなるリスクも考えられます。
電子帳簿保存法に対応したシステムを活用すれば、データの保存、検索、権限管理、訂正・削除履歴の管理などを仕組み化しやすくなります。見積書、注文書、納品書、請求書などの取引書類を一元管理できれば、電子帳簿保存法への対応にとどまらず、販売管理や経理業務の効率化にも役立つでしょう。
まとめ
電子取引データは、紙に印刷するだけでなく、電子データのまま保存する必要があります。保存漏れを防ぐためにも、保存方法や社内ルールを整えておきましょう。
電子帳簿保存法に対応したシステムを活用すれば、書類管理にかかる日々の手間も軽減できます。
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参照サイト:
・電子帳簿等保存制度特設サイト|国税庁
・電子取引関係|国税庁
・電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和7年6月)|国税庁
・電子帳簿保存法対応!令和6年1月以降の電子取引データの保存方法について(令和6年11月)|国税庁
・電子取引データ保存要件チェックシート(令和6年11月)|国税庁
・電子帳簿保存法関係|国税庁
・請求書等を帳簿に自動連携する仕組みに対応した制度が新設されました~令和7年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要~(令和7年4月)|国税庁

