クラウド請求書システムとは?メリット・デメリットと選び方を解説
請求書の作成や確認、印刷、封入、郵送には、多くの手間がかかります。取引先や請求件数が増えるほど、入力ミスや請求漏れを防ぐための確認作業も増えるでしょう。こうした請求業務を効率化する方法のひとつが、クラウド請求書システムです。
ただし、導入すればすべての請求業務を自動化できるわけではなく、通信障害の影響や取引先指定の書式、既存システムとの連携などの確認が欠かせません。ここでは、クラウド請求書システムの基本から、メリット・デメリット、選び方まで解説します。
目次
クラウド請求書システムとは
クラウド請求書システムとは、インターネットを通じて請求書の作成、発行、送付、管理などを行うシステムです。取引先や品目を登録して請求書を作成し、PDFのメール送信や、郵送代行などによって送付できます。
電子請求書は、電子データとして発行・送受信する請求書を指しますが、クラウド請求書システムは、請求業務に利用するシステムを指します。クラウド上で作成した請求書を紙で郵送する運用もあり、請求書の郵送代行を用意しているサービスもあります。
クラウド請求書システムのメリット
クラウド請求書システムには、請求業務の負担を減らすだけでなく、請求情報を管理しやすくする効果も期待できます。
請求書の作成・発行・送付を効率化できる
取引先や品目、単価などをあらかじめ登録しておけば、毎回同じ情報を入力せずに済みます。サービスによっては、過去の請求書の複製や、毎月発生する請求書の自動作成も可能です。
請求金額や消費税額をシステム上で計算することで、手計算や転記の手間を減らせます。さらに、請求書をメールやWeb上で送付できれば、印刷、封入、投函にかかる作業や費用も削減できます。
請求漏れや入力ミスを防ぎやすい
クラウド請求書システムには、作成済み、承認待ち、送付済み、入金済みといった状況を一覧で確認できるものがあります。こうしたシステムを利用すれば、担当者ひとりに頼らず、請求予定日や送付状況をほかの従業員も把握できるようになり、請求漏れの防止にも役立ちます。
請求情報を一元管理・共有できる
取引先情報、請求書、送付状況、入金状況などをまとめて管理することで、必要な情報を探しやすくなります。担当者が不在の場合も、ほかの従業員が状況を確認できるため、業務の属人化を抑えるうえでも効果的です。また、クラウド型であれば、社外や別拠点からも利用できます。
さらに、販売管理システムや会計ソフト、銀行口座などと連携できるシステムであれば、売上データの転記、仕訳入力、入金確認といった周辺業務の効率化にもつながります。
クラウド請求書システムのデメリットと対策
クラウド請求書システムは便利ですが、インターネット上のサービスであることによる制約もあります。ここでは、デメリットとその対策を確認しましょう。
通信障害やサービス停止の影響を受ける
クラウド請求書システムは、基本的にインターネットへ接続して利用します。そのため、通信障害やサーバー障害などによって、請求書を作成・確認できなくなることがあります。
請求書の提出期限が厳格な取引先がある場合、短時間の停止でも入金時期に影響するかもしれません。障害情報の連絡方法、復旧までの対応、データの出力方法などを確認しておきましょう。提出期限に余裕を持つ、緊急時の業務手順を決めておくといった対策も必要です。
自社や取引先の業務に対応できない場合がある
請求業務の流れは、企業ごとに異なります。取引先指定の書式、複数の締日、納品先と請求先が異なる親子請求、請求時の値引きなど、独自の処理も珍しくありません。
クラウド請求書システムがこうした業務に対応できなければ、システム外での修正や従来の方法との併用が必要になります。また、取引先によっては紙の請求書や指定の送付方法を求められることもあるでしょう。
導入前に現在の業務を整理し、無料トライアルなどを利用して、実際の業務で問題なく利用できるかを確かめましょう。
月額費用以外に追加料金がかかるシステムもある
クラウド請求書システムでは、月額料金のほかに、利用人数、発行件数、郵送件数、保存容量、オプション機能などに応じて追加で料金がかかる場合があります。基本料金だけでなく、自社の利用条件を当てはめた総額で判断しましょう。
セキュリティ面に注意が必要
請求書には、取引先の情報や取引内容、金額などが含まれます。そのためセキュリティ面にも注意が必要です。
アクセス権限、認証方法、通信や保存データの暗号化、操作履歴、バックアップなども重要な確認項目になります。提供会社の規模や上場の有無だけでなく、安全性にどのような対策がされているかを確認することが重要です。
クラウド請求書システムの選び方
クラウド請求書システムを選ぶ際は、自社と取引先の業務に合っているかを確認することが大切になります。ここでは、代表的なポイントをみていきましょう。
必要な機能と既存システムとの連携を確認する
まずは、現在の請求業務を洗い出すことから始めます。請求書の作成と送付だけでよいのか、見積、納品、売上、入金まで管理したいのかによって、適切なシステムは異なります。さらに、発行件数、利用人数、承認の流れ、定期請求と都度請求の割合などの整理も必要です。
すでに販売管理システムや会計ソフトを利用している場合は、データ連携の可否も確認しましょう。APIで自動連携できるのか、CSVファイルの入出力が必要なのかによって、業務の負担が変わるため、連携できる項目やタイミングまで確認しましょう。
取引先の書式・送付方法に対応できるか確認する
請求書の書式や送付方法を取引先ごとに確認します。ここでは、PDFのメール送信やWeb配信以外の方法で対応する必要のある取引先をピックアップします。
例えば、取引先が指定するシステムへの登録、指定請求書への記入、紙での郵送が必要になる場合などが考えられるでしょう。自社では電子化を進められても、すべての取引先が同じ方法へ移行できるとは限りません。
システムが、紙と電子の両方に対応できるか、指定書式を作成できるか、郵送代行を利用できるかなどを確認しておくと、導入後の混乱を防ぎやすくなります。
インボイス制度・電子帳簿保存法への対応を確認する
クラウド請求書システムを選ぶ際は、インボイス制度への対応範囲を確認します。適格請求書発行事業者の登録番号、適用税率、税率ごとの消費税額などに対応できることが前提です。
また、PDFをメールで送付した場合や、クラウドサービスを通じて請求書を授受した場合は、電子帳簿保存法上の電子取引に該当します。
なお、インボイスの登録番号や税率などは自社で設定する必要がありますし、請求書の作成・送付機能と、法令に沿った保存機能が別になっているシステムもあります。試用期間を活用して、操作が難しくないか確認することも重要です。
出典:インボイス制度について|国税庁、電子帳簿等保存制度特設サイト|国税庁
セキュリティ・障害対策・サポート体制を確認する
利用者ごとに権限を設定できるか、多要素認証を利用できるか、操作履歴を確認できるかを確認します。バックアップの頻度や保存先、障害時の復旧体制なども確認しておきたい項目です。
導入時の初期設定や既存データの移行に関する支援や、運用開始後のサポート体制も確認しておきましょう。機能が充実していても、担当者が使いこなせなければ、期待した効果を得にくくなってしまいます。
ハイブリッド型の販売管理システムという選択肢
請求業務を効率化する方法として、PCにインストールするソフトとクラウド機能を組み合わせた、ハイブリッド型の販売管理システムもあります。取引先指定の伝票を利用しているケースや、通信障害時にも請求書・納品書の処理を続けたいニーズに応えやすい方式です。
「楽一EZ」の「EZ販売管理」は、売上入力などをPCで処理する一方、外出先からの受注入力や取引・在庫情報の照会、データのバックアップにクラウドを利用します。インターネットへ接続できない場合も、一定期間は伝票入力や印刷などの機能を利用可能です。
まとめ|自社の請求業務に合ったシステムを選ぼう
クラウド請求書システムを利用すると、請求書の作成・送付にかかる手間を減らし、請求状況を管理しやすくなります。一方で、通信障害の影響、取引先指定の書式、既存システムとの連携、料金やセキュリティなど、導入前に確認すべき点もあります。
現在の請求業務と取引先の要件を整理し、必要な機能を明確にしたうえでシステムを選びましょう。クラウド型だけでなく、ローカル環境とクラウドを使い分けるハイブリッド型も含めて検討することで、自社の業務に合った方法を選びやすくなるはずです。

