明治42年の創業以来、100年以上にわたり荒物の卸売業を営んでいます。社員・パートを含め12名体制で墨田区を拠点に、飲食店やホテル、ゴルフ場へスポンジや洗剤、ナフキン、食器類などの消耗品を卸しています。お客様の要望に合わせ柔軟に商品を揃えられるのが強みで、定番品に加え新しい洗剤や備品も提案しています。地域の福祉作業所と連携し、一部の作業を依頼するなど地域に根差した取り組みも継続。長年培った信頼と柔軟な対応力を武器に「安心して任せられる卸業者」として選ばれています。
従来の受注業務は電話・FAX・メールが中心で、まず内容をノートに転記し、手書きで当日の出荷予定を作成したうえで、さらにシステムへ再入力するという二重作業が発生していました。そのため「聞き間違い」「転記ミス」「注文漏れ」といったトラブルが起きやすく、納品に支障をきたしお客様にご迷惑をかけるリスクを抱えていました。さらに大きな課題は、先日付や長期的な予約注文を正確に把握する“注残管理”ができなかった点です。「来月の大型連休前にまとめて納品」といった依頼も共有が不十分だと漏れや遅延につながり、担当者の記憶に頼らざるを得ませんでした。結果として業務の非効率さや属人化、注残の不透明さが大きな負担となっていました。
業務効率化と正確性の向上を目的に、BC受発注の導入を検討しました。従来の二重入力や転記ミスの課題に加え、特に重要だったのは、「受注残がどれだけあるかを漏れのないように見える化したい」という注残管理のニーズでした。FAXや電話で受けた注文をノートに書き写し、再度システムに入力する運用では、未処理の注文が埋もれてしまい、後日の納品に支障をきたす場面がありました。そうした中、カシオさんからの提案で、利用している販売管理システム「楽一」との親和性の高さ、外部システムとのCSV連携の柔軟さ、さらに取引先が抵抗なく使えるシンプルな操作性に魅力を感じました。コスト面でも他社システムより導入しやすく、現場負担を抑えて改善を実現できると判断し、導入を決意しました。
現在は飲食店やホテル、ゴルフ場など約60社の得意先にBC受発注を案内し、そこから注文をいただいています。得意先ごとに商品マスタを登録できるため「いつもの◯◯」といった曖昧な注文がなくなり、正確でスムーズな受発注が可能になりました。得意先への発注方法の案内の際には、名刺サイズのシートに操作方法とQRコードを印刷し、お客様にお渡ししました。飲食店に置かれている「注文コード」のように気軽に発注していただきたいという思いから工夫したもので、実際に「使いやすい」と好評をいただいています。社内では毎朝、自動取り込みされた受注データを基に納品伝票や出荷予定を作成しており、従来手作業で行っていた帳票作成の時間を大幅に削減できています。さらに画像付きのお知らせ機能を使えば、休業日や新商品の情報も簡単に発信可能です。単なる受発注システムにとどまらず、顧客との接点を広げる仕組みとして役立っています。
導入効果としてまず実感しているのは業務効率化です。従来はノートへの転記、伝票の手書き、システムへの再入力に毎朝1時間以上を費やしていましたが、今では自動取り込みにより処理がスムーズになり、受発注に関わる業務時間は約3分の1に短縮しました。その結果、受注ミスや漏れも大幅に減り、担当者不在でも業務が滞らず引き継げる体制が整いました。さらにこれまで難しかった注残管理がシステム上で正確に把握できるようになり、長期予約や先日付注文も安心して対応可能に。導入を機に商品マスターの見直しも進み、社内の情報整理や標準化も実現しました。得意先からも「注文が簡単で分かりやすい」と好評で、顧客満足度の向上につながっています。今後も取引先への案内を広げていきたいと考えています。