社会保険の住所変更手続きは必要?提出方法・提出時期・不要なケースを解説

2026.08.21

社会保険の住所変更手続きは必要?提出方法・提出時期・不要なケースを解説

転勤や人事異動などをきっかけに従業員が引っ越しをした場合、社会保険の住所変更手続きが必要になる場合があります。どのような手続きが必要なのか、判断に迷う人事・労務担当者も多いのではないでしょうか。本記事では、主に健康保険・厚生年金保険の住所変更手続きを解説します。

住所変更をしたら手続きが必要?

住所変更をしたら手続きが必要?

社会保険に加入している従業員が引っ越しをした場合、住所変更の手続きが必要なケースと不要なケースがあります。

ここでは、住所変更の要否をケースごとに解説します。

マイナンバーと基礎年金番号が結びついている場合は原則不要

マイナンバーと基礎年金番号が結びついている被保険者は、引っ越し後に住民票の住所を変更すれば、日本年金機構への住所変更届は原則として不要です。日本年金機構がマイナンバーを通じて住所変更を把握できるためです。

自分のマイナンバーが年金記録に収録されているかは、マイナポータルまたはねんきんネットで確認できます。マイナポータルを利用する場合は、マイナンバーカードでログインし、トップページの「年金」を選択します。画面に基礎年金番号が表示されれば、マイナンバーと基礎年金番号が結びついている状態です。

また、ねんきんダイヤルへ問い合わせて確認する方法もあります。問い合わせる際は、基礎年金番号または各種通知書に記載された照会番号がわかるものを手元に用意してください。

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手続きが必要なケース

マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない被保険者などは、転居後の住所を勤務先へ速やかに届け出る必要があります。従業員から申出を受けた事業主は、「健康保険・厚生年金保険 被保険者住所変更届」を作成し、日本年金機構へ提出します。

届出の対象となるのは、主に次のような人です。

  • 年金記録にマイナンバーが収録されていない被保険者
  • マイナンバーを取得していない海外居住者
  • 短期在留外国人
  • 健康保険組合の被保険者
  • 70歳以上で、健康保険だけに加入している被保険者
  • 住民票とは異なる居所を登録する被保険者
  • 登録中の居所を取り消し、住民票上の住所へ変更する被保険者

住所変更届の要否は、マイナンバーと基礎年金番号の連携状況だけでは判断できません。加入している健康保険の種類や、住民票上の住所と実際の居所のどちらを登録するかも確認したうえで、必要な手続きを進めます。

参考:日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)および被扶養配偶者の住所に変更があったときの手続き」

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企業が従業員の住所を把握すべき理由

多くの企業では、就業規則に「住所を変更した場合は、速やかに届け出ること」などとした規定を設けています。この規定を設ける理由の一つが、住所変更に伴う社会保険の手続きを行うためです。手続きは、企業の人事部門や総務部門が事業主として対応します。

企業が住所変更を把握していないと、変更届を出せません。住所変更をしなかった場合、以下のようなリスクがあるため注意してください。

  • 医療機関で資格確認ができない場合、一時的に医療費を全額負担する可能性がある
  • 未納期間ができるともらえる年金額が少なくなる
  • 年金に関する重要な通知が届かなくなる可能性がある

従業員の住所は慎重な取り扱いを要する情報です。もしも情報が漏えいしてしまった場合、企業は従業員に対する不法行為責任を問われることもあります。住所の把握はしなくてはなりませんが、扱いには注意が必要です。

社会保険の住所変更手続きで用意するもの

住所変更の届出には、「健康保険・厚生年金保険 被保険者住所変更届」を用います。書類は2枚で構成され、被保険者本人の住所変更は1枚目、国民年金第3号被保険者に該当する被扶養配偶者の住所変更は2枚目に記入します。

配偶者も転居した場合は、本人分と配偶者分の住所変更をまとめて届け出なければいけません。また、配偶者から2枚目の届書を受け取った事業主は、本人分と同様に日本年金機構へ提出する必要があります。

どの用紙を提出するかは、加入している社会保険の種類と、住所が変わった人によって決まります。次は、加入制度別に必要な届書を確認します。

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協会けんぽの健康保険と厚生年金保険または厚生年金保険のみに加入

協会けんぽの健康保険と厚生年金保険の両方に加入している場合や、健康保険組合などの健康保険に加入し、厚生年金保険の届出のみを日本年金機構へ行う場合は、住所が変わる人に応じて使用する用紙を選びます。

住所を変更する人 提出する用紙
被保険者と被扶養配偶者 1枚目と2枚目
被保険者のみ 1枚目のみ
被扶養配偶者のみ 2枚目のみ

被保険者本人と被扶養配偶者のどちらに住所変更があるのかを確認したうえで、該当する用紙を提出してください。

協会けんぽの健康保険のみ加入

協会けんぽの健康保険だけに加入している場合、住所変更の届出に使用するのは1枚目の「被保険者住所変更届」です。国民年金第3号被保険者向けの2枚目は提出対象になりません。

住所を変更する人 提出する用紙
被保険者と被扶養配偶者 1枚目のみ
被保険者のみ 1枚目のみ
被扶養配偶者のみ 届出不要

本人と被扶養配偶者が同時に転居した場合も、提出書類は1枚目だけです。また、1枚目に設けられている被扶養配偶者の住所変更欄も記入する必要はありません。

関連記事:短時間労働者に対する社会保険の適用拡大│2024年10月からの変更点など解説

社会保険の「被保険者住所変更届」の書き方

社会保険の「被保険者住所変更届」の書き方

「被保険者住所変更届」は、被保険者本人と被扶養配偶者の住所変更を届け出る書類です。ここでは、記入例をもとに、それぞれの届書へ記入する項目と書き方を解説します。

被保険者住所変更届の書き方

「健康保険・厚生年金保険 被保険者住所変更届」の1枚目には、被保険者の番号や氏名、変更前後の住所などを記入します。日本年金機構が公開している記入例は以下のとおりです。

主な記入項目と書き方は、以下のとおりです。

番号 記入項目 書き方
事業所整理番号 事業所に付与されている事業所整理番号を記入。
被保険者整理番号 被保険者に付与されている整理番号を記入。
個人番号または基礎年金番号 被保険者のマイナンバーまたは基礎年金番号を記入。
生年月日 該当する元号を選び、被保険者の生年月日を記入。
被保険者の住所 変更後の郵便番号と住所、変更前の住所、住所変更年月日を記入。住民票の住所以外の居所を登録する場合などは、備考欄の該当項目にもチェックを入れる。
配偶者の個人番号または基礎年金番号 国民年金第3号被保険者である配偶者のマイナンバーまたは基礎年金番号を記入。
配偶者の生年月日 該当する元号を選び、配偶者の生年月日を記入。
配偶者氏名 配偶者の氏名とフリガナを記入。

また、届書の下部には提出年月日と、事業所所在地・事業所名称・事業主氏名・電話番号などの事業所情報も必要です。

被保険者と被扶養配偶者が同じ住所に住んでいる場合は、「被保険者と配偶者は同居している」にチェックを入れます。この場合、⑥~⑧は記入しますが、被扶養配偶者の住所変更欄にある⑨~⑫は省略できます。

引用:日本年金機構「健康保険 厚生年金保険 被保険者住所変更届」

国民年金第3号被保険者住所変更届の書き方

協会けんぽの健康保険と厚生年金保険に加入している場合、または厚生年金保険のみに加入している場合で、被扶養配偶者の住所も変更するときは、2枚目の「国民年金第3号被保険者住所変更届」を提出します。被扶養配偶者のみが住所を変更する場合も、必要事項を記入した2枚目のみを提出します。

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国民年金第3号被保険者住所変更届では、事業所整理番号や配偶者情報に加えて、以下の記入が必要です。

番号 記入項目 書き方
個人番号または基礎年金番号 国民年金第3号被保険者である被扶養配偶者のマイナンバーまたは基礎年金番号を記入。
生年月日 該当する元号を選び、被扶養配偶者の生年月日を記入。
被保険者氏名 住所変更をする国民年金第3号被保険者である(被扶養配偶者)本人の氏名とフリガナを記入。
郵便番号 被扶養配偶者の変更後住所の郵便番号を記入。
住所 被扶養配偶者の変更後住所とフリガナを記入。
住所変更年月日 住所を変更した年月日を記入。
変更前住所 被扶養配偶者の変更前の住所を記入。
個人番号または基礎年金番号 配偶者欄に、厚生年金保険へ加入している被保険者のマイナンバーまたは基礎年金番号を記入。
配偶者の氏名 厚生年金保険に加入している被保険者の氏名とフリガナを記入。
ウ・エ 備考 「短期在留」「海外居住」「住民票住所以外の居所」など、届出理由に該当する項目へチェックを入れる。

引用:日本年金機構「国民年金第3号被保険者住所変更届」

「被保険者住所変更届」の提出方法・期限

「被保険者住所変更届」の提出方法は、事務センターまたは管轄の年金事務所への郵送や窓口持参の2通りです。提出期限は明確に定められてはいませんが、日本年金機構の公式サイトでは「速やかに」とされています。

住所変更時に「被保険者住所変更届」を提出する必要があるのは、マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない場合などです。結びついていれば、住民票の異動に合わせて社会保険の登録情報も切り替えられるため、提出は不要です。ただし、70歳以上で健康保険のみに加入している場合や、海外在住などでマイナンバーがないなどのケースでは、変更届の提出が求められます。

参考:日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)および被扶養配偶者の住所に変更があったときの手続き」

社会保険の住所変更手続きに関するよくある質問

引っ越して住所が変わった場合、手続きはどのようにすればいいですか

社会保険に加入する従業員が引っ越して住所が変わった際には、企業は日本年金機構に住所変更手続きをする必要があります。そのときに必要な書類は「健康保険・厚生年金保険 被保険者住所変更届」です。変更届は2枚つづりで、加入している社会保険などによって、以下の3つのように対応が変わることがあるため、注意してください。

  • 1枚だけ提出すればよい
  • 2枚とも提出する
  • 提出不要

なお提出は、事務センターまたは管轄の年金事務所への郵送・窓口持参を行います。

社会保険の住所変更を行わなかった場合どうなりますか

社会保険の住所変更を行わないと、日本年金機構や健康保険組合などから送付される重要な書類が、引っ越し前の住所に届く可能性があります。資格確認書を受け取れず、医療機関の窓口で健康保険の加入資格を確認できない場合は、医療費を一時的に全額支払うケースもあります。

後日、加入している健康保険へ申請し、資格が確認されれば、自己負担分を除いた医療費の払い戻しを受けることが可能です。療養費を請求できる期間は、原則として医療費を支払った日の翌日から2年間です。

子どもの社会保険の住所変更はどのような手続きが必要ですか

被扶養者である子どもの住所が変わっても、日本年金機構へ「被保険者住所変更届」を提出する必要はありません。この届書で被扶養者の住所変更を届け出る対象は、国民年金第3号被保険者である配偶者です。子どもは国民年金第3号被保険者に該当しないため、同届書の対象には含まれません。

なお、子どもの氏名や生年月日、性別などの登録内容に変更や訂正がある場合は、「健康保険 被扶養者(異動)届」などによる手続きが必要です。

社会保険の住所変更を自分で手続きする必要はありますか

会社員の場合、従業員本人が日本年金機構へ直接、住所変更届を提出する必要はありません。住所変更の届出が必要なケースでは、従業員が勤務先へ住所変更を申し出たうえで、事業主が「健康保険・厚生年金保険 被保険者住所変更届」を日本年金機構へ提出します。

なお、マイナンバーと基礎年金番号が結びついている場合は、日本年金機構への住所変更届は原則不要です。

住所変更をしていなくても医療機関の受診はできますか

住所変更の手続きが済んでいなくても、医療機関の受診は可能です。ただし、保険資格を確認できない場合は、医療費を一時的に全額負担する可能性があります。

その後、住所変更の手続きを行い、健康保険の加入資格が確認されれば、自己負担分を除いた医療費の払い戻しを受けられます。

マイナ保険証を利用している場合は、引っ越しによって新しい保険証が発行される手続きはないため、そのまま利用可能です。

なお、引っ越し直後は行政システムへの反映に時間がかかり、住民票の新しい住所がマイナンバーへ反映されていない場合があります。医療機関で登録住所が旧住所のままと案内されても、時間の経過とともに更新されます。

参考:厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)について」

マイナンバーカードの住所変更はどのように行えばよいですか

マイナンバーカードの住所変更方法は、同一市区町村内で転居する場合と、異なる市区町村へ転出・転入する場合で異なります。どちらの場合も、住所が変わった日から14日以内に届出を行い、カード表面の住所を書き換えることが必要です。

同じ市区町村内で転居した場合は、窓口で転居届を提出し、あわせてマイナンバーカードの住所変更を行います。住所が変わると署名用電子証明書は失効するため、今後も利用する場合は再発行の手続きも必要です。

別の市区町村へ移る場合は、旧住所地で転出届を提出した後、新住所地の窓口で転入届とマイナンバーカードの継続利用手続きを行います。転入届は、新居で生活を始めた日から14日以内に提出してください。

従業員のマイナンバー管理は、人事・労務管理システムADPS(アドプス)がおすすめです。

住所変更に伴う従業員情報管理を効率化するならADPS(アドプス)

従業員の住所変更に伴う対応は、社会保険の届出だけでは完了しません。人事情報の更新に加えて、給与計算や通勤手当、年末調整、住民税など、複数の業務に新しい住所を反映する必要があります。

紙やExcel、メールで申請を受け付けていると、担当者が同じ情報を何度も転記しなければなりません。入力ミスや更新漏れが起これば、通勤手当の計算や社会保険手続きにも影響し、修正や確認に余計な時間がかかります。

人事・労務管理システム「ADPS(アドプス)」を活用すれば、住所をはじめとする従業員情報を一元管理し、人事・給与・申請業務へ連携できます。変更内容を各業務へ正確に反映できるため、二重入力や古い情報の残存を防ぎ、人事担当者の確認作業も削減可能です。

また、従業員数が増えても、担当者の経験や注意力だけに頼らず、一定の手順で住所変更に対応できる点もメリットです。住所変更のたびに複数の書類やデータを確認する業務から脱却し、手続きの正確性と処理スピードを高めたい企業には、ADPSの導入が適しています。

まとめ

社会保険に加入している従業員が引っ越しをした場合は、住所変更の手続きをする必要があります。住所変更をしなかった場合、可能性として病院などの診療費や手術代などが全額自己負担となったり、将来もらえるはずの厚生年金の額が減ってしまったりする場合がでてきます。

社会保険の住所変更で必要な書式は「健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届」です。住所変更の対象者や加入している社会保険によって、提出の仕方が異なります。ADPSなどの人事・給与システムを導入して担当者の負担を軽減し、事業運営の効率化を図ってはいかがでしょうか。

カシオヒューマンシステムズ コラム編集チーム

カシオヒューマンシステムズコラム編集チームです。
人事業務に関するソリューションを長年ご提供してきた知見を踏まえ、
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