食品トレーサビリティとは?仕組み・法律・導入方法を解説
目次
食品に問題が見つかったとき、仕入先や出荷先を速やかに確認できる体制は、被害の拡大を防ぐために欠かせません。その基盤となるのが、食品の移動を記録し、あとからたどれるようにする「食品トレーサビリティ」です。
ここでは、その仕組みや関連する法律、取り組むメリット、具体的な導入方法などについて解説します。
1食品トレーサビリティとは
食品トレーサビリティとは、生産・加工・流通などの段階を通じて、食品の移動を把握できることを指します。食品を扱った際の記録を残すことで、仕入先や出荷先、使用した原材料などを確認できる状態にします。
農林水産省の「トレーサビリティ関係」ページでは、「食品トレーサビリティとは、『食品の移動を把握できること』」とし、「各事業者が食品を取扱った際の記録を作成し保存しておくことで、食中毒など健康に影響を与える事故等が発生した際に、問題のある食品がどこから来たのかを調べ(遡及)、どこに行ったかを調べること(追跡)ができます」と説明しています。
この「遡及」と「追跡」は、それぞれ次のように呼ばれます。
- トレースバック(遡及):食品がどこから来たのかをさかのぼり、仕入先や使用した原材料などを調べること。
- トレースフォワード(追跡):原材料や食品がどこへ行ったのかをたどり、使用先や出荷先などを調べること。
例えば、原材料に問題が見つかった場合は、その原材料を使った製品と出荷先を調べます。反対に、販売した製品に問題があれば、使用した原材料や仕入先をさかのぼって確認します。
自社で加工する場合は、入荷と出荷の記録だけでなく、その間をつなぐ情報も必要です。この仕組みは「内部トレーサビリティ」と呼ばれ、どの原材料からどの製品を作ったのかがわかるよう、原材料や製品をロットと呼ばれるまとまりで識別し、紐付けて記録します。
2食品トレーサビリティに関する主な法律
食品トレーサビリティに関する法的な対応は、扱う食品や事業形態によって異なります。主な違いを整理すると、次のとおりです。
| 法律 | 主な対象 | 求められる対応 |
|---|---|---|
| 牛トレーサビリティ法 | 牛の管理者、特定牛肉の販売業者、特定料理の提供業者など | 管理者には耳標の装着・届出、販売業者などには個体識別番号の表示・伝達や帳簿の備え付けなどを義務付け |
| 米トレーサビリティ法 | 対象となる米・米加工品を販売・輸入・加工・製造・提供する事業者(生産者を含む) | 取引等の記録の作成・保存と、産地情報の伝達を義務付け |
| 食品衛生法 | 食品等事業者 | 仕入元など必要な情報の記録を作成・保存する努力義務 |
牛トレーサビリティ法では、ひき肉や加工品などは対象外です。一方、米トレーサビリティ法は、米粉、米飯類、もち、米菓、清酒なども対象となり、記録の保存期間も商品により異なります。
3食品トレーサビリティに取り組むメリット
食品トレーサビリティに取り組むことで、問題発生時の対応を進めやすくなるほか、日常の管理にも役立ちます。主なメリットは次の3点です。
- 問題食品の特定・原因究明に役立つ:仕入先や製造・流通の記録を確認し、原因調査や取引先への説明を進めやすくなります。
- 回収範囲を絞りやすくなる:対象ロットと出荷先を確認することで、関係のない商品まで回収する事態を避けやすくなります。
- 日常の管理を見直せる:食品の識別方法や記録の保管方法を統一する過程で、記録漏れや確認しづらい工程を見つけやすくなります。
ただし、履歴を記録するだけで食品の安全性が保証されるわけではありません。日々の衛生管理や品質管理と組み合わせて運用することが重要です。
4食品トレーサビリティの導入方法
まずは、現在使用している納品書や製造記録で、食品の移動をどこまで確認できるかを点検します。そのうえで、次の手順に沿って不足する記録や管理方法を整えていきましょう。
| 手順 | 取り組むこと | 主な記録・方法 |
|---|---|---|
| 1.入荷・出荷を記録する | 日付、入荷先・出荷先、品名、数量を記録する | 納品書、送り状、帳簿などを保存する |
| 2.ロットを対応付ける | 原材料と製品、製品と出荷先を紐付ける | ロット番号を付け、製造記録や出荷記録に対応関係を残す |
| 3.保存・検索方法を決める | 担当者、入力時期、保存場所・期間、検索手順を決める | 紙、Excel、販売管理システムなど、自社に合った方法で管理する |
入荷・出荷の記録は、必要事項が記載された納品書や送り状を保存する方法から始められます。法令や取引条件で求められる情報を加え、加工する場合は原材料と製品のロットを紐付けましょう。
食中毒菌や異物などの要因を把握し、重要な工程を管理する衛生管理手法「HACCP」に沿って作成した記録も活用できます。農林水産省は、この記録にトレーサビリティ情報を加える「プラスワンのモデル」を公開しています。運用後は実際に原材料や出荷先をたどり、記録漏れがないか確認しましょう。
5EZ販売管理によるトレーサビリティの運用例
食品トレーサビリティの記録や検索を効率化するには、ITツールを活用する方法があります。そこでこのコラムでは、ITを活用したトレーサビリティ体制確保について、当社製品「EZ販売管理」を例にご紹介します。
「EZ販売管理」では、ベースの機能として個体識別番号による管理機能を備えています。仕入(入荷)時と、売上(出荷)時の伝票に個体識別番号を入力しておけば、個体識別番号で横断検索ができるという、牛肉のトレーサビリティに対応する機能です。
日々の伝票に個体識別番号を記録しておくことで、必要なときに入荷・出荷の履歴を確認しやすくなります。自社で追跡する範囲や必要な記録を整理したうえで、運用方法を検討しましょう。
6まとめ
食品トレーサビリティは、食品の移動を記録し、問題発生時の原因調査や回収に役立てる仕組みです。対象となる法律を確認し、入荷・出荷の記録とロットの対応付けから整えていきましょう。
記録や検索の負担が大きい場合は、販売管理システムの活用も有効です。「EZ販売管理」の機能を確認し、自社の取引や製造工程に合う運用方法をご検討ください。
