CASE STUDIES
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人と地球の「最適環境」の創造を通じて、人類文化の発展に貢献することを理念に、オフィスビルや製造工場、大型施設などの空調設備、衛生設備、配管設備の設計、施工を手がける株式会社朝日工業社。創業は1925年(大正14年)と伝統のある企業で、CSR活動にも積極的に取り組んでいる。
同社は人事システムのリニューアルを機に2011年、新規でADPSの人事、給与、就業の各システムを導入、業務のペーパーレスや電子化を図った。ADPSでシステムを統一することで、データ連携もスムーズになり業務の効率化を実現。2016年にはマイナンバー管理システムも導入した。
2018年2月に完成した新社屋、環境性能の高いオフィスビル。
株式会社朝日工業社では、人事システムの保守契約期間の終了が近づいてきた2009年から新システムの選定を進めていた。リニューアルには、ペーパーレス化、データの電子化という目標を掲げていた。
同社の従業員は契約社員を含め約1,000名、支社、支店、営業所も全国各地に30拠点以上展開している。当時、給与明細は紙で配布しており、毎月1,000名分の明細を全国に送る業務は人事部にとって負担となっていた。また、出退勤も紙の出勤簿で管理しており、同様に大きな負担であった。この解消をシステムで実現するのが大きな狙いであった。
南保氏「データ連携は前システムではなかった、ADPSで実現できた」
システム選定にあたっては、総務本部人事部参事を務める加藤伸悟氏、同本部情報システム部参事を務める南保和哉氏が担当した。「新規ということで、まずどのようなパッケージがあるのか、そこから調べました。機能はもちろんのこと企業情報や導入事例もチェックしました。そこで選んだのが14製品でした」と南保氏は当時を振り返る。
その段階からさらにコスト面などの精査を行い、最終段階で4つに絞りこまれADPSが採用されることになった。ADPSの印象について加藤氏は「選定の際にデモを見ましたが、私が求める操作イメージに近い印象がありました。たとえば勤怠の入力画面は、時刻を手入力するのではなく、プルダウンで入力できる。そうした操作のしやすさが良いなと感じました」と現場担当の目線で実感を述べた。
2011年1月、ADPSの人事、給与、就業の各システムが導入された。株式会社朝日工業社の就業制度はやや複雑に構築されており、人事業務に精通しているカシオのSEも導入に際してのハードルの高さを感じたという。
そのため導入にあたってはシステム設計を念入りに行い、検証にも十分な時間をかけ、慎重に進めていった。また、導入期間中に東日本大震災も発生し、決してスムーズに運んだわけではないが、カシオのサポートチームの尽力もあって同年7月には稼働を開始することができた。
ADPSによって課題であった給与明細のペーパーレス、勤怠管理の電子化は実現し、業務効率は格段に向上した。代休や時間外労働管理、勤務シフトなどの面で朝日工業社特有の就業制度も、システム上できちんと運用できるよう業務に合わせてパラメータ設定を行った。
特に勤怠管理は大きく変わった。「稼働当初は、紙からパソコンでの申請、承認という運用上の環境変化があったため、従業員の中には戸惑いも見られましたが、1年が経過する頃には、“もう紙には戻れない”という声が聞こえました」と就業システムを担当する加藤氏は効率化を実感した。
「コールセンターの親身な対応には助かっている」と加藤氏
LEDの間接照明によってまぶしさが抑えられ心地よい社内に。
給与システムには、人件費仕訳、退職金計算、財形奨励金計算といったアドオンを施した。同社では正社員、契約社員と就業形態ごとに給与体系も異なるため明細も違うが、発令をかければ自動で処理するので業務負担は少ないという。
さらに人事、給与、就業がADPSによって統合され連携がスムーズなることで業務効率化に留まらない効果も期待できるという。「吸い上げたデータは人事戦略や労務環境の改善に役に立つはずです。勤怠データを分析してみたいですね」と南保氏はデータ活用の可能性を述べた。
同様に加藤氏も「紙の出勤簿では見えづらかった就業の状況が電子化され見えるようになりました。働き方改革に取り組む上で適正な労働時間の把握、過重労働の防止に役立てたいと思います」と抱負を語った。
データ連携という点ではADPSと会計システムとの連携も実現でき、業務効率化に貢献できている。就業システムでは工数管理のアドオンを施しているが、プロジェクトごとの工数データを会計システムへCSVで吐き出し管理を行っている。
業務効率化の次はより良い労働環境の整備が同社の課題だ。加藤氏はADPSの機能を駆使して取り組んでいきたいと述べる。データによる<見える化>が可能になった今、戦略的に制度改善や新しい仕組みへのアプローチも行いやすくなった。今後もADPSの活用は広がり、同社の戦略の一端を担うはずだ。