CASE STUDIES
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2017年に創業100周年を迎えた岩井コスモ証券株式会社(持株会社、岩井コスモホールディングス株式会社の創業は1915年)。1965年の証券不況や平成のバブル崩壊、サブプライムローン問題など、これまで幾度の厳しい環境を乗り越えてきた。<お客様第一主義>、<全員参加型経営>を経営方針とし事業を展開、3つの営業チャンネル(対面取引・コール取引・インターネット取引)で、さまざまな顧客ニーズに応じた金融サービスを提供している。
同社では2000年よりADPSを導入しており、バージョンアップを重ね、2017年に『ADPS Advance EditionPlus』を導入した。証券会社特有の人事、給与体系など柔軟に対応し、人事業務の負担軽減に役立っている。
歴史ある大阪の金融街、北浜に建つ本店ビル
岩井コスモ証券株式会社は、2012年5月に岩井証券株式会社、コスモ証券株式会社が合併して誕生したが、創業は1917年と100年の歴史と実績を持つ。同社の合併以前からコスモ証券株式会社では2000年より人事システムにADPSを採用しており、合併後も引き続き使用している。
それ以前の人事業務は自社のホストコンピュータを使っていたが、頻繁に行われる制度改正への対応により、システムの複雑化や肥大化、陳腐化が進んだ。その結果、401Kなど新たな取り組みへの対応だけでなく、従来の人事業務にも支障をきたしかけていたという。
「色づかいや形など操作画面のデザインが良かった」と鶴間氏
そうした課題への解決策として2000年にADPSを導入した。当時システムの選定に関わった人事部社員情報管理課長を務める鶴間景子氏は「変化への迅速な対応が可能かどうかを重視しシステムを選びました。その点でADPSがベストと判断しました。豊富な導入実績、高品質な機能、高い専門知識を持ったサポート力、安価なコスト。それにユーザインターフェースに優れた画面デザインが決め手になりました」とADPSを選んだ理由を語る。
以来、2017年の『ADPS Advance Edition Plus』まで、サーバ強化も含めたバージョンアップを重ねながらADPSを使用してきた。「人員が限られており、人事システムに詳しい人間がいない中でのシステム導入は大きな負担となります。初導入時、要件定義に大変苦労しました。だから今回のリニューアル時にはそれは避けたかった」。そう語るのは人事部給与厚生課長を務める松川華子氏。
選定を含めたリニューアルのための作業は、多忙で業務が煩雑な同社の人事部にとって重い負担となるため、バージョンは変わってもシステムの根幹は変わらないADPSを継続してきたという。またADPSに合わせて設定した業務フローが定着しているのも継続使用している大きな理由とのことだ。
ADPSは2010年の岩井証券株式会社の持株会社への移行に伴い、人事・給与制度が異なるグループ4社の人事管理、給与計算を担い業務のスムーズ化に貢献。さらに2012年の合併時の新人事制度への対応も問題なく行うことができ、特に出向転籍の管理に力を発揮した。
人事部では人事制度の見直しの際に、スピーディな対応が求められることが多く、パラメータなど設定の自由度が高いことが不可欠だ。マッチング拠出制度導入時も柔軟に対応することができた。
岩井コスモ証券株式会社では、ADPS初導入の際に証券業界および同社の人事、給与体系にあわせていくつかカスタマイズを施している。その一つが証券など金融商品の取引に必須の資格である証券外務員の管理。日本証券業協会への登録が必要で5年毎に更新する。
「管理はホストコンピュータで行ってきましたが、資格取得者の登録、資格手続き、更新作業をADPSで管理したかったのでアドオンを施しました。また、外務員には歩合給の者がおり、その給与もデータを取り込んでADPSで計算しています」と松川氏は業務ニーズへのフレキシブルな対応を評価した。
また退職ポイントの計算にも対応した。昇格、昇給など等級に付与されるポイントを基本給にリンクさせる仕組みで、近年普及が見られる新しい退職金制度へもADPSで対応することができた。
松川氏「退職金のポイント付与は毎月なので管理は円滑にしたい」
「業務イベントは入社、退職、発令で使えそう」と吉田氏
一方でADPSによって煩雑な業務の現場はどのように変わったのかを伺った。人事部給与厚生課で主任を務め、給与の他にも勤怠管理、前払退職金、住民税、チェック業務の担当をしている吉田恵氏は、検索機能の強化による更新時の入力作業の軽減を挙げる。
「入力の必要がある従業員を一挙に検索できるのは大変便利。以前は一人検索して入力、また一人検索して入力していました。負担の大幅な解消ができました」。
新システムでもっとも実感しているメリットでは、やはり作業の時間短縮が大きいとのこと。松川氏は「基準日更新の処理もそれまでと比べて1/5くらいになった」と処理スピードの向上を実感している。鶴間氏も「『Advance Edition Plus』になってから過去の履歴の閲覧も飛躍的に速くなった」と作業の迅速化を挙げる。
近年は労務関連の法改正など制度の新設や変更の頻度が増えており、人事業務の仕事量も増加する傾向にある。同社の人事部でも例外ではなく、いかに業務のスピードアップを図るかは今後も大きな課題である。
現在使用している『ADPS Advance Edition Plus』は本格稼働からまだ時間も経っていない(2018年2月現在)こともあり、その機能をフル活用しているわけではないが、鶴間氏は新機能の中では業務イベント機能を使いこなしたいと語る。
登録した業務(=イベント)のフローが表示され作業をナビゲートするこの機能を活用できれば、業務フローはシンプルになり、処理モレの解消にもつながると期待している。松川氏も処理毎に画面が変わる煩わしさが無くなるのはありがたいと語る。
同社は『ADPSマイナンバー管理システム』も併せて導入しており、セキュリティの堅牢なクラウドシステム上で管理を行っている。今後はADPS運用の習熟度も徐々に向上し、さらなる業務の効率化、迅速化が臨まれる。