CASE STUDIES
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■所在地:東京都千代田区 ■業種:医療・福祉 ■従業員数:1,392名(2024年7月14日現在)
■導入ソリューション:クラウド型人財マネジメントソリューションHito-Compass
“質の高い包括的な医療を通して国民の健康に奉仕します。”を理念に掲げる公益財団法人結核予防会は、1939年(昭和14年)に設立され、これまで国内の結核予防対策や高度な結核医療の追求に取り組んできた。今では呼吸器疾患に対する医療や介護事業、生活習慣病対策、国際協力なども展開、その活動は多岐に渡っている。東京都内及び都下3ヵ所の事業所を中心に各都道府県に支部を擁している(沖縄県を除く)。
同財団は2022年の秋に人材マネジメント改革を打ち出し、プロジェクトをスタートさせた。その一環として本会にタレントマネジメントシステムであるクラウド型人財マネジメントソリューション『Hito-Compass』を導入、2024年初頭から運用しており、人事業務の品質向上などの改革ツールとして活用している。
表札の複十字は結核予防運動のシンボルマーク
プロジェクトを進めるにあたり、人事部が優先課題として取り組んだのが人事データベースの再構築、そしてタレントマネジメントシステムを通じた業務改善によるDXの推進である。
そこにどのような背景があったのか、プロジェクトの調整役を担う桺(やなぎ)亮一郎人事部副部長に話を伺った。「私たち財団には能力の高い方が多くおられます。また職種もたくさんありますが、今まで全員の能力を把握しきれておりませんでした。そのため適切な時に適切な方を配置しきれていなかったという反省がありました」
桺人事部副部長
桺氏は職員のタレントを十分に活かせていなかった原因として、管理を紙で行っていたため業務が十分に行き届かない面があったと挙げ、システム化の必要性を強く感じたという。さらに時代に合った働き方の環境づくりを整えたいという想いもあった。「たとえば子育て中の方、ご家族の介護をされている方など様々な事情を抱えていても充実した私生活を送りながら仕事もできる状況を作っていきたいし、若い方がより働きやすい環境にしたいと思いました。その実現のためにタレントマネジメントシステムを活用し、職員それぞれに即した将来を作っていきたいというのが大きな狙いです」
このように人事部が目指したのは、タレントマネジメントシステムを導入することによる業務の効率化と職員の能力や状況に応じた適材適所な人事の実現である。
システムの選定が開始されたのが2022年10月、複数のベンダーから情報収集を行い、時間をかけて選定を行った。ここで大きな課題となったのが人事データベースの再構築である。同財団では人事データベースの管理をMicrosoftのAccessで行ってきたが、古いバージョンを使用していることもあって充分に活用できなくなってきたという状況があり、データの移行をして刷新する必要があった。
そこで考えられたのが、カシオヒューマンシステムズ株式会社(以下カシオヒューマンシステムズ)の人事統合システム『ADPS』での人事データの一元管理である。「20年以上も前から『ADPS』を使っていたのですが、給与計算中心に使っていたこともあり、それ以外のデータはAccessで管理していた状況が続いていました」そう語るのは給与計算の他、人事評価、目標管理を担当する海老澤義行人事部人事課長(取材当時)。
こうしたデータの二重管理を解消し『ADPS』で一元管理を行い、タレントマネジメントシステムを機能させるという方向性のもと選定を行った。最終的に候補はカシオヒューマンシステムズともう1社に絞られた。そして約10カ月後の2023年8月に『Hito-Compass』の導入が決まった。
採用の理由について、桺氏は次のように語った。「やはり一番心配だったのは、膨大で複雑なAccessのデータをいかに問題なく移行できるかということです。その点でカシオヒューマンシステムズのSEの方の的確な要件定義をはじめとするサポートは心強いものでした。その上でADPSとHito-Compassのデータがシームレスに連携できるという判断で『Hito-Compass』の採用に至りました」
海老澤人事課長
はじめて使うシステムということもあり、使用方法については分からないことが多かったという。「特に評価の使い方はカシオヒューマンシステムズの担当者に逐次相談していました。毎度対応が早いので助かりました。それとマニュアルを作っていただき、これもとても役立っています」と桺氏は話す。導入後もコールセンターだけでなく、カスタマーサクセス担当によるサポートなどカシオヒューマンシステムズの伴走支援の充実も評価いただいている。
『Hito-Compass』を導入して課題はどう解決されたのか。特に業務の大きな負担となっていた紙での管理について桺氏に話を聞くと「360度評価については、導入前は紙に記入してもらい、それを封書に入れて我々のもとに郵送してもらい、それを外注で集計してもらっていました。現場の職員も人事部も大変な負担になっていました。また、なかなか回収ができなかったり、誰がちゃんと回答しているのか分からなかったりと正確性という点で不十分だと感じていました。しかし導入後は展開も早く、有効な回答かどうかも分かり、大変助かっています。また紙や郵便代、外注費といったコストの軽減も実現できました」と語った。こうした効果は人事評価でも同様であったという。
Hito-Compassで人材マネジメント改革に臨む人事部
また、適切な人材の配置や異動の判断材料となる意識調査、意向調査の実施についても大きな改善が見られた。これまで調査は不定期に行われていたが、『Hito-Compass』を使って定点的に実施することが可能となった。集計がスピーディになり、CSVへ書き出し、Rawデータでコンサルタントに分析依頼することができ業務の品質向上に貢献できている。
こうした評価やアンケートの迅速化には、スマートフォンからでも回答できるという利便性も影響している。このように『Hito-Compass』も『ADPS』同様従業員情報を管理する人事部側と職員双方にとって活用しやすいシステムといえる。
その他、管理する側にとっての便利な機能として人事課の尾高恵氏は代理ログイン機能を挙げた。これは問い合わせなどにより管理側が一時的に職員のページに入ってその人の画面を見ることができる機能である。「問い合わせを受けた時に、他のシステムだと管理画面でしか見ることができませんが、『Hito-Compass』ですと、実際にこの問い合わせをした人のページに入ることができるので確認しやすいです」
今回お話を伺った時点で、運用を始めてまだ半年ほどだが大きな期待を寄せていただいている。人事課課長代理の埜中(のなか)康裕氏は次のように話す。「今年が導入元年なので、これから積み重ねれば積み重ねるほど導入効果が出てくると感じています。今まで紙で管理してきたので見たいデータをすぐ見ることはできませんでしたが、システム化したおかげでそれがすぐに可能になりました。今後、データが積み上がって続いていくことで便利になっていきますから将来に期待しています」
『Hito-Compass』導入で人事業務の効率化は着々と進んでおり、人事部では今以上に使いこなしながら職員のタレントを活かせる人事の実現を目指している。
※文中の部署や肩書の名称は取材当時のものです。
埜中課長代理