CASE STUDIES
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1972年9月、東京日本橋に1号店をオープン。以来、世界で初めてえびをバーガーにした「えびバーガー」や、ナチュラルチーズを使用したこだわりの逸品「絶品チーズバーガー」をはじめ、ヒット商品を数多く世に送り出し、日本のファストフードのリーディングカンパニーとして常に業界を牽引し続けているロッテリア。そんな同社の人事給与業務を支えるのが「ADPS人事システム」。業務内容に合わせてアドオンを施すことで、メイトと呼ばれるアルバイトの給与計算を、より確実かつ効率的に行うことのできるシステムを構築した。
日本橋1号店
2010年末現在、全国に450を超える店舗を展開し、社員約700名、アルバイト約1万人を擁するロッテリア。その本部機能を担うのが、株式会社ロッテリアフードサービス。2010年にアドプスを導入するまでは、複雑なアルバイトの給与計算をアウトソーシングで処理していたという。
「今までは、各店舗のPOSシステムに人事マスタを登録し、各人の勤怠データを本社サーバに集積。そのデータを基にアウトソーシング会社が給与計算を行い、その結果を給与明細や賃金台帳として、月に一回、本部や各店舗にフィードバックしていました。しかし2009年、委託業者との契約更改を機に、このシステムを根本から見直すことになったのです」と語るのは、株式会社ロッテリアフードサービス総務部人事課リーダーの安本氏。
株式会社ロッテリアフードサービス 総務部 人事課 リーダー 安本勝美氏
新システムの導入にあたって、まずは現行システムに関する問題点が洗い出された。そのうえで、今まで通りアウトソーシングを続けるか、新しく自社運用のシステムに切り替えるかを判断。
「コスト低減、エラー削減、一括集中型からデイリー型への業務平準化、給与確定の期間短縮、グループ会社のデータ取り込み、コンプライアンスの徹底などの問題が挙げられました。そこで、これらの課題解決を新システムの導入目標に設定。いろいろと検討を重ねた結果、複数のシステムのなかから、自社運用型のアドプスを採用することに決めました」
導入後は、毎月発生していたアウトソース費用が不要となり、システム運用にかかるランニングコストは約5分の1に。担当者を社員からパートに変更することで、人件費の削減を実現した。また、給与計算にかかる期間を、従来の5~6営業日から3営業日に短縮。さらには、カシオのツール(NextCELL)にてデイリーでデータのチェックを可能にすることで、月初のエラー数を約10分の1に減らすことにも成功するなど、多くの課題を一気に解決するシステム構築を実現した。
株式会社ロッテリアフードサービス
総務部 人事課 マネージャー 服部美由紀氏
「アウトソーシングでは、給与計算の結果が送られてくるのが月一回のみ。時間的にも最低限のエラーをつぶすのが精一杯でした。しかし、アドプス導入後は、自社運用という強みを活かしてチェック体制を強化。アルバイトの労働時間や賃金などを日々確認することで、労務コンプライアンスの徹底にも努めています。また、毎日チェックを行うことで、店舗側の社員の意識も向上。単なる業務効率化を超えて、さまざまな面にアドプスの導入効果が広がっています」と、総務部人事課マネージャーの服部美由紀氏は、労務的な観点からアドプスのメリットを指摘する。
また、システム採用の背景には、社員用の人事給与システムで、アドプスの利用実績があったことも大きかったという。さらに、カシオのSEチームが、システム導入の目的を理解しており、運用改善を含めたアドオン開発提案した点の評価が高かった。
「通常、アドオンを依頼すると、ユーザの要望通りにSEは開発をされることが多いと思うのですが、カシオのSEは業務全般を理解しているので、運用面・将来の変更点などを加味した上で、最適な方法をアドバイスしてくれました。それにより、汎用的に利用できる機能追加も出来たと思います」
アドプスは、2009年12月のキックオフから、設計・開発を経て、2010年5月にデータ移行作業とテスト検証を実施、8月15日より本格稼働をスタートした。給与や年末調整などの月次、年次業務だけでなく、各種チェックをはじめとした日次業務にも対応するとともに、給与明細をメイト専用のモバイルサイトで照会可能とし、ペーパーレス化も実現。なかでも、実際の運用で、業務改善に大きな効果を上げているのが、独自に開発した「他店舗応援システム」と「名寄せシステム」だ。
新システム概要図
「ロッテリアでは、A店のアルバイトがB店の業務をサポートするケースが少なくありません。その際、B店では応援分の給与を経費として計上し、A店の計算結果に加算。A店で保険料や税額の計算を行い口座振込します。これが、他店舗応援システムです。一方、同一人物が再度採用された場合に対応したのが名寄せシステム。店舗でのマスタ登録時に同一人物を自動チェックし、毎日のエラーチェックリストとして出力。採用実績がある場合は、その実績累計計算を行い、調整額や前職分として年末調整に反映します」
毎年数千人規模でアルバイトが入れ換わるが、このシステムのおかげで多くの作業が自動化でき、パート1名で約1万人分の給与計算を処理することが可能となった。
「作業は、月初の8時間×3日=24時間と、1日1時間程度のデイリーチェックのみ。最終確認は社員が行います。給与計算を中心としたシステムになっているので、操作も覚えやすいです。入社してまだ数ヶ月ですが、とくに戸惑うこともなく毎日の業務をこなしています。」と語るのは、総務部人事課の江上紀子氏。
もちろん、いくら操作が簡単といえども単純作業だけでは対応できないケースもある。そこで、担当する業務の内容が理解できるよう、きめ細かな教育を実施。こうした努力が支えているのだ。
株式会社ロッテリアフードサービス
総務部 人事課 江上紀子氏
「将来的な展開としては、グループ各社への展開も視野に入れ、雇用形態の変化にも対応できるよう、さらなるバージョンアップを考えています。経歴などの人事データも、従来のエクセル管理からアドプス管理に移行。アルバイトの社員登用などに活用していくつもりです。また、現在、社員用とアルバイト用、2系統のアドプスを併用していますが、今後は、お互いの良い点を取り入れて、それぞれの完成度をさらに高めていければいいですね」
本格稼働からまだ数ヶ月とはいえ、安本氏の目はすでに次のステージを見据えている。最前線で活躍する「人」と、現場の声に応える「システム」。これからも、ロッテリアとアドプスの二人三脚の挑戦は続く。