CASE STUDIES
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■所在地:大阪府 ■業種:卸売業・小売業 ■従業員数:4,000名(2024年8月現在)
■導入ソリューション:人事統合システム ADPS
介護福祉施設、医療施設向けの食品製造、販売、厨房業務のコンサルティングを全国で提供しているナリコマグループ。同グループは主に関西エリアを中心に事業を展開してきたが年々事業規模を拡大、今では東北から九州までエリアを広げている。当初は受託サービスを提供してきたが、現在では栄養士業務などを含む厨房業務の最適化をトータルでサポートするサービスも提供、事業領域も拡大してきた。契約数も順調に伸びており、今では2,566(2024年5月時点)もの施設にサービスを提供している。その統括を担い(株)ナリコマエンタープライズ、(株)ナリコマフード、(株)フードセンター成駒といった事業会社を管理しているのが(株)ナリコマホールディングスである。
同社は2013年から使用してきた人事・給与システムを刷新。新たに『人事統合システム ADPS』を導入し2023年の夏から運用を開始、業務の効率化に取り組んでいる。
開業の地が大阪ということもあり、関西エリアで事業展開してきたナリコマグループは、2010年代に入ると中部、関東と営業エリアを次々と拡げ、業容を拡大してきた。こうした動きに伴い、グループの再編が行われ、2013年12月にグループの統括会社として株式会社ナリコマホールディングスが設立された。それ以降も営業拠点の増加やサービスの強化が進み成長を続けており、2024年の8月現在で従業員数4,000名を擁する大企業として確固たる地位を築いている。
同社が『ADPS』を導入した背景には、そうしたナリコマグループの成長と従業員数の増加といった企業規模の拡大があり、その影響で10年間使ってきた人事・給与システムでは対応が不十分になってきたことがある。同社のコーポレート本部労務課でシステムを担当している杉野充昭氏にシステム刷新の具体的な理由を伺った。
コーポレート本部労務課でシステムを担当する
杉野充昭氏
「時期の話としてシステムのサポートの終了が近づいてきたという状況がありました。それと営業拠点が急に増え、それに合わせて従業員も増加しており、それまでの業務のやり方では効率化という点で限界があると感じていました。やはり会社の規模拡大を考えますと中規模、大規模企業の業務のやり方に移行していく必要があり、それに対応できるシステムへの刷新は必須でした」
その他に旧システムはInternet Explorerの古いバージョンでしか動作しないという課題があり、現在のWebシステムの標準を考えるとモダンブラウザ対応のシステム移行は待ったなしの状況であったと言う。さらに、雇用契約書などの書類の手続きを電話とファックス、紙で行っていたため、承認フローも時間がかかっていた。また、書類の郵送においても確認や不備があった場合の再送作業などに手間がかかるなど現場では大きな負担になっていた。こうした状況に対応するべく人員を配置してきたが、従業員の急な増加に追いつかず徐々に業務を圧迫していた状況があった。
「今はもう従業員の方もスマートフォンを使えるので、やり取りもWeb上でできるようになれば従業員にとっては利便性の向上にもなり、私たち人事業務側にとっても効率化ができるので実現したいという思いはずっとありました。」と杉野氏は語る。
同社が新システムの選定について検討し始めたのは2021年。選定するにあたってどのような方向性を求めたのか。前述のような紙中心の業務を改善するためには、クラウド型の労務システム導入で対処可能と考えた。一方で給与システムには、バックエンドとしての安定性や堅牢さを担保する必要があり、双方での住み分けを求めていた。さらに業務フローが組み込まれている点も重視したと言う。「旧システム時代では業務フローが個人の知見や経験に頼る属人化が進み、システムがただの箱のようになっていたことを懸念していました。業務の効率化であるとか働き方の改善という点でシステムの中に業務フローがフレームワークとして組み込まれ、属人化を解消し標準化できるシステムが必要だと思いました」と杉野氏は語った。
また、モダンブラウザ対応、中規模~大規模企業でもフィットする、複数のグループ企業でも管理しやすいといった条件も考慮され、最終的に3社に候補が絞り込まれた。そして選定の結果、同社が求める方向性や条件を備えたカシオヒューマンシステムズ株式会社の『ADPS』の採用が決まった。
導入の移行については大きな問題はなかったものの、導入後は旧システムを長年使い慣れていたということもあり、即時に完全切り替えを行うのではなく、旧システムと並行稼働しながら段階的に『ADPS』に移行する方法で定着を図っている。テスト運用として稼働を開始したのが2023年8月からで、言わば慣らし運転を行いながら検証を重ね、本格的な運用を目指している。(2024年8月時点)
コーポレート本部労務課で給与計算業務を担当している瓦谷一平氏に『ADPS』を使った感想を伺った。「導入して半年間ほどは旧システムと並行稼働させて検証を行い、2024年の1月分の給与から『ADPS』を使っています。まだ使いこなすレベルまではいっていませんが、検証しながらマニュアルを作るなどをして対応しています。旧システムと比べると業務単位で分かれている分、計算が確定した後に起こる修正がやりやすいです」と語った。
コーポレート本部労務課で給与業務を担当する
瓦谷一平氏
杉野氏はグループ会社をまたいだ検索ができる点を挙げた。「グループは4つの会社に分かれていますが、給与計算にしても私たちナリコマホールディングスが統括している関係上、色々な問い合わせ対応や制度運用を担っています。旧システムでは会社ごとに毎度ログインして対応しなくてはいけなかったので不便を感じていましたが、『ADPS』では社員番号を入力すれば検索して情報が出てきますので便利になったと感じています」
また、杉野氏や瓦谷氏をはじめとした各業務担当者は、本稼働後に実際にシステムを操作しながら使い方を習得できるADPSスクールも活用。システムの思想などの基本から人事、給与といった業務まで各テーマについてレクチャーを受けた。「マニュアルやテキストでも学ぶことはできますが、やはり直接、講師の方から話を聞く方が理解しやすいと感じました。講義が終わった後もいろいろと相談をして的確なアドバイスをもらったりするなど親身な対応はとてもありがたく助けになりました」と杉野氏は語った。
今回、人事システムをリニューアルして人事業務の改善を目指す株式会社ナリコマホールディングスだが、俯瞰的に見るとどのような意義があるのか。コーポレート本部の北窓本部長は次のように語る。「これからは人材の採用、雇用の継続的な確保が難しくなってくると思っています。やはり新しい人材に来ていただくには会社が魅力的であるべきと考えています。そのためには環境の変化に応じて人事制度や給与体系のアップデートも行われます。そんな中でも4000人もの従業員への給料の支払いが安心安全に行えるというのは私たち労務管理のミッションでもあります。そうしたことをサポートしてくれるシステムであってほしいと思っています」
コーポレート本部北窓佐和子本部長
ナリコマグループは2022年からDX推進に積極的に取り組んでいる。顧客に対する価値提供の向上を図るために、製造インフラや厨房業務などサービスや商品の領域でデジタル化を進めており競争力の強化に努めている。その意味で『ADPS』による人事システムの刷新も人事を含む労務管理の品質向上の点からDX推進の一端を担うことが予想され、今後同グループの成長に寄与できることが期待される。
今後も成長が見込まれるナリコマグループを支えるコーポレート本部の皆様