CASE STUDIES
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■所在地:兵庫県姫路市 ■業種:小売 ■従業員数:社員697名、パート7,905名(2023年2月現在)
■導入ソリューション:人事統合システム ADPS
子どもをもつ家庭の日々の暮らしをより豊かなものにするために。ハイクオリティかつロープライスな子どもたちのための商品を提供する株式会社西松屋チェーン。北は北海道から南は沖縄まで、現在1083店舗を展開(2023年5月20日現在)、従業員数はパートを含めて9,000人を擁している。
同社では、そうした店舗や社員数の拡大に加え、毎年の法改正などにも対応すべく、2022年に『人事統合システム ADPS』を導入。パッケージ製品という特長を生かした簡便な操作性とともに、アドオンで自社独自のオリジナリティも残したシステムを構築し、業務負荷が年々高まる給与計算の時間短縮や人事業務におけるデータ活用の効率化に大きな成果を上げている。
株式会社西松屋チェーンでは、人事・給与管理のシステムを刷新。ADPSの本稼働を2022年よりスタートさせた。システムのリニューアルを検討し始めたのは、2020年。その経緯を、同社の人事部で人事業務課長を務める大石智史氏はこう語る。
大石智史氏
「以前のシステムを導入してから、16年以上が経過しました。この間に、システムの世界もクラウドが主流になるなど大きな変化を遂げています。そのため、当社においてもいよいよシステムの見直しを検討する時期にあると判断しました」
当初は、前システムを改修するといったことも含めて検討していたが、結果的にはまったく新しいシステムを導入することに決定した。その第一の理由が、西松屋チェーンの従業員規模の拡大だ。前システムの導入時は、店舗数がまだ500店舗に届かないぐらいだったが、現在は全国に1080店舗を展開し、その数は約2倍になっている。同様に、従業員数も当時から比べて約2倍の9,000人規模となり、これまでは人数が増えていくごとにシステムをカスタマイズしてしのいできたが、作業効率的に根本的な見直しが必要となっていた。
「そもそも前システムは、9,000人規模の従業員に対応できるよう設計されたものではないため、リニューアルに際しては元からこの規模の人数を想定したシステムを新たに導入した方が良いということになりました」
また、新たなシステムを導入するなら、なるべくパッケージ製品の中から自社に合うものを探そうということになったという。というのも、前システムは西松屋チェーン専用に作り込まれたオリジナルのため、法改正で毎年のように何かが変わるごとに少しずつつくり直す手間がかかっていたのだ。その点、パッケージ製品のシステムなら、法改正があればその都度バージョンアップされるので、手間もコストも節約できる。
さらに、パッケージ製品なら業務の属人化を防げるという狙いもあった。前システムは西松屋チェーン独自のオリジナル仕様だったため、慣れている担当者以外は操作することが難しく、ある一定の人間しか給与計算の業務をこなすことができなかったのだ。
最終的に3つのパッケージ製品が候補に残り、その中から西松屋チェーンに選ばれたのがADPSだった。決め手となったのは、従業員規模の拡大に対応できるシステムであるとともに、バージョンアップで手間とコストをかけずに法改正へと対応できることだ。
「アドインソフトのNextCELL(ネクストセル)でのデータ出力など、業務の大幅な効率化が見込めそうな点も評価の高かったポイントです。さらに、パッケージ製品ということで当社の業務とは合わない部分が発生することは想定していましたが、どうしても変更できない部分についてはアドオンをご提案いただけたのもありがたかったですね。これなら当社の業務を大幅に変更することなく導入できそうだと考え、ADPSを選ばせていただきました」
システムの導入作業はおよそ8ヵ月間かけて行われた。想定よりスムーズに移行できたと話すのは、西松屋チェーンの人事部で同社の給与計算業務を長年に渡って任されてきた人事業務課係長の中嶋梓氏だ。
「導入作業に当たっては、以前のシステム導入に関わった者がすでに部署内におらず、システム内部の設定などについての記録が残っていない状況だったため、一からシステムの構築やスケジュールを考える必要がありました。その点、カシオヒューマンシステムズさんは人事システムに携わってきた経験が長く、給与計算などの実務を熟知していることが大きかったですね。システムの移行に必要な情報や決定すべき項目、それらが必要となる順番など、詳細なご提案をいただくことができました」
西松屋チェーンにおける導入作業はコロナ禍で行われたため、当初はWeb会議とメールのみでのやり取りだった。それにもかかわらず、予定通りのスケジュールで本番稼働を開始できたのは、問題が発生する度、すぐに原因や進捗状況をお互いに共有して解決に取り組むなど、カシオヒューマンシステムズとのコミュニケーションが上手く取れていたおかげだと中嶋氏は感謝の言葉を口にする。
中嶋梓氏
ADPS導入後、 西松屋チェーンの人事・給与管理の業務は順調に推移し、同社に様々なメリットをもたらしている。中でも、効果が絶大だったと中嶋氏が語るのは、給与計算にかかる作業時間の短縮化だ。以前のシステムは、各人の勤怠データをアウトソーシング会社に送信して、そのデータを元に給与計算を行ってもらうというもの。アウトソーシング先の企業は、給与計算に2時間から2時間半程度かけて行っていた。
「しかも、チェックして計算が合わないとなるとやり直すのにまた2時間かかります。それが、ADPSを導入して給与計算を内製化した結果、およそ9,000人分の給与計算がわずか10分で完了できるようになりました」
さらに、内製化で給与計算のスケジュールをアウトソーシング会社に合わせる必要がなくなったため、予定の融通が自由に利くようになったのもメリットのひとつに挙げられる。
西松屋チェーンの給与支払いのサイクルは20日締めの末日払いで、21日から24日の間が給与計算の期間になっている。これまでは計算を自社で行っていなかったため、月末の日が土日で振り込み日が早まっても、それに合わせて計算業務の日程を早くすることはできず、作業期間が削られてしまっていた。
「しかし、現在は給与計算を内製化しているので、今月のカレンダーだったらいつもより少し前にずらして何日の何時から計算しようというように、暦に合わせて自分たちのスケジュールを動かせます。計算時間の短縮化とスケジュールの最適化で、給与計算の期間でも今なら明るいうちに退社できるほどになっています」
その他にも、ADPSの導入は給与に関わる業務に多大な効率化をもたらした。それは、CSVファイルを取り込むことでパート従業員の時給を自動で変更できるようになったこと。前システムはCSVファイルの取り込みを想定していなかったため、数値の変更をすべて手入力で行っていたのだ。そのため、何百人単位で変えるとなると、それこそ何時間もかかる作業だったが、ADPS導入後は自動化されて変更にかかる時間が大幅に削減。チェック作業も簡素化され、人為的な入力ミスの防止に役立っている。
西松屋チェーンにおける給与計算の業務に、劇的な変化をもたらしたADPS。その効果は、人事業務におけるデータ活用にも及んでいる。そのひとつは、人事情報の出力が即可能になったこと。
例えば、同社では従業員の経歴書を年に3〜4回の頻度で定期的に出力しているが、これまでのシステムでは経歴書データをアウトソーシング会社のデータベースで管理していたため、発行依頼を出した翌日に届くのが通例になっていた。しかし、現在ではものの10分で必要な経歴書の出力が完了。業務の効率化につながっている。
ちなみに、経歴書は項目やレイアウトまで以前のシステムで使われていたフォーマットが完全再現されている。新たなシステムの検討時、候補となったベンダー各社からはパッケージ製品でそこまで同じようには作れないと言われたそう。そのような中、アドオンで対応可能との回答をしたのが唯一カシオヒューマンシステムズだけだったという。西松屋チェーンにはシステムを新たに見直しつつも業務のスタイルはなるべく変更したくないという思いがあり、カシオのそうした柔軟な対応力が同社にADPSを選ばせた一因にもなっている。
データ出力については、アドインソフトのNextCELL(ネクストセル)で入社日や所属、退職日といった必要な情報を抜き出して出力できるのも大きなメリットとなった。これまでなら手作業で行っていた項目の並び替えなどのデータ加工が不要なので、出力するのに手間もかからない。例えば異動の発令など、毎月のようにデータを更新して出力する業務に有効となっている。
高濵格也氏
導入から1年経過し、西松屋チェーンの人事業務課のスタッフは給与計算に関する一通りの業務を体験した。ADPSの導入作業がキックオフされたちょうど1年前、同課に異動してきた担当課長の高濵格也氏も、そのひとりだ。
「中嶋の行っていることを理解し、いざという時にはサポートできるようになるために、毎月の給与計算の時にはADPSを触って業務しています。本システムは覚えてしまえば非常にシンプルな操作感で使えるので、難しいなと思ったことはないですね」
ADPSによる給与計算の手順をほぼマスターしているのは課内でもまだ中嶋氏だけではあるものの、システムの操作方法が単純化されたのは髙濵氏の言葉からも確実だ。誰でも操作できるようにこれから教えていければと中嶋氏は語る。
人事の情報は他部署でも使用することが多い。そのため、今後は部署にこだわらず、経理など様々なシステムとADPSの連携を考えていると大石氏。そうした全社的なメリットの望めるような運用方法をカシオヒューマンシステムズと協議し、さらなる業務改善につなげていきたいとこれからの展望を語ってくれた。