テレワークってどういう働き方?リモートワークとの違いはあるの?わかりやすく解説

「働き方改革関連法案」により、ますます労働力確保と生産性向上への取り組みは本格化しており、
時間と場所を選ばない多様な社員の働き方ニーズに応えるため、テレワークの導入が急速に進んでいます。
また、地震や災害の多い日本における事業継続性(BCP)の確保を目的とした対策としてもテレワークが注目されています。
この記事では、テレワークのメリットとテレワークを通して働き方改革推進を成功させた企業の導入事例を解説いたします。

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テレワークとは?

日本テレワーク協会のホームページによると、テレワークとは「tele=離れたところで」と「work=働く」をあわせた造語で、
「情報通信技術(ICT)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」のことを指します。

インターネットなどのICT環境が発達したことによって、従来はオフィスでしか業務ができなかった内容の仕事もテレワークで実現が可能となりました。
テレワークは、社会、企業、就業者の3方向にさまざまな効果(メリット)をもたらすもので、テレワークによる働き方改革を普及することで、
一億総活躍、女性活躍を推進することが可能になります。

一方で、テレワークは、社員をオフィスから離れた場所で勤務させることになるため、企業にとっては、労働時間や業務内容、
業務遂行状況の把握など、テレワークに適した管理方法が必要です。
したがって、適切なルール作りも運営には重要となります。
参考 厚生労働省 テレワークとは

リモートワークとの違いは?

広義でテレワークは

  • ・在宅勤務(自社オフィスから離れ、自宅で就業する働き方)
  • ・モバイルワーク
    (移動中の交通機関やクライアント先、カフェなどの飲食店や、ホテル・空港のラウンジなどの自社オフィス以外で就業する働き方)
  • ・サテライトオフィス勤務(自社オフィスから離れたところに設けられたワークスペースなどの施設を利用して就業する働き方)

の3つのテレワークの形態を表す総称として使われており、「リモートワーク」と表現されることもあります。
「テレワーク」と「リモートワーク」はどちらの単語も定着しておりますが、同じ意味であると考えて問題ありません。

企業がテレワークを導入するメリット、デメリット

新型コロナ感染症の拡大に伴い、急速に導入が進んでいる「テレワーク」。
働き方が多様・柔軟になり、企業や従業員にとって「働くこと」に対して選択肢が増えた一方、
「テレワーク疲れ」という言葉を耳にすることも増えてきました。
ここからは、企業がリモートワークを導入することのメリット・デメリットを紹介いたします。

テレワークのメリット

テレワークは、日本社会が抱える、「少子高齢化による生産年齢人口の減少」「社員の多様な働き方ニーズへの対応」といった課題を克服するなど、企業・従業員にとってもメリットが多くあります。

<企業にとって>

  • ・人財の確保・育成、離職抑制
    出産や育児、介護などの家庭の事情と仕事の両立は、従業員にとって負担が大きくなるケースもあり、転職や離職に繋がってしまう場合もあります。
    テレワークの仕組みを導入することで、多様な働き方を認定している企業という印象も与えることができ、優秀な人財確保にもつながります。
  • ・非常時の事業継続性(BCP) の確保
    大規模な自然災害が起こった場合、オフィスに行くことができなくなってしまいます。
    また、新型コロナウイルスなどの感染症が発生した場合、従業員の感染を防止するための対策が必要です。
    このような非常事態において、テレワークによって就業場所を自由に選択できることで、出社の有無に関わらず、事業の継続や素早い復活ができます。

<従業員にとって>

  • ・ワークライフバランスの向上
    テレワークによって、通勤が不要になるため、ライフスタイルに合わせた働き方を選択でき、家庭の事情等で断念せざるを得ないような仕事でも継続することができます。
    また、個々にあった働き方を取り入れることができるため、生産性や満足度・労働意欲の向上につなげることができ、結果、就業先への定着にもつながります。
  • ・職場との連携強化
    異なる就業環境であるからこそ、よりいっそう職場との連携を強化しようという意識が高まります。
    共有事項や報告事項について、今まで対面で完結していたコミュニケーションが遠隔で行うことになるため、
    スケジュールや同時編集権限を付与されたファイルの利用頻度があがり、自然と情報連携の体制が強化されます。

テレワークのデメリット

多くのメリットがあるテレワークですが、デメリットも存在します。

<企業にとって>

  • ・情報漏洩リスク
    オフィス以外の場所で働くことができるようになるため、社内の機密情報の管理などセキュリティ対策が必要不可欠です。
    ネットワークも、各従業員の自宅や公のネットワークへ接続することになるため、ネットワークのセキュリティ環境を整備するだけでなく、
    従業員個人のセキュリティ意識に働きかけるような研修を取り入れるなど、情報漏洩のリスクに対する対策を講じていかなければなりません。
  • ・就業管理
    テレワークをしていると仕事とプライベートの境が曖昧になってしまうこともあるため、従業員が正しく就業状況を登録していない場合、
    出退勤時間や休憩時間などを正確に把握しづらくなってしまう可能性もあります。

<従業員にとって>

  • ・コミュニケーションの簡素化
    出社をしていれば勤務状況が見えるため、マネジメントする側は働きぶりを確認でき、チーム間では互いの業務量について考慮しやすく、
    コミュニケーションをとることも容易です。
    チャットやメール、オンライン会議ツールなどの普及によって、テレワーク中の異なる環境下であってもやりとりを行うことはできますが、
    対面でのコミュニケーションと比較すると限界があるため、認識の齟齬が生じてしまうことや、モチベーションが低下してしまうことも考えられます。
  • ・評価方法のばらつき
    オフィスの同じ環境で働いていると、仕事の成果だけでなくそこに至ったプロセスやスキルを確認することができますが、テレワークとなると仕事の進め方や関係者とのコミュニケーションの状況が見えにくく、評価の判断材料が成果によってしまいかねません。
    従来の評価方法を点検し、テレワークでもマネジメント層が評価しやすいような制度の構築や、テレワーク中でも評価しやすくなるような仕組みの確立をしないままでは、評価をする側にとってもされる側にとっても不平不満が生じてしまいます。
  • ・限定的な業務
    オフィス以外の場所で働く場合、固定電話やプリンターの使用ができなくなり、資料や文書をスキャンして送付することや、
    業種によっては機密事項を扱う場合、出社時と比較すると対応できる業務が限られてきてしまいます。

テレワーク導入のポイントを解説

ポイント①セキュリティ対策の確立

テレワークでは、社外のネットワークを利用したり、カフェやコワーキングスペースなど、
各従業員が異なる環境下で就業したりすることとなるため、情報漏えいや機材紛失等のリスクが伴います。
総務省が公開している、テレワークを導入・活用するために策定された「テレワークセキュリティガイドライン」を参考に、
「ルール」「人」「技術」の3つの観点に沿ったバランスのよい対策が必要です。

「ルール」
:情報資産の安全性を確保できる仕事の方法
「人」
:従業員への教育・啓蒙活動
「技術」
:「ルール」や「人」では限界のある部分を補完するツール

ポイント②就業管理システムの導入

「労働時間の客観的な把握」は、勤怠状況を可視化できるようにするだけでなく、従業員の健康を管理していくために必要不可欠です。
時間や場所を問わない出退勤時刻の申告によって、計画的な働き方の意識付けも可能です。
システム経由でアラート通知も出すことができるため、離れた環境下でも就業状況を適切に管理できるようになり、コンプライアンスを遵守しながら、従業員の健康をサポートすることにもつながります。

ポイント③ワークフローシステムの導入

テレワーク下での申請業務では、紙とシステムの二重運用や会社にある紙の保管書類をすぐに確認できないなどの理由から、
結局出社が必要となってしまうケースも少なくありません。
そのような事態を防ぐためには、ワークフロー(申請)システムの導入がおすすめです。
紙管理の手間を削減するだけでなく、申請状況をリアルタイムで確認できるため、企業・従業員双方にとって抜けもれない手続きを可能にします。

テレワーク導入の成功事例

事例①

テレワークによって働き方改革の推進を実現した取組事例を広く発信し、テレワークをさらに普及・推進させていくため、
厚生労働省では「輝くテレワーク賞(テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰)」という表彰制度を設けています。
この記事では受賞した2企業の事例を紹介します。

●A社(厚生労働大臣賞「優秀賞」)
A社は、テレワークの導入形態として、終日在宅勤務、部分在宅勤務、モバイル勤務、サテライトオフィス勤務などを活用しており、テレワークの利用者数は1年間で 1,681人(2019年3月時点)に及びます。
テレワークを導入し、在宅勤務制度などの働き方改革を推進してきた結果、2018年度は一人当たりの月平均残業時間を、
労働時間縮減の取組を本格的に開始した2008年度に比べて半減させることができました。
業績面においても順調に推移しており、2018年度末保有契約件数が過去最高の48兆円を達成するなど、
従業員のワークライフバランスを充実させながら、生産性を向上させることができています。
参考 厚生労働省 テレワーク総合ポータルサイト導入事例

事例②

●B社(厚生労働大臣賞「特別奨励賞」)
B社は、テレワークの導入形態として、終日在宅勤務、部分在宅勤務、モバイル勤務、サテライトオフィス勤務などを活用しています。
テレワークの利用者数は、過去1年間で1,327人(2019年8月時点)に及びます。
自社のサテライトオフィスを中核にしたテレワークを従業員に浸透させ、労働時間の削減や生産性の向上を進めるとともに、ワーケーション等による休暇取得も推進しています。
参考 厚生労働省 テレワーク総合ポータルサイト導入事例

テレワーク導入で受けられる助成金制度について

テレワークを開始するといっても、導入時にはさまざまな面でコストがかかりますが、そのようなコスト面での不安を取り除く一種の手段として、国が実施しているテレワーク導入のための助成金制度があります。
厚生労働省が実施している「人財確保等支援助成金(テレワークコース)」では、新規のテレワーク導入または試しに導入している(過去導入していた)「中小企業事業主」の方を対象に、支給対象経費の一部を負担しています。

助成対象となる取組は以下のとおりです。

  • ① 就業規則・労働協約・労使協定の作成・変更
  • ② 外部専門家によるコンサルティング
  • ③ テレワーク用通信機器等(※)の導入・運用

    ※ 以下のテレワーク用サービス利用料も助成対象となります。

    • ●リモートアクセス及びリモートデスクトップサービス
    • ●仮想デスクトップサービス
    • ●クラウドPBXサービス
    • ●web会議等に用いるコミュニケーションサービス
    • ●ウイルス対策及びエンドポイントセキュリティサービス
  • ④ 労務管理担当者に対する研修
  • ⑤ 労働者に対する研修

実施計画の作成・提出をはじめ、評価期間にテレワークに取り組み、労働者の人財確保や雇用管理改善等の観点から効果があげられることが前提とはなりますが、コスト面での導入のハードルを下げることができます。

※最新の情報は常に更新されますので、厚生労働省の公式サイトを必ずご確認ください。

まとめ

今回は、普及が加速化する「テレワーク」について、メリットやデメリットを解説し、成功事例をご紹介しました。
時間と場所の多様化によって、企業・従業員も、よりワークライフバランスを重視した働き方ができるようになりました。
しかしながら、テレワーク続きによる従業員の負荷やマネジメントの難しさなど、懸念すべき点もあります。
従来の制度を見直し、システムなどのツールも用いながら、異なる就業環境下でも従業員が働きやすくなるような仕組み構築が重要です。
従業員・企業への負担も考慮しつつ、本記事でご紹介したポイントもふまえながら、テレワークを取り入れてみてはいかがでしょうか。

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