休日とは?労働基準法における労働時間のルールを解説
2024.05.27
休日と休暇、所定休日と法定休日などの違いについて、正しく理解できているでしょうか。人事担当者であれば、労働基準法における休日についてしっかり理解しておく必要があるでしょう。
この記事では、労働基準法が定める休日の定義や休日の種類、類似した言葉との違いについて詳しくまとめました。あわせて、労働基準法に違反した場合の罰則や休日を変更する際の対処法などについても解説します。
目次
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労働基準法が定める「休日」とは
ここでは、労働基準法で定義される休日について解説します。労働基準法における休日、法的根拠の有無、休日数のルールなどについて解説するため、人事担当者はしっかり理解を深めましょう。
週1日または4週間を通じて4日以上の休日が必要
労働基準法における法定休日とは必要最低限の休日のことで、労働基準法第35条で定められています。労働基準法35条1項では、週を単位として以下を従業員に与えることが義務付けられています。
- 毎週1日の休日
もしくは
- 4週間を通じて4日以上の休日
ただし、例外として35条2項では、ある週に休日がなくても「4週間を通じ4日以上の休日」を確保すればよいとしているため、注意しましょう。ある週に休日がなくても、他の週を含めて4週間平均で週1日、休日があれば問題ありません。
「4週間を通じて4日以上」の具体的な休日のイメージは以下のとおりです。
- 第1週:休日数1日
- 第2週:休日数0日
- 第3週:休日数2日
- 第4週:休日数1日
回数の条件を満たしていれば、土・日・祝日など特定の曜日を休日に設定する必要はありません。
なお、法定休日に対して法定外休日も存在します。法定外休日は労働基準法による規定はなく、使用者各自が設定する休日のことです。
年間の休日数に決まりはない
労働基準法では年間休日数が定められているわけではありません。労働基準法は労働条件の最低基準を定めた法律です。そのため、週休制の原則が守られてさえいれば、各企業が就業規則などで休日を増やすことは違反ではありません。実際は企業により異なるのが実情といえます。
前項のとおり、休日は週1日または4週間を通じて4日以上の休日が必要です。しかし、会社が指定する休日は一般的に土日祝日を含め、年間120日前後としている企業が多くあります。
休日は就業規則に記載する
企業の休日は、労働基準法第89条により就業規則への記載が義務付けられています。記載方法は週休2日制、変形休日制の4週8休制、就労形態によっても異なるため、しっかり理解しておきたいところです。
年間の休日数は、労働基準法を守っていれば企業が独自に増やすことが可能です。ただし、設定した休日に関しては就業規則に記載する必要があるため、注意しましょう。
「休日」の種類とそれぞれの違い
休暇や代休、所定休日など、休日と似た用語が多くあります。ここでは、休日の種類とそれぞれの言葉との違いについて解説していきます。解説するのは、以下の4つです。
- 休日と休暇の違いは労働義務の有無
- 所定休日と法定休日の違いは法的義務の有無
- 法定休暇と特別休暇の違いは休暇の目的
- 振替休日と代休の違いはそれぞれの定義
従業員から問い合わせがあった際にしっかり説明できるように、違いを理解しておきましょう。
休日と休暇の違いは労働義務の有無
休日と休暇の違いは、労働義務の有無にあります。休日とは、労働契約上労働の義務がない日のことです。いわゆる会社の「公休日」を指します。
一方の休暇は、本来労働の義務がある日(=労働日)に企業が労働義務を免除している休みのことです。休暇の中には、法令により条件を満たした場合に与える必要がある法定休暇と、福利厚生の一環で任意に定める特別休暇があります。法定休暇の中で一般的なのが、年次有給休暇です。
所定休日と法定休日の違いは法的義務の有無
労働基準法で定められた休日が法定休日で、企業が就業規則などの社内規律で定めた休日が所定休日です。両者の違いは、法的義務の有無にあります。
法定休日は労働基準法35条1項で定められた休日であるため、従業員に必ず取得させなくてはいけません。
法定休暇と特別休暇の違いは休暇の目的
休暇には法定休暇と特別休暇があります。違いは、休暇の目的です。
法定休暇とは、法律で定められている社員の権利として使える休暇を指します。一般的には以下のようなものがあります。
- 年次有給休暇
- 看護休暇
- 産前産後休暇
- 介護休暇
- 育児休暇
一方の特別休暇は、福利厚生として企業が独自に与える休暇を指します。一般的には、以下のようなものがあります。
- 慶弔休暇
- バースデー休暇
- アニバーサリー休暇
- リフレッシュ休暇
なお、ユニークなものを特別休暇として設定すれば話題性が生まれ、会社の魅力になる可能性もあるでしょう。
振替休日と代休の違いはそれぞれの定義
振替休日と代休は、厚生労働省によると以下のように定義されています。
- 振替休日:あらかじめ休日の代わりに他の労働日を休日とすること
- 代休:休日労働が行われたあと、その代償として以後の特定の労働日を休みとすること
振替休日とは、休日と労働日を入れ替えることです。就業規則などであらかじめ設定された休日を、事前に他の日と振り替えた場合の休日を指します。もともと設定されていた日は休日でなくなるため、36協定の締結や割増賃金の支払いも必要ありません。
一方の代休は、休日勤務の代わりに休みを取ることです。振替休日では出勤した分の休みを取る必要がありますが、代休では必ずしも休みを取る必要はありません。
代休において労働を命じた休日が法定休日であった場合は休日労働となります。そのため、前提として36協定の締結が必要で、割増賃金も支払わなければなりません。
振替休日と代休については、多くの企業の就業規則に規定されています。それぞれを明確に区別したうえで運用しないと法律違反になる可能性があるため、注意が必要です。
労働基準法における休日の最低ラインと企業の実態
休日は週1日または4週間を通じて4日以上の休日が必要ですが、実際に指定する休日は年間120日前後としている企業が多くあります。労働基準法における休日の最低ラインと、企業が設ける休日数の間には異なる点が多いのはなぜでしょうか。
ここでは、その理由について解説していきます。
年間休日の最低ラインは「105日」
まずは、年間休日の最低ラインについて見ていきましょう。設ける義務のある年間休日は、前述した労働基準法によると「毎週1回、4週間に4回の休日」です。この規定を基準とすると、年間休日の最低ラインは「1日8時間労働の場合で105日」と計算されます。
しかし、日本の多くの企業では120日前後の休日が設けられているのが現実です。これには、「週休二日制」と「法規制」の2つの理由が関係しています。以下でそれぞれ詳しく見ていきましょう。
最低ラインと企業の実態が異なる理由「週休二日制」
1つめの理由として、日本の企業の大部分が取り入れている週休二日制が挙げられます。
労働基準法における年間休日数の最低ラインは、105日です。しかし、1年間には104日前後の土日があるため、たとえば土日を休日とした場合には、それだけで年間休日数の105日に達してしまいます。また、土日以外に祝日もあります。
この状況では、祝日出勤が必要となるほか、ゴールデンウイークや夏季休暇、年末年始休暇の取得もできなくなってしまう可能性を否定できません。休息する時間やプライベートの時間を十分に確保できないことは、従業員にとって大きな損失です。
そのため、土日と祝日を休日と設定して十分な休息を得られる120日前後を休日としている企業が多くなっています。
なお、厚生労働省の調査によると企業全体の年間休日数の平均は、以下のとおりです。
- 令和3年1年間の年間休日総数の1企業平均:107.0日
- 従業員1人平均:115.3日
また、企業規模別に見た年間休日日数は以下のとおりです。
- 1,000人以上:115.5日
- 300〜999人:114.1日
- 100〜299人:109.2日
- 30〜99人:105.3日
年間休日数は、企業規模が大きいほど多い傾向にあります。上記の調査結果から見ても、年間休日105日~110日の場合は、全体的に休みの少ない企業といえます。
最低ラインと実態が異なる理由「法規制」
2つめの理由として、労働基準法による労働時間規制が挙げられます。
労働基準法では、労働時間の上限を1日8時間、週40時間までと定めています。これが法定労働時間と呼ばれるものです。
企業が法定労働時間を超えて従業員を働かせないように時間調整をすると、雇用契約上の所定労働時間が1日8時間である場合、週5日で上限40時間に到達してしまいます。そのため、各企業では独自に法定外休日を設けて従業員の労働時間調整を実施し、年間の法定休日数を120日前後に増やしているというわけです。
休日に関する労働基準法に違反した場合の罰則
ここまで解説してきたとおり、法定休日は労働基準法で定められた休日です。そのため、法定休日を付与しない場合には罰則が科される可能性があるため注意しましょう。
労働基準法の休日に関する法律に違反した場合は、以下のような罰則が科される可能性があります。
- 6か月以下の懲役
または
- 30万円以下の罰金刑
なお、この罰金刑が科されるのは、法定休日の付与義務違反を認定された企業にかぎります。また、36協定を届け出ずに休日労働や時間外労働をさせたり、割増賃金を支払っていなかったりした場合も同様です。
罰則を受けないためにも、労働基準法を理解して、従業員に「最低でも週に1回または4週間に4回の法定休日を設ける」ようにしましょう。
労働基準法における休日を変更する場合
労働基準法における休日を変更する場合や休日出勤が必要になることもあるでしょう。ここでは、以下の2点について解説します。
- 労働基準法における休日を変更する場合
- 労働基準法における休日に出勤した場合
休日を変更する場合は就業規則の変更が必要となり、休日に出勤する場合は「36協定」の締結が必要です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
労働基準法における休日を変更する場合
法定休日を就業規則で特定日に定めている場合、企業は規則を守る必要があります。しかし、業務上の必要性や労働条件の改善といった合理的理由があれば、法定休日の変更が可能です。
ただし、休日は就業規則の絶対的必要記載事項であるため、就業規則の変更が必要です。また、原則従業員すべての同意を得る必要もあります。
労働基準法の休日を変更する際のおおまかな流れは、以下のとおりです。
- 法定休日の特定方法について経営層が了承する
- 従業員の過半数から意見書を収集する
- 就業規則変更届を作成する
- 就業規則、意見書、就業規則変更届を労働基準監督署に提出する
- 全従業員に就業規則変更を周知
労働基準法で定められた休日を変更するには、就業規則の変更個所についてまずは経営陣の承認が必要です。その後、従業員の過半数から意見書をもらい、就業規則変更届を作ります。次に、就業規則、意見書、作成した就業規則変更届を労働基準監督署に届け出ます。
そして、法定休日を変更したことを全従業員にアナウンスすることが必要です。全従業員に伝えることで、休日の変更手続きは完了します。
労働基準法における休日に出勤した場合
法定休日に出勤するには、事前に労使間で「36協定(時間外労働・休日労働に関する協定書)」の締結が必要です。使用者は、従業員に休日労働をしてもらうために36協定を労使間で締結し、労働基準監督所へ届出を事前に行う必要があることを理解しておきましょう。
また、法定休日に半日だけ出勤した場合でも、法定休日労働となるため注意が必要です。法定休日は、原則として暦日(午前0時~午後24時)での取得が必要なため、半日出社/半日休日という運用は違法とされます。
また、法定休日に出勤した場合は割増賃金も必要です。割増賃金の取り決めに関しては、次項で解説します。
労働基準法の休日に関する割増賃金の取り決め
労働基準法にのっとって休日労働や時間外労働をさせる場合は、割増賃金の支払いが必要です。ここでは、以下2つの取り決めに関して見ていきましょう。
- 休日に関する割増賃金の取り決め
- 時間外労働に関する割増賃金の取り決め
休日に関する割増賃金の取り決め
法定休日に出勤させた場合、割増賃金の支払いが必要です。この場合、35%以上の割増賃金率を加算した休日出勤手当を支払う義務があります。また、深夜帯勤務となった場合はさらに25%が追加され、合計60%以上の割増賃金率を加算しなければなりません。
法定外休日の場合は時間外労働となるため、25%以上の割増賃金率加算となります。深夜帯勤務に関しては法定休日と同じく25%追加です。
なお、どちらも振替休日を事前に設定した場合は割増賃金の対象になりません。ただし、同一週に振替休日を取れず、週をまたがって振り替えた結果、週の法定労働時間を超えた場合は注意しましょう。この場合、時間外労働が生じ、36協定の時間管理及び割増賃金の支払いが必要です。
時間外労働に関する割増賃金の取り決め
労働基準法において、法定労働時間は1日8時間、1週40時間と定められています。この時間を超えた労働は時間外労働となり、時間外労働における割増賃金の支払いが必要です。割増賃金は、通常の賃金の25%以上となります。
なお、2010年から大企業において月60時間を超えて時間外労働をさせた場合の割増賃金率は、50%以上に引き上げられています。さらに、2023年4月1日から、大企業だけでなく中小企業にも上記が適用されているため注意しましょう。
関連記事:残業代や残業時間の計算方法とは?手順をわかりやすく解説
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まとめ
法定休日は、労働基準法で定められた休日です。年間の休日数に決まりはなく、回数の条件を満たしていれば、土・日・祝日など特定の曜日を休日に設定する必要はありません。また、労働基準法を守っていれば企業が独自に増やせます。
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カシオヒューマンシステムズコラム編集チームです。
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