人事システムとは?比較ポイントや機能一覧を紹介

2025.04.09

人事システムとは?比較ポイントや機能一覧を紹介

人事システムとは、人事や労務管理業務に必要な従業員情報を管理するシステムのことです。

人事業務は、雇用管理や配属管理、人材育成など、多岐にわたります。とくに近年は、少子高齢化による人材不足の課題を抱える企業が多く、限られた人材で効率的に人事業務を回すことが求められます。このような状況下で注目されているのが、人事システムです。

今回は、人事業務を自動化できる人事システムの機能やサービスの選び方について解説します。

目次

開く
人事管理システム
人事・労務業務を効率化
  • 人事・給与
  • 就業
  • 申請

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人事システムとは?

人事システムとは?

人事システムは、人事や労務管理業務に必要な従業員情報を管理するシステムのことです。「人事システム」とも呼ばれ、氏名や住所等の基本情報から、配属や給与まであらゆる情報を一元管理できます。2016年にマイナンバー制度が導入されてから、多くの企業で導入が進みました。ここでは、人事の概要や人事システムが注目される理由を解説します。

そもそも「人事管理」とは

人事とは、企業の目的達成を目指し、従業員が最大限の成果を上げられる体制を整えることです。人事の業務内容は、雇用管理や人材育成、人材配置など多岐にわたります。

雇用管理
  • 人材採用
  • 人材配置
  • 人事評価
  • 昇進・昇格
賃金管理
  • 総額賃金管理
  • 個別賃金管理
人材育成
  • 新人教育研修の実施
  • 1on1ミーティングの実施
  • メンター制度の導入
  • OJTの導入
安全・衛生管理
  • 労働環境の改善
  • 従業員の健康管理
  • 設備や器具の定期点検
  • 消防訓練や避難訓練の実施
時間管理
  • 労働時間制度の導入
  • 休業・休暇のシステムの構築
  • 就業時間や残業時間の管理
作業管理
  • 時間研究
  • 動作研究
  • 職務再設計

人事システムが注目される理由

Excelデータや紙の書類等を用いる従来の人事業務は、書類の回収や配布の際に手続きに工数がかかります。従業員の結婚や部署異動等では、人事情報の更新や修正作業の負担が伴うことも多いです。近年は少子高齢化が進んでおり、人材不足の課題を抱える企業も少なくありません。限られた人材で、効率的に人事業務を回すことが求められます。

人事システムを導入すれば、書類の回収や配布など単純作業の自動化が実現可能です。また、業務の垣根を超えて人事情報を一元管理できるため、各部署に都度確認する必要はありません。人事担当者の負担が軽減され、業務全体の効率化を図れます。

さらに、人事業務が効率化すれば限られた人材でも業務が回るため、企業は新たな人材を雇用する必要がなくなります。人件費は経費の中でも大きな割合を占めることが多く、気づかぬうちに財務を圧迫していることも多いです。人事システムを導入すれば、人件費を削減できるため、企業の利益向上につながるのも注目される理由のひとつです。

【機能一覧】人事システムができること

【機能一覧】人事システムができること

人事システムには、以下の分野に対応する機能を搭載していることが多いです。

  • 労務管理
  • 人事情報の集約
  • 人事評価

主な機能について確認していきましょう。

労務管理

労務管理は、勤怠記録や福利厚生など、従業員の労働に関する事柄を管理する業務を指します。

労働管理の目的は、法令遵守とリスク回避です。従業員の労働条件や就業規則、労働環境等は、労働法(労働基準法や男女雇用機会均等法など)に準じて適切に管理しなければいけません。法令遵守は企業の社会的責任であり、法令違反した場合は罰則が科される可能性があります。

また、労務管理には生産性向上の目的もあります。労働環境の整備や従業員の健康維持等を通じた働きやすい環境の提供により、モチベーションを上げ、生産性向上の実現が可能です。

人事システムに搭載されている労務管理機能を確認していきましょう。

入社・退職手続き

従業員が入社した際は、雇用契約の締結や各種保険の加入、給与の振込先口座の登録などさまざまな手続きを行う必要があります。また、従業員が退職する際も、退職証明書の発行や保険の資格喪失手続き、源泉徴収票の発行、退職金の算出といった複雑な業務を行わなければなりません。

給与明細の発行

給与や賞与明細、源泉徴収票をWeb配布できる機能です。給与明細作成や社会保険額、支払経費の算出は細かい計算が多くミスが起こりやすいですが、システム導入により正確に発行できます。なかには、法改正や税率変更等に対応する人事システムもあります。

年末調整の手続き

従業員に迅速な回答を促して、内容確認やステータス管理を効率化できる機能です。年税額の自動計算、訂正や修正、行政機関への電子手続きなど年末調整に特化した人事システムも多くあります。頻繁に改正される制度への対応が確実、かつ容易です。

人事情報の集約

人事業務には、従業員の氏名や性別、住所などの個人情報を集約する業務があります。

人事情報を集約する主な目的は、人材育成や人材発掘、人材配置など戦略的な人材管理です。従業員の個人情報を各部署で管理する企業も存在しますが、これでは従業員一人ひとりの人事情報を可視化するのが難しく、適切な人事業務が行えません。

一方、人事システムを導入すれば、氏名や性別など従業員の基本事項から保有資格やスキルまで、各部署で管理されていた人事情報を集約して一元管理できます。

人事システムに搭載されている人事業務機能を確認していきましょう。

従業員情報の管理

従業員の個人情報や家族構成、学歴、職歴などを一括管理できる機能です。登録された情報はシステム上で検索可能であり、離れた拠点やテレワーク環境でも参照できます。マイページから従業員自身が入力可能で、最新性を担保しやすいです。

人材データベース作成

異動履歴や評価情報、面談記録など多様な項目に対応できる人材データベース作成機能です。人事に関するあらゆる情報を一元管理でき、人事業務の効率化を図れます。タレントマネジメントの運用にもつながり、戦略的な人材配置が可能です。

組織分析

正社員比率や有給取得率、在籍人数の把握など組織の横断的な分析を行える機能です。組織の課題を洗い出し、企業の成長につなげられます。情報の一元管理が可能であるため、作業コストを抑えられるのも利点です。

人事評価

人事評価は、従業員が一定期間内において遂行した業務の実績や能力を評価する業務です。

人事評価は、公平な処遇の決定や従業員の育成方針、適切な人事配置を決める重要な基盤といえます。明確な基準の下で公平な人事評価が実施されれば、従業員の納得性を高められ、モチベーション向上や人材定着の実現が期待できます。

また、人事システムの導入により、評価項目の設定やデータ分析等の自動化が可能です。人事評価は担当者の主観が影響する傾向にありますが、人事システムに集約した各従業員の目標や業務の達成度など、客観的な数値から評価するため従業員の納得感を得られます。

人事システムに搭載されている人事評価機能を確認していきましょう。

評価シートの作成

業界ごとに最適化された人材管理テンプレートを作成できる機能です。紙やExcelの評価シートの内容をそのまま再現できるシステムや、評価者による評価のブレを補正する機能を備えたものもあります。過去の評価データも蓄積できるため、従業員同士の比較も可能です。

目標・進捗管理

目標管理する「MBO」や達成度を測る「OKR」などを一元管理できる機能です。目標設定から評価結果の集計、フィードバックまでの目標管理制度の一連をシステム上で行えます。KPIやアクションプランの進捗管理に対応する人事システムもあります。

配置バランス・組織図

評価や条件により適性に合う配置を行える機能です。指揮系統の明確化や円滑な情報伝達、人材配置とバランスの最適化が図れます。組織図は、従業員の役割認識や企業理解に役立ちます。

人事システムを導入するメリット

人事システムを導入するメリット

人事システムを導入することで、以下のようなメリットがあります。

  • 人事業務の効率化が期待できる
  • 機密情報を厳守できる
  • 人的ミスを削減できる
  • 中長期的な人材育成につながる

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

人事業務の効率化が期待できる

給与計算や勤怠管理など人事業務は多岐にわたり、人事担当者は膨大な作業負担がかかります。とくに従業員数の多い企業は、その作業量は膨大で担当者の負担はかなり大きいです。人事システムを導入すれば、細かい単純作業を自動化できるため、人事業務の効率化が可能です。

また、正社員や非正規社員など多様な雇用形態にも対応しやすく、給与計算も円滑に行えます。人材不足が深刻な採用活動においては、応募者情報の管理や面接の日程調整など採用に関する業務を効率化できるため、選考スピードを上げられるのもメリットです。

機密情報を厳守できる

従業員の個人情報や社外秘の情報を扱う人事部門では、データ管理の際に徹底したセキュリティ対策を行うことが必要です。人事システムは、万全なセキュリティ体制が整えられており、Excelデータや紙の書類等での管理より情報漏洩のリスクを低減できます。

具体的には、アクセス権をユーザーごとに設定して情報へアクセスできる従業員を制限したり、バックアップの実行を徹底したりする機能があります。また、操作ログの保存により悪意のあるデータ操作を発見できる機能が搭載されている人事システムも多いです。

人的ミスを削減できる

人事業務は、給与計算や年末調整など計算が必要な作業が多くあります。手作業やExcelでの計算は、人的ミスが発生する可能性が極めて高いです。人事システムを導入すれば、入力や計算を自動化できるため、ヒューマンエラーの防止や削減につなげられます。

また、パートやアルバイト、時短勤務など雇用形態別の給与計算を自動化することも可能です。毎年更新される特例や法改正、税率変更等もシステムに自動反映されるため、業務の効率化や業務時間の削減につながります。

中長期的な人材育成につながる

人事システムを導入すると、従業員の活動実績や人事評価等の情報を一元管理できます。一人ひとりの能力や適性を把握できるため、適切な人材配置を行うことが可能です。人材評価の精度が向上され、中長期的な人材育成にもつながります。

また、正しい人材評価やマネジメントは、従業員のモチベーション向上に欠かせません。業務だけでなく離職率の低下も改善できるため、企業は人件費削減の効果も期待できます。戦力になる人材を育てれば、業績向上や人手不足の課題解消にもつながります。

人事システム導入のデメリットや注意点

人事システム導入のデメリットや注意点

人事システムを導入する際のデメリットや注意点には、以下のようなものがあります。

  • 導入に手間やコストを要する
  • セキュリティ対策の徹底が求められる
  • 人事評価では数値以外にも目を向ける

それぞれの概要を確認していきましょう。

導入に手間やコストを要する

人事システムを導入する際は、初期費用や月額料金等の導入コストがかかります。

人事システムの主な提供形態は、「クラウド型」「オンプレミス型」の2種類です。導入コストは、以下のように提供形態によって異なります。

特徴 費用相場
クラウド型 委託企業が提供するオンライン上のシステムを利用する形式 初期費用:10万~50万円
月額料金:300~700円/ユーザー
オンプレミス型 自社内にサーバーを設置して回線も自社で管理する形式 ライセンス費用:100万円以上
月額料金:50万~160万円/開発者

人事システムを導入する際は、システムの選定や構築、運用などさまざまな手間がかかります。システム導入前には、従業員への丁寧な説明や操作マニュアルの作成が必要で、導入後も費用対効果の分析やシステムの見直しが必要です。

セキュリティ対策の徹底が求められる

人事システムは従業員の個人情報を扱うため、プライバシーの観点から慎重な管理が必要です。

従業員の個人情報が漏洩すると、企業としての社会的信用が落ちるだけでなく、多額の賠償金を請求される可能性があります。従業員の個人情報漏洩を防ぐためには、徹底したセキュリティ対策を講じることが重要です。

必要なセキュリティ対策を提供形態別に、以下の表にまとめました。

セキュリティ対策
クラウド型 データの暗号化やアクセス制御、システム監視等があります。システム導入前に、従業員にセキュリティ教育を実施することも重要です。
オンプレミス型 外部からのアクセス制限やデータの暗号化が有効です。別途費用はかかりますが、必要に応じて専門家の意見を取り入れる方法もあります。

人事評価では数値以外にも目を向ける

人事システムの導入により、公正な人事評価を実施することが可能です。

ただし、数値化された評価基準ばかりを重視すると目に見えない貢献度が見過ごされてしまいます。そうなれば、公正な評価の決断が難しくなり、意欲的に仕事に取り組んでいる従業員のモチベーションを低下させ、離職につながる可能性があります。

目に見えない貢献度を評価するためには、定性評価や情意評価を用いることが重要です。

人事システムの種類

人事システムの種類

人事システムの種類は、以下の5つに大きく分けられます。

  • 労務管理システム
  • 給与計算システム
  • 勤怠管理システム
  • 採用管理システム
  • 人事評価システム

それぞれの概要について詳しく解説します。

労務管理システム

労務管理システムは、従業員の個人情報を一元管理して、社会保険や雇用保険等の情報管理や手続きを効率化できるシステムです。改正が多く、ミスが許されない書類を短時間、かつ正確に作成できるため、人事担当者の負担を大幅に軽減できます。

ただし、人事部門では全従業員の個人情報を取り扱うため、厳重なセキュリティ対策が必要です。個人情報が外部に漏洩すると、企業への信頼を失われる可能性があります。優秀な人材の流出にもつながるため、厳重なセキュリティ機能を搭載するサービスを選ぶことが大切です。

給与計算システム

給与計算システムは、勤怠情報を活用して給与計算業務を効率化できるシステムです。給与計算では、扶養家族や人事異動等の変更を入力し忘れたり、保険料率の改定を反映し忘れたりするミスが起こりやすいものです。

また、開始や終了時期が年齢で決められている介護保険料や雇用保険料は、従業員ごとの生年月日を正しく把握しないと、年齢で追加される保険料を忘れることもあります。法改正で条件が変わる場合もあり、最新情報を把握しなければいけません。人事システムを導入すれば、法令改正に準拠した自動計算が可能になり、ヒューマンエラーの防止や削減につなげられます。

勤怠管理システム

勤怠管理システムは、従業員の出退勤や休暇等の記録を管理できるシステムです。従来の勤怠管理は、タイムカードで行われていることがほとんどでした。タイムカードで勤怠管理すると、各部署に勤怠情報が蓄積されるため、人事担当者は随時確認する必要があります。

人事システムを導入すれば、勤務時間の打刻や出勤時間の集計等の申請など細やかな勤怠情報を一元管理することが可能です。人事担当者の作業が簡略化でき、入力ミスや不正防止につながります。また、システム上に集計したデータは給与計算や労務管理にも活用できます。

関連記事:勤怠管理とは?目的や必要性、人事の仕事内容について解説

採用管理システム

採用管理システムは、応募者や応募経路などの情報、日程調整、選考など採用活動に関する業務を一元管理できるシステムです。新卒採用だけでなく、パート・アルバイトや中途採用、リファラル採用などさまざまな採用活動を管理できます。

採用管理システムを導入すれば、採用活動の業務効率化が実現可能です。また厳重なセキュリティ対策を行える機能も搭載されており、機密情報も外部に漏れることなく管理できます。

人事評価システム

人事評価システムは、各従業員の能力や評価、退職等を一元管理できるシステムです。資格取得や社内教育など従業員の育成内容を管理できるシステムもあります。人事評価に関しては、営業成績だけでなく、事務的業務などの実績も評価に加えられます。ほかにも、セクハラやパワハラなどコンプライアンスに関する情報も正確に把握することが可能です。

人事システム導入の流れ

人事システム導入の流れ

人事システム導入の流れは、以下のとおりです。

  • 自社の課題や導入目的を明確にする
  • 業務の棚卸を行う
  • 人事システムを比較検討する
  • 無料トライアルで操作性や機能性を確認する
  • システムの運用をスタートする

それぞれの概要を確認していきましょう。

1.自社の課題や導入目的を明確にする

人事システムを導入する際は、まず自社の課題や導入目的を明確化することが大切です。

人事システムの提供サービスは数多くあり、業務効率化やコスト削減など、自社の課題や導入目的の優先順位によって選定基準は異なります。自社の課題を明確にするためには、人事や総務など、業務に携わる従業員から直接課題を聞き出すのが有効です。

なお、人事システムを導入する際は、自社の課題解決が導入目的になる傾向があります。人事システムの導入効果を得るために丁寧に自社の課題を洗い出しましょう。

2.業務の棚卸を行う

自社の課題や導入目的を明確にしたら、業務の棚卸を実施しましょう。

業務棚卸とは、社内の業務を洗い出して整理する取り組みのことです。従業員一人ひとりの粒度で業務内容や作業時間、コスト等を洗い出しましょう。業務棚卸により無駄な業務を可視化でき、運用の変更が必要な業務が明らかになります。

なお、人事システム導入により、業務効率化やコスト削減の効果を推測することが可能です。ただし、導入するべき人事システムの提供形態は異なるため、サービス選定前に業務を棚卸する必要があります。また、棚卸中は従業員の作業負担が大きくなるため、閑散期に実施するのがおすすめです。

3.人事システムを比較検討する

業務棚卸でシステム選択の基準が明確化したら、具体的なサービスの検討に移りましょう。

同じように見える人事システムでも、搭載機能や料金プラン、サポート体制が異なることは多くあります。自社の課題を解決できるサービスを導入する場合には、複数の人事システムを比較検討しましょう。具体的な比較ポイントは、次の見出しで詳しく解説します。

4.無料トライアルで操作性や機能性を確認する

十分に比較検討して人事システムを選定しても、実際に使用してみなければ使い勝手はわかりません。

導入後の後悔を避けるために、無料トライアルで操作性や機能性を確認しましょう。お試し期間は人事システムによって異なりますが、多くのものは30日間使用できます。実際に人事担当者や従業員が操作して問題なければ、そのまま契約することも可能です。

5.システムの運用をスタートする

無料トライアルで操作性や機能性を確認したら、システムを導入して運用を開始しましょう。

運用開始前に、従業員に向けた説明会を実施するのがおすすめです。人事システムを導入すると従来のやり方を変える必要があり、運用開始時に戸惑う人事担当者も少なくありません。自社の課題を解決するためには、人事担当者や従業員の理解と協力が必要不可欠です。

また、現場の混乱を最小限に抑えるために人事システムの操作マニュアルや説明動画を作成し、作業中に随時確認できるように環境を整えることも重要です。

人事システム7つの比較ポイント

人事システム7つの比較ポイント

人事システムは、単に導入しただけでは業務効率化や業務負担軽減などの効果は得られません。導入目的を明確化したうえで、必要な機能を搭載するサービスを選ぶことが大切です。

サービスの比較ポイントには、以下のようなものがあります。

  • 搭載されている機能
  • セキュリティ
  • 他システムとの連携性
  • サポート内容
  • コストパフォーマンス
  • システムの提供形態
  • 操作性の良さ

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

1.搭載されている機能

人事システムが補える業務範囲は幅広いです。導入目的に合わないシステムを選んでしまうと、期待した効果を得られない可能性があります。まずは、自社で抱える課題を明確化しましょう。人事に関する問題を全社的に整理すると課題が見えてきます。

自社で抱える課題を明確化にした後は、それらの問題を解決できる機能を搭載する人事システムを選択しましょう。たとえば、勤怠情報の管理や給与控除計算等のミスを減らしたい場合は、労務管理や給与計算に特化したシステムを選ぶと課題を解決しやすいです。システム導入が目的にならないように自社に合うサービスを探してみましょう。

2.セキュリティ

人事部門は、従業員の個人情報や給与情報などの機密情報を取り扱います。機密情報が外部に漏れると、従業員からの信用が失われてしまいます。情報漏洩のリスクを回避するには、自社の情報セキュリティポリシーと合うサービスを選ぶことが重要です。

情報セキュリティポリシーとは、企業が実施するセキュリティ対策の方針や行動指針のことを指します。情報セキュリティポリシーは各システムで異なるため、内容をしっかり確認したうえで信頼できる製品を選ぶことが大切です。

また、多くの人事システムは、セキュリティ対策としてアクセス制限の機能を搭載しています。しかし、その制限が厳しすぎると人事担当者の業務が滞る可能性があるため、柔軟かつ細やかな権限設定が可能なシステムを選びましょう。

3.他システムとの連携性

人事システムは、勤怠管理や給与計算などさまざまなサービスと連携することで、総合的な業務効率化を実現できます。製品は、既存システムとの連携対応や同シリーズのシステムの種類など、事業成長に応じた拡張も視野に入れて選定しましょう。

また、機能が充実しており、使いやすいシステムであることも重要です。人事システムを導入した場合、人事担当者だけでなく全従業員が使用します。ITに不慣れな従業員もいるため、直感的に操作できる人事システムを選ぶことが大切です。

4.サポート内容

人事システムは、サポートが手厚い製品を選びましょう。導入時は、企業独自の雇用形態や賞与体系など個別の設定が必要です。また、給与関連は税法改正や年末調整等の作業は人事担当者の負担が大きく、専門知識を持つベンダーのサポートが欠かせません。

さらに導入時だけでなく、運用中のサポート内容も重要です。サポート内容が充実する人事システムを選ぶと安心して利用できます。ただし、サポート内容によっては別途料金が発生する場合もあります。年間の費用負担が変わるため、事前に確認しておきましょう。

5.コストパフォーマンス

人事システムは、料金形態や運用コストを考慮して選ぶことが大切です。

費用面は人事システムの種類や提供形態によって大きく異なる場合があります。初期費用は安いもののランニングコストが高かったり、搭載機能が豊富で料金が高額になったりする場合があるかもしれません。とくに、運用コストは継続的にかかる費用です。

無理のない範囲で払える金額に抑えなければ、支払いが難しくなる可能性があります。具体的な金額を知りたい方は、見積もりを依頼しましょう。

6.システムの提供形態

人事システムの主な提供形態には、「オンプレミス型」「クラウド型」があります。

それぞれの特徴を、以下の表にまとめました。

オンプレミス型 クラウド型
サービス特徴 自社内にサーバーを設置して回線も自社で管理する形式 委託企業が提供するオンライン上のシステムを利用する形式
初期費用 システム利用のインフラ構築が必要になるため、初期費用が高額になる傾向がある クラウド型は月額料金での利用が一般的で、オンプレミス型に比べると費用を抑えられる
メンテナンス 保守・運用の担当者を社内に確保する必要があり、システムバージョンアップの際は費用がかかる 基本的なシステム管理やシステムバージョンアップはシステム提供側(ベンダー側)が実施する
セキュリティ 社内ネットワークを介して利用するため、適切に管理体すれば情報漏洩リスクは比較的少ない システム提供側で厳重なセキュリティ対策を実施している場合は、情報漏洩リスクを抑えられる
カスタマイズ 自社サーバーで運用するため、カスタマイズの自由度が高く、既存システムとも連携可能 オンプレミス型と比較すると自由度は劣るものの、ある程度カスタマイズできる

7.操作性の良さ

人事システムを選ぶ際は、操作性も重要なポイントです。

人事システムは、人事担当者だけでなく従業員も使用する場合があります。人事担当者や従業員が使いにくいシステムであれば、業務効率が下がる可能性があります。使用者の負担を減らすためには、直感的に操作できるシステムが最適です。

すべての従業員が快適に使えるように、操作マニュアルや説明動画を作成するのも有効です。

人事業務を手厚くサポート!人事管理システム「ADPS」

人事業務を手厚くサポート!人事管理システム「ADPS」

Excelデータや紙の書類で人事情報を管理すると、書類の回収や配布に手間がかかります。従業員の結婚や部署異動等では、人事情報の更新や修正作業を都度行わなければいけません。人事業務を効率化して作業負担を減らしたいなら、人事システムの導入を検討しましょう。

カシオヒューマンシステムズ株式会社は、人事管理システム「ADPS(アドプス)」を提供しています。「ADPS」は、人事情報管理や給与計算など人事にかかわる業務を一元管理できるシステムです。累計5000社以上の導入実績のノウハウをパッケージに反映しており、必要な機能を拡充しつつも使う人の視点を考えたシンプルなインターフェースを備えています。人事業務の課題や問題を解消できるため、人事管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

詳しくは、以下をご確認ください。

人事管理システム
人事・労務業務を効率化
  • 人事・給与
  • 就業
  • 申請

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まとめ

まとめ

人事業務は、従業員情報や年末調整の手続き、人事評価など業務量が多いうえに作業も複雑です。とくに近年は、少子高齢化が進んでおり、人材不足の課題を抱える企業も少なくありません。限られた人材の中で、人事業務を回すには業務の効率化が必要不可欠です。

人事システムを導入すれば、人事情報の集約や労務、人事評価を効率化できます。また、入力や計算を自動化できるため、ヒューマンエラーの予防や削減が可能です。人事担当者の負担を減らしたいなら、人事システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

人事管理システム
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  • 人事・給与
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カシオヒューマンシステムズ コラム編集チーム

カシオヒューマンシステムズコラム編集チームです。
人事業務に関するソリューションを長年ご提供してきた知見を踏まえ、
定期的に「人事部の皆様に必ず今後の業務に役立つ情報」を紹介しています。