人事業務の効率化を進める方法を解説!役立つツールも紹介
2024.08.02

人事業務の効率化は、コア業務に集中するうえで欠かせません。この記事では、人事業務効率化を進めるにあたり重要となる方法や具体策など、人事業務効率化のための施策を検討中の方に役立つ情報を紹介します。また、人事業務の効率化に役立つツールやシステム、導入する際のポイントも解説します。
目次
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人事業務とは

人事業務とは、企業が目的達成のために欠かせないヒト、モノ、カネ、情報などの経営資源のうち、組織内の「ヒト」に関する業務全般を指します。
人事業務は、採用や育成などを行う「人事管理」と、給与計算や勤怠管理などを行う「労務管理」の2つに分類することが可能です。ここでは、人事業務の具体的な仕事内容や、労務管理との違いについて解説していきます。
人事業務の仕事内容
企業の「ヒト」に関する人事業務の仕事内容として、以下のようなものが挙げられます。
- 人材採用
- 人材配置
- 人事評価
- 人材育成
人事業務では、人材採用や配置、評価、育成などを幅広く担当します。それぞれ詳しく見ていきましょう。
■人材採用
人材採用は、企業の経営計画に従って必要な人材を採用する業務です。会社の特徴や魅力を発信する求人募集や応募受付、面接会場の準備、面接などの幅広い業務も担当します。
自社の採用方針や採用計画などを策定し、採用プランを実施してください。
また、新卒/中途採用のほか、パートやアルバイトといった非正規雇用など採用区分によっても採用活動の内容が異なるため、それぞれに合った採用計画を立てる必要があります。
■人材配置
各従業員の特徴やスキルを見極めて、適切な部署や業務に配置する業務です。従業員が適切な場所で働くことにより、各自の能力を最大限に発揮でき、組織の活性化につなげられます。
人員配置には、以下のようなものがあります。
- 新規人材採用にともなう人員配置
- 異動にともなう人員配置
- 昇降格・雇用変更にともなう人員配置
計画的な要員計画を行うためには、各部署のニーズをヒアリングすることが欠かせません。また、適切な人員配置を行うために、組織の現状を正確に把握することも重要です。
■人事評価
人事評価では、従業員のスキルや職務遂行度、企業に対する貢献度などの評価基準を設定し、昇給/昇格、賞与、人事異動などに反映します。
人事評価における処遇は、従業員のモチベーションに大きな影響を与えます。正当な評価を行うためには、客観的で透明性・公平性がある評価基準を設定しなければなりません。
■人材育成
従業員の人材育成は、企業の生産性向上のために欠かせない業務です。従業員のスキルと能力を高める教育や研修を実施します。
教育や研修の例として、以下のようなものが挙げられます。
- 新卒/中途社員への新人社員研修/中途社員研修
- 中堅社員へのキャリア研修
- 管理職昇格のための管理職研修
研修は人事や社内の人材が講師を担当しますが、外部の研修会社に依頼することもあります。従業員の能力やレベルに応じた育成プランを立案し、年間スケジュールを検討しましょう。
モチベーション・コンディション管理も人事業務の1つです。定期的に従業員に対して面談やアンケートなどを実施しコミュニケーションをとることで、従業員の生産性向上や離職防止につながります。
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人事業務と労務管理の違い
人事業務が「ヒト」に関する業務を担当するのに対し、労務管理では従業員の「労働」に関わる業務を担当します。
具体的な担当業務の違いは以下の表のとおりです。
人事業務 | 採用や人材配置、人事評価など、人材活性化につながる業務を担当 |
労務管理 | 給与計算や福利厚生、労働時間、就業規則ななど、従業員の労働にまつわる分野を担当 |
効率化できる人事業務の内容

人事業務には多くの業務が存在しますが、採用業務や人事評価、人材育成業務は効率化が可能です。
業務効率化が実現すれば、経営目標達成に向けて人的資源を最大限活用するコア業務に集中できるようになります。そのためにも、効率化自体がゴールとならないよう注意しましょう。
以下では、採用業務、人事評価、人材育成の各業務を効率化する方法について解説します。
採用業務
より優れた人材を確保するためには、採用業務の改善が欠かせません。優秀な人材の確保は企業にとって生命線です。一方で、人手不足や採用チャネルの多様化にともない採用活動の負担は増え続けています。しかし、求職者や内定者のフォローを十分にできていないのが現状です。
採用業務を改善する方法として、以下のようなものが挙げられます。
- 選考プロセスの見直し
- 応募書類評価の標準化
- 申込に対する自動返信機能の活用
- 日程調整ツールによるスケジュール共有
- 採用ツールの利用
- オンライン面接の導入 など
採用業務では多くの人とコミュニケーションをとる必要があり、業務効率化を達成するためにはコミュニケーションの効率化が重要です。自動返信機能を利用したり、日程調整ツールでスケジュールを共有したりするなど、定型的な業務連絡を減らすことで効率化につながります。
人事評価
人事評価業務は、企業のビジョンを達成するうえで重要な業務です。ただし、あらゆる情報をもとに行う業務であるため、時間や手間を要します。また、従業員数に対して情報をまとめる人員が少なく、効率化を求められているのが実情です。
人事評価を効率化するための方法には、以下のようなものが挙げられます。
- 評価内容の標準化
- 達成目標の明確化
- オンラインシステムの導入
オンラインシステムの導入は、紙やExcelシートで評価シートの配布・回収を行っている企業であれば大きな効果が得られます。オンラインシステムであれば、配布や回収などマンパワーで対応していた業務を自動化できるでしょう。
また、オンラインシステムには、従業員の評価を効率化できるさまざまな機能が搭載されており、人事情報の一元管理も可能です。データに基づく人材配置につながるため、社員個々のパフォーマンスを最大化できます。
ただし、人事システムは便利なツールではあるものの、さまざまなコストが発生することには注意が必要です。システムを移行する場合には、これまでの人事評価制度を見直す必要があります。見直しに費やす時間が発生するほか、システムを運用するためのマニュアル整備などの手間やコストも発生します。
システムを導入する場合は、コスト面へ配慮することも重要です。
人材育成
各種人材育成のための階級別研修など、研修の手配と実施も人事業務の1つです。各従業員の状況や階層に合わせた研修の企画や、参加から参加後のフィードバック、所属部門の上長との連携など、研修全体の運営も担います。そのほか、全社員を対象とするコンプライアンス研修など、健全な組織運営に欠かせない研修もあります。
しかし、人材育成には時間がかかるため、通常業務に追われて人材育成のために十分な時間を確保できないことがあるかもしれません。そのような場合は、eラーニング学習の導入や学習管理システムを導入して、人材育成業務の効率化を図ってみましょう。
最近ではeラーニングと研修管理が一括で行える学習管理システムが導入され、業務を軽減しながら効率的な育成も行えるようになっています。
人材育成までなかなか手が回らない企業は、eラーニングの活用や学習管理システムの導入を検討してみましょう。
人事業務効率化に向けた3ステップ

人事業務効率化に取り組む際の具体的な流れを解説します。ステップは以下の順です。
- 業務を洗い出し課題を明確化する
- 改善策を検討する
- 施策を実行し効果を検証する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.業務を洗い出し課題を明確化する
まずは、現在の業務内容を洗い出し、効率化できる部分や解決すべき課題を明確化することから始めます。業務内容は、以下の点に注意しながら1つずつ洗い出しを行いましょう。
- どのような業務を行っているのか
- 担当者は誰なのか
- 人員はどれくらい必要なのか
- 所要時間、工数はどの程度なのか
人事業務の内容は多岐にわたります。業務内容の洗い出しに漏れがあると、効率化できる業務を見落としてしまうかもしれません。そのため、漏れや重複がないように洗い出しを行うことが重要です。
業務の洗い出しが完了したら、効率化するための課題を洗い出し明確化します。ムダな業務や自動化できる業務、ほかの人に頼める業務など、1つずつ選別していきましょう。重要なことは、実現の可能性は考慮せず、業務内容が改善できるかどうかです。費用や難易度など具体的なことについては、次項で検討します。
2.改善策を検討する
ムダな業務の判別ができたら、改善策を検討していきます。改善策は、以下の視点で考えていきましょう。
- ムダな業務の廃止
- 自動化できるか
- 業務の簡素化が可能か
- アウトソーシングできるかどうか
改善の方法は1つのみとは限りません。複数の方法がある場合は、現実的で効果の高い方法を選びましょう。この段階では、実現の可能性を考慮する必要があるため、改善対象とする業務の見極めが重要です。また、費用対効果や改善にかかるスピードなども考慮に入れて改善策を検討しましょう。
3.施策を実行し効果を検証する
改善策を決めたら、実際に運用を開始します。効率化がどのくらい進んだか、効果検証を定期的に実施することがポイントです。効果を検証することで、効率化の進み具合や効果を把握でき、改善点を見つけられます。
ムダのない業務改善が行えるように、改善策実施、効果検証、改善のサイクルを繰り返していくことが重要です。
人事業務効率化のための具体策

人事業務の効率化につながる具体的な施策を紹介します。主な施策は、以下の4つです。
- 業務フローの標準化
- データのペーパーレス化
- アウトソーシングの導入
- システムやビジネスツールの導入
それぞれ詳しく解説します。
業務フローの標準化
まずは、業務フローを標準化することから始めましょう。基本的な知識があれば誰もがその業務に対応できる体制を整えることが重要です。
そうすることで従業員同士の引き継ぎがスムーズになり、担当者が変わっても問題なく業務を遂行できます。さらに、業務の属人化が解消されれば業務負荷を分散でき、業務全体の効率化にもつながるでしょう。
データのペーパーレス化
データのペーパーレス化も人事業務効率化において効果的です。紙ベースのデータ管理では、以下のような問題点があります。
- そもそも文書がどこにあるのか見つけにくい
- 文書内の文字を探すことが難しい
- 文章の変更に手間がかかる
- 印刷・配布・共有に時間がかかる
- 不要になった際に廃棄の手間がかかる
ペーパーレス化しデータ管理を行えば、必要な情報に早くたどり着けたり共有したりできるようになり、上記のような問題点を解消できるでしょう。
また、データであれば場所を選ばず情報を管理できるようにもなります。
アウトソーシングの導入
社内の人事業務をアウトソーシングすることも効率化に有効な手段です。人事業務の一部をアウトソーシングすることで、費用の抑制や重要業務への集中が期待できます。
ただし、アウトソーシングを導入する際は、作業範囲の認識違いや情報漏えい、アウトソーシング先への対応などの対策が必要になるため注意が必要です。
システムやビジネスツールの導入
システムやビジネスツールを導入することでも人事業務を効率化できます。これまで人が対応していた複雑な業務も、迅速かつ的確に進めることが可能です。
さらに、システムやビジネスツールを導入して業務を自動化できれば、浮いた時間を面接や採用戦略の立案といったコア業務に充てられるようにもなります。
ただし、システムやビジネスツール導入する際は、機能や費用、サポート体制に対する確認が欠かせません。自社にあっていないシステムやツールの導入は意味がありません。
人事業務の効率化に役立つツールやシステム

人事業務の効率化に役立つツールやシステムを紹介します。さまざまな種類があるため、自社の環境にあったものを選ぶことが肝心です。
効率化に役立つツール・システムには、以下のようなものがあります。
- Excel
- RPAツール
- 人事管理システム
- 採用管理システム
それぞれ詳しく見ていきましょう。
Excel
ExcelはMicrosoft社が開発や販売をしている表計算ソフトです。多くのパソコンにインストールされているため、馴染みがある方も多いでしょう。
Excelは導入コストが発生しない点や、操作を覚える学習コストが低い点などが魅力です。また、手軽に情報をデータ化でき、保存・共有・集計・加工などの作業を効率的に行えます。さらに、マクロや関数を用いて集計作業などを自動化することが可能です。
ただし、マクロや関数を用いるにはルール設定をする必要があり、多くの方が業務に携わる大企業ではルールの徹底が難しい場合があります。そのため、人事管理業務のツールとしてExcelを活用する方法は大企業には不向きかもしれません。
RPAツール
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツールとは、PCを用いて行うルーティン業務をロボットが自動化するツールのことです。RPAツールを導入すると人事業務の効率化に役立ちます。RPAツールのメリットは、自社システムやパッケージソフトに縛られることなく、異なるソフト間でも自由に作業を組み合わせられたり、人事業務でありがちな定型業務に対する強みになったりすることです。
人事業務では、従業員が個別入力した情報を集約する業務が多く存在します。RPAツールであれば、入力から集約までを自動で行う機能を備えているため、業務効率化のみでなく人的ミスの削減も可能です。
人事管理システム
人事管理システムとは、従業員の氏名や経歴などのデータを一元管理するシステムです。人事業務を根本から効率化できます。
人事管理システムで管理できる従業員の情報には、以下のような項目があります。
- 氏名・年齢
- 給与
- 入社年度
- 経歴
- 配属
- 成績
最近では人材戦略マネジメントが注目を浴びています。人材戦略マネジメントでは、長期的視野で柔軟な人事管理体制の構築が欠かせません。その点、人事管理システムでは従業員のさまざまな情報を管理できるため、人材戦略マネジメントにおいても重要な役割を担ってくれます。
採用管理システム
採用管理システムとは、求人情報の管理や選考状況の進捗、内定者管理など採用に関わる活動を一元管理できるシステムです。応募者とのやりとりやスケジュール調整も可能で、人材採用に関する業務を効率化できます。
さらに、採用管理システムでは採用状況の数値化も可能です。そのため、選考の評価・進捗などをスムーズに社内共有でき、効率よく選考を進められます。
また、採用活動のデータが蓄積されるため、人材サービスの費用対効果や媒体ごとの採用率などの分析をしやすくなり、数値目標の見直しや自社が抱える課題の発見などにも役立ちます。
人事業務の効率化にツールやシステムを導入する際のポイント

人事業務の効率化にツールやシステムを導入する際に押さえておきたいポイントを紹介します。主なポイントは以下の3点です。
- 搭載されている機能を確認する
- サポート体制が充実したものを選ぶ
- 他システムとの連携性を確認する
導入してから後悔しないように、確実にポイントを押さえておきましょう。
搭載されている機能を確認する
単にツールやシステムを導入すればよいわけではありません、自社が必要としている機能が搭載されているかどうか、また現在人事部が抱える問題を解決できるか確認するようにしましょう。
ツールやシステムにはさまざまな種類があり、製品によって搭載されている機能も異なります。人事評価業務で課題を抱えているのであれば、それを解消できる人事管理システムを選ぶことが大事です。
「人事業務効率化に向けた3ステップ」の項で紹介したように、課題を明確化させておくことで、自ずと選ぶべきツールやシステムが見えてきます。
サポート体制が充実したものを選ぶ
導入時のみでなく、導入後のサポート体制も充実しているサービスであれば、システムを初めて導入する場合でも安心です。導入時や運用中のサポート内容、サポート対応可能時間、対応方法などについて事前に確認しておきましょう。
企業ごとに雇用形態や給与体系は異なります。そのため、人事システムでは個別の事前設定が必要です。給与業務は、税法改正や年末調整などがあれば従業員の負担が増えるため、専門知識をもつベンダーのサポートがあれば安心して人事業務に取り組めるようになるでしょう。
なお、サポート内容によって別途費用が発生する場合もあるため注意が必要です。以下のポイントをぜひ参考にしてください。
- 問い合わせ方法:電話、メール、チャットなど
- 問い合せから回答が得られるまでの時間
- 活用事例やQ&Aなどのページがあるか
- セミナーなど学習機会の有無
他システムとの連携性を確認する
人事業務の内容は幅広く、他システムとの連携が図れるツールやシステムであれば業務効率化が期待できます。そのため、人事システムを導入する際は、既存システムと他システムが連携可能かどうか確認しましょう。
複数のシステムの導入を検討中の場合は、同一のシリーズで揃えるのも1つの手です。
カシオヒューマンシステムズが人事業務を統合的にサポート

人事情報の管理や採用管理業務は、人事担当者にとってミスが許されず、手間や労力がかかる業務です。大企業は扱う情報量が膨大で、適切に処理することが求められます。
業務をミスなくこなすためにも、人事業務システムの自動化を検討してみてはいかがでしょうか。カシオヒューマンシステムズ株式会社が提供する「ADPS」は、1990年の誕生以来、5,000社を超える企業で活用されている人事統合システムです。
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まとめ

人事業務は、人材採用や配置、評価、育成などを幅広く担当します。そのなかで、採用業務や人事評価、人材育成業務は効率化が可能です。業務の効率化を行うことで、今以上にコア業務に集中できるようになるでしょう。
業務を効率化するためには、課題の明確化や改善策の検討、効果検証が重要です。また、効率化に向けた具体策として、業務フローの標準化やシステム・ツールの導入などが挙げられます。
記事で紹介したように、システムやツールにはさまざまなものが存在します。搭載されている機能やサポート体制などを確認してから、自社にあったものを導入するようにしましょう。
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カシオヒューマンシステムズコラム編集チームです。
人事業務に関するソリューションを長年ご提供してきた知見を踏まえ、
定期的に「人事部の皆様に必ず今後の業務に役立つ情報」を紹介しています。