人事管理システムとは?比較ポイントや機能一覧を紹介
2024.06.14
人事管理システムは、人事や労務管理業務に必要な従業員情報を管理するシステムのことです。製品によって搭載機能やサポート内容が変わるため、自社に合うシステムを選ぶことが大切です。今回は、人事管理システムの比較ポイントや機能一覧について解説します。
目次
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人事管理システムとは?
人事管理システムは、人事や労務管理業務に必要な従業員情報を管理するシステムのことです。「人事システム」とも呼ばれ、氏名や住所等の基本情報から、配属や給与まであらゆる情報を一元管理できます。2016年にマイナンバー制度が導入されてから、多くの企業で導入が進みました。ここでは、人事管理の概要や人事管理システムが注目される理由を解説します。
そもそも「人事管理」とは
人事管理とは、企業の目的達成を目指し、従業員が最大限の成果を上げられる体制を整えることです。人事管理の業務内容は、雇用管理や人材育成、人材配置など多岐にわたります。
雇用管理 |
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賃金管理 |
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人材育成 |
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安全・衛生管理 |
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時間管理 |
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作業管理 |
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人事管理システムが注目される理由
Excelデータや紙の書類等を用いる従来の人事管理業務は、書類の回収や配布の際に手続きに工数がかかります。従業員の結婚や部署異動等では、人事情報の更新や修正作業の負担が伴うことも多いです。近年は少子高齢化が進んでおり、人材不足の課題を抱える企業も少なくありません。限られた人材で、効率的に人事管理業務を回すことが求められます。
人事管理システムを導入すれば、書類の回収や配布など単純作業の自動化が実現可能です。また、業務の垣根を超えて人事情報を一元管理できるため、各部署に都度確認する必要はありません。人事担当者の負担が軽減され、業務全体の効率化を図れます。
さらに、人事業務が効率化すれば限られた人材でも業務が回るため、企業は新たな人材を雇用する必要がなくなります。人件費は経費の中でも大きな割合を占めることが多く、気づかぬうちに財務を圧迫していることも多いです。人事管理システムを導入すれば、人件費を削減できるため、企業の利益向上につながるのも注目される理由のひとつです。
【機能一覧】人事管理システムができること
人事管理システムには、以下の分野に対応する機能を搭載していることが多いです。
- 労務管理
- 人事情報の集約
- 人事評価
主な機能について確認していきましょう。
【労務管理】
入社・退職手続き | 従業員が入社した際は、雇用契約の締結や各種保険の加入、給与の振込先口座の登録などさまざまな手続きを行う必要があります。また、従業員が退職する際も、退職証明書の発行や保険の資格喪失手続き、源泉徴収票の発行、退職金の算出といった複雑な業務を行わなければなりません。 |
給与明細の発行 | 給与や賞与明細、源泉徴収票をWeb配布できる機能です。給与明細作成や社会保険額、支払経費の算出は細かい計算が多くミスが起こりやすいですが、システム導入により正確に発行できます。なかには、法改正や税率変更等に対応する人事管理システムもあります。 |
年末調整の手続き | 従業員に迅速な回答を促して、内容確認やステータス管理を効率化できる機能です。年税額の自動計算、訂正や修正、行政機関への電子手続きなど年末調整に特化した人事管理システムも多くあります。頻繁に改正される制度への対応が確実、かつ容易です。 |
【人事情報の集約】
従業員情報の管理 | 従業員の個人情報や家族構成、学歴、職歴などを一括管理できる機能です。登録された情報はシステム上で検索可能であり、離れた拠点やテレワーク環境でも参照できます。マイページから従業員自身が入力可能で、最新性を担保しやすいです。 |
人材データベース作成 | 異動履歴や評価情報、面談記録など多様な項目に対応できる人材データベース作成機能です。人事に関するあらゆる情報を一元管理でき、人事業務の効率化を図れます。タレントマネジメントの運用にもつながり、戦略的な人材配置が可能です。 |
組織分析 | 正社員比率や有給取得率、在籍人数の把握など組織の横断的な分析を行える機能です。組織の課題を洗い出し、企業の成長につなげられます。情報の一元管理が可能であるため、作業コストを抑えられるのも利点です。 |
【人事評価】
評価シートの作成 | 業界ごとに最適化された人材管理テンプレートを作成できる機能です。紙やExcelの評価シートの内容をそのまま再現できるシステムや、評価者による評価のブレを補正する機能を備えたものもあります。過去の評価データも蓄積できるため、従業員同士の比較も可能です。 |
目標・進捗管理 | 目標管理する「MBO」や達成度を測る「OKR」などを一元管理できる機能です。目標設定から評価結果の集計、フィードバックまでの目標管理制度の一連をシステム上で行えます。KPIやアクションプランの進捗管理に対応する人事管理システムもあります。 |
配置バランス・組織図 | 評価や条件により適性に合う配置を行える機能です。指揮系統の明確化や円滑な情報伝達、人材配置とバランスの最適化が図れます。組織図は、従業員の役割認識や企業理解に役立ちます。 |
人事管理システムを導入するメリット
人事管理システムを導入することで、以下のようなメリットがあります。
- 人事業務の効率化が期待できる
- 機密情報を厳守できる
- 人的ミスを削減できる
- 中長期的な人材育成につながる
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
人事業務の効率化が期待できる
給与計算や勤怠管理など人事業務は多岐にわたり、人事担当者は膨大な作業負担がかかります。とくに従業員数の多い企業は、その作業量は膨大で担当者の負担はかなり大きいです。人事管理システムを導入すれば、細かい単純作業を自動化できるため、人事業務の効率化が可能です。
また、正社員や非正規社員など多様な雇用形態にも対応しやすく、給与計算も円滑に行えます。人材不足が深刻な採用活動においては、応募者情報の管理や面接の日程調整など採用に関する業務を効率化できるため、選考スピードを上げられるのもメリットです。
機密情報を厳守できる
従業員の個人情報や社外秘の情報を扱う人事部門では、データ管理の際に徹底したセキュリティ対策を行うことが必要です。人事管理システムは、万全なセキュリティ体制が整えられており、Excelデータや紙の書類等での管理より情報漏洩のリスクを低減できます。
具体的には、アクセス権をユーザーごとに設定して情報へアクセスできる従業員を制限したり、バックアップの実行を徹底したりする機能があります。また、操作ログの保存により悪意のあるデータ操作を発見できる機能が搭載されている人事管理システムも多いです。
人的ミスを削減できる
人事業務は、給与計算や年末調整など計算が必要な作業が多くあります。手作業やExcelでの計算は、人的ミスが発生する可能性が極めて高いです。人事管理システムを導入すれば、入力や計算を自動化できるため、ヒューマンエラーの防止や削減につなげられます。
また、パートやアルバイト、時短勤務など雇用形態別の給与計算を自動化することも可能です。毎年更新される特例や法改正、税率変更等もシステムに自動反映されるため、業務の効率化や業務時間の削減につながります。
中長期的な人材育成につながる
人事システムを導入すると、従業員の活動実績や人事評価等の情報を一元管理できます。一人ひとりの能力や適性を把握できるため、適切な人材配置を行うことが可能です。人材評価の精度が向上され、中長期的な人材育成にもつながります。
また、正しい人材評価やマネジメントは、従業員のモチベーション向上に欠かせません。業務だけでなく離職率の低下も改善できるため、企業は人件費削減の効果も期待できます。戦力になる人材を育てれば、業績向上や人手不足の課題解消にもつながります。
人事管理システムの種類
人事管理システムの種類は、以下の5つに大きく分けられます。
- 労務管理システム
- 給与計算システム
- 勤怠管理システム
- 採用管理システム
- 人事評価システム
それぞれの概要について詳しく解説します。
労務管理システム
労務管理システムは、従業員の個人情報を一元管理して、社会保険や雇用保険等の情報管理や手続きを効率化できるシステムです。改正が多く、ミスが許されない書類を短時間、かつ正確に作成できるため、人事担当者の負担を大幅に軽減できます。
ただし、人事部門では全従業員の個人情報を取り扱うため、厳重なセキュリティ対策が必要です。個人情報が外部に漏洩すると、企業への信頼を失われる可能性があります。優秀な人材の流出にもつながるため、厳重なセキュリティ機能を搭載するサービスを選ぶことが大切です。
給与計算システム
給与計算システムは、勤怠情報を活用して給与計算業務を効率化できるシステムです。給与計算では、扶養家族や人事異動等の変更を入力し忘れたり、保険料率の改定を反映し忘れたりするミスが起こりやすいものです。
また、開始や終了時期が年齢で決められている介護保険料や雇用保険料は、従業員ごとの生年月日を正しく把握しないと、年齢で追加される保険料を忘れることもあります。法改正で条件が変わる場合もあり、最新情報を把握しなければいけません。人事管理システムを導入すれば、法令改正に準拠した自動計算が可能になり、ヒューマンエラーの防止や削減につなげられます。
勤怠管理システム
勤怠管理システムは、従業員の出退勤や休暇等の記録を管理できるシステムです。従来の勤怠管理は、タイムカードで行われていることがほとんどでした。タイムカードで勤怠管理すると、各部署に勤怠情報が蓄積されるため、人事担当者は随時確認する必要があります。
人事管理システムを導入すれば、勤務時間の打刻や出勤時間の集計等の申請など細やかな勤怠情報を一元管理することが可能です。人事担当者の作業が簡略化でき、入力ミスや不正防止につながります。また、システム上に集計したデータは給与計算や労務管理にも活用できます。
採用管理システム
採用管理システムは、応募者や応募経路などの情報、日程調整、選考など採用活動に関する業務を一元管理できるシステムです。新卒採用だけでなく、パート・アルバイトや中途採用、リファラル採用などさまざまな採用活動を管理できます。
採用管理システムを導入すれば、採用活動の業務効率化が実現可能です。また厳重なセキュリティ対策を行える機能も搭載されており、機密情報も外部に漏れることなく管理できます。
人事評価システム
人事評価システムは、各従業員の能力や評価、退職等を一元管理できるシステムです。資格取得や社内教育など従業員の育成内容を管理できるシステムもあります。人事評価に関しては、営業成績だけでなく、事務的業務などの実績も評価に加えられます。ほかにも、セクハラやパワハラなどコンプライアンスに関する情報も正確に把握することが可能です。
人事管理システム4つの比較ポイント
人事管理システムは、単に導入しただけでは業務効率化や人事担当者の負担軽減等の効果は得られません。導入目的を明確化したうえで、必要な機能を搭載するサービスを選ぶことが大切です。サービスの比較ポイントには、以下のようなものがあります。
- 搭載されている機能
- セキュリティ
- 他システムとの連携性
- サポート内容
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
1.搭載されている機能
人事管理システムが補える業務範囲は幅広いです。導入目的に合わないシステムを選んでしまうと、期待した効果を得られない可能性があります。まずは、自社で抱える課題を明確化しましょう。人事に関する問題を全社的に整理すると課題が見えてきます。
自社で抱える課題を明確化にした後は、それらの問題を解決できる機能を搭載する人事管理システムを選択しましょう。たとえば、勤怠情報の管理や給与控除計算等のミスを減らしたい場合は、労務管理や給与計算に特化したシステムを選ぶと課題を解決しやすいです。システム導入が目的にならないように自社に合うサービスを探してみましょう。
2.セキュリティ
人事部門は、従業員の個人情報や給与情報などの機密情報を取り扱います。機密情報が外部に漏れると、従業員からの信用が失われてしまいます。情報漏洩のリスクを回避するには、自社の情報セキュリティポリシーと合うサービスを選ぶことが重要です。
情報セキュリティポリシーとは、企業が実施するセキュリティ対策の方針や行動指針のことを指します。情報セキュリティポリシーは各システムで異なるため、内容をしっかり確認したうえで信頼できる製品を選ぶことが大切です。
また、多くの人事管理システムは、セキュリティ対策としてアクセス制限の機能を搭載しています。しかし、その制限が厳しすぎると人事担当者の業務が滞る可能性があるため、柔軟かつ細やかな権限設定が可能なシステムを選びましょう。
3.他システムとの連携性
人事管理システムは、勤怠管理や給与計算などさまざまなサービスと連携することで、総合的な業務効率化を実現できます。製品は、既存システムとの連携対応や同シリーズのシステムの種類など、事業成長に応じた拡張も視野に入れて選定しましょう。
また、機能が充実しており、使いやすいシステムであることも重要です。人事管理システムを導入した場合、人事担当者だけでなく全従業員が使用します。ITに不慣れな従業員もいるため、直感的に操作できる人事管理システムを選ぶことが大切です。
4.サポート内容
人事管理システムは、サポートが手厚い製品を選びましょう。導入時は、企業独自の雇用形態や賞与体系など個別の設定が必要です。また、給与関連は税法改正や年末調整等の作業は人事担当者の負担が大きく、専門知識を持つベンダーのサポートが欠かせません。
さらに導入時だけでなく、運用中のサポート内容も重要です。サポート内容が充実する人事管理システムを選ぶと安心して利用できます。ただし、サポート内容によっては別途料金が発生する場合もあります。年間の費用負担が変わるため、事前に確認しておきましょう。
人事業務を手厚くサポート!人事統合システム「ADPS」
Excelデータや紙の書類で人事情報を管理すると、書類の回収や配布に手間がかかります。従業員の結婚や部署異動等では、人事情報の更新や修正作業を都度行わなければいけません。人事業務を効率化して作業負担を減らしたいなら、人事管理システムの導入を検討しましょう。
カシオヒューマンシステムズ株式会社は、人事統合システム「ADPS(アドプス)」を提供しています。「ADPS」は、人事情報管理や給与計算など人事にかかわる業務を一元管理できるシステムです。累計5000社以上の導入実績のノウハウをパッケージに反映しており、必要な機能を拡充しつつも使う人の視点を考えたシンプルなインターフェースを備えています。人事業務の課題や問題を解消できるため、人事統合システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
詳しくは、以下をご確認ください。
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まとめ
人事業務は、従業員情報の管理や年末調整の手続き、人事評価など業務量が多いうえに作業も複雑です。とくに近年は、少子高齢化が進んでおり、人材不足の課題を抱える企業も少なくありません。限られた人材の中で、人事業務を回すには業務の効率化が必要不可欠です。
人事管理システムを導入すれば、人事情報の集約や労務管理、人事評価を効率化できます。また、入力や計算を自動化できるため、ヒューマンエラーの予防や削減が可能です。人事担当者の負担を減らしたいなら、人事管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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カシオヒューマンシステムズコラム編集チームです。
人事業務に関するソリューションを長年ご提供してきた知見を踏まえ、
定期的に「人事部の皆様に必ず今後の業務に役立つ情報」を紹介しています。