人事給与システムとは?機能やメリット、選び方について解説

2025.04.09

人事給与システムは、企業の人事関連業務を管理できるシステムのことです。給与計算や勤怠管理をはじめとした業務に活用できます。本記事では、人事給与システムの概要や主な機能、導入するメリットや選び方のポイントなどを解説します。

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人事給与システムとは?人事システムとの違い

人事給与システムとは?人事システムとの違い

人事給与システムとは、給与計算や勤怠管理、従業員の経歴情報の蓄積など、企業における人事および給与関連業務を総合的に管理できるシステムのことです。導入することで、業務の効率化や人的ミスの防止などに役立ちます。

企業で利用されるシステムには、人事システムと呼ばれるものもあります。人事システムは、従業員の基本情報や勤怠の管理などを行うシステムです。従業員の採用から、勤怠状況、福利厚生に関する情報など、従業員の人事情報の管理に特化したシステムといえます。

人事給与システムは、人事システムの機能に給与計算業務を統合し、多岐にわたる業務を一元管理することで、人事労務部門の効率性をさらに向上させようとするものです。

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人事給与システムの主な機能と特徴

人事給与システムの主な機能と特徴

人事給与システムの主な機能には、以下のようなものがあります。

  • 給与計算・給与明細発行
  • 人事情報管理
  • 勤怠管理
  • 労務管理

以下の項で、それぞれについて解説します。

給与計算・給与明細発行

人事給与システムの主な機能の一つが、従業員に支払われる月々の給与をはじめ、賞与や退職金など、お金に関連するものです。残業時間や資格手当など各種の手当に対応して、自動的に給与計算を行い、給与明細などを発行します。

給与関連の業務は、毎月行われる定型的なものから、退職金のように1人あたり1回しかないものまで多種多様です。人事給与システムを使えば、こうした複雑な業務を一括して管理できます。厚生年金保険や雇用保険の届出など、社会保険関係の手続きをこの機能に含む場合もあります。

関連記事:Webの給与明細システムとは?メリットや選び方を解説

人事情報管理

従業員の氏名、住所、生年月日や従業員番号などの基礎的な情報にはじまり、保有する資格、社内で経験してきた業務などをシステムで管理します。昇進や昇格の判定には、経験年数や人事評価、資格などの総合的な評価が必要です。候補者の洗い出しには、システムが役立ちます。

結婚したり、子供が生まれたりすると、従業員の扶養状況が変わり、支給される各種手当も増減します。手作業ではミスが生じやすい煩雑な作業も、システムであれば計算や対応を自動的に進めてくれるため、便利です。

関連記事:人事システムとは?比較ポイントや機能一覧を紹介

勤怠管理

勤怠管理は、従業員の出退勤時刻や残業、休暇や欠勤、遅刻など従業員の労働時間に関する情報の管理です。時間外労働を行った従業員には割増賃金を支払う必要がありますが、割増賃金の割増率は、条件によって25%~50%と幅があります。

たとえば、法定労働時間を超えた時間外労働であれば割増率は25%ですが、休日労働の場合は35%です。タイムカードと照らし合わせて手計算するのでは、手間も時間もかかってしまいます。システムを使えば自動的に計算されるため、ミス防止の効果も小さくありません。

関連記事:勤怠管理とは?目的や必要性、人事の仕事内容について解説

労務管理

労務とは、従業員が働きやすい環境整備を行う業務です。人事業務の一部とも考えられ、企業によっては人事部の中に労務の担当者が配置されていることもあります。

労務管理で代表的なものは、社会保険や労働保険に関連する各種の手続きです。従業員が入社すると、厚生年金保険や雇用保険などの資格取得手続きが必要になります。退職の際には、資格喪失の手続きが不可欠です。

従業員の安全と衛生を守る業務も、労務管理の一端です。労働安全衛生法と同規則により、従業員に年に1回(深夜業を含む場合は6か月に1回)の健康診断を受けさせることが、企業に義務付けられています。企業は健康診断の結果を保存し、特に健康の保持に努める必要がある従業員には、医師や保健師による行うよう努めなければなりません。

労務管理には分野の異なる業務が混在しており、システムを利用して計画的に業務を進めることが、効率向上につながります。

参考:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」

参考:e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」

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人事給与システムを活用するメリットとは

関連記事:給与計算はどこまで自動化できる?|自動化のメリット・デメリットをご紹介!

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業務時間の短縮

人事給与システムの導入により、給与計算業務を自動化できるため、業務時間の短縮が可能です。勤務形態や給与規定が異なる従業員の給与をはじめ、時間外や休日出勤などの割増計算も自動化できます。業務時間が短縮すれば定時に仕事を終えられ、担当者はプライベートな時間を確保可能です。従業員満足度が高まり、労働意欲向上も期待できます。

人件費の削減

人事給与システムで給与計算が自動化されると、人件費を削減できます。従業員数が多い企業ほど、毎月の給与計算に膨大な時間がかかります。2020年度の経済産業省企業活動基本調査によると、企業における人件費の割合を示す労働分配率は50.7%と約半数を上回る状況です。人件費を削減できれば、設備や新規事業の立ち上げなどにも投資できます。

関連記事:給与計算アウトソーシングとは?費用相場やメリットを解説

参考:経済産業省「2021年経済産業省企業活動基本調査

業務の効率化

給与管理は情報入力のような単純作業が発生しますが、人事給与システムの導入により業務を自動化できるため、業務効率化を図れます。日本では働き方改革の一環として労働基準法が改正され、時間外労働の上限が法律で規定されました。業務を自動化できれば各従業員の業務効率化が進み、労働時間が短縮して残業時間の削減につなげられます。

関連記事:人事業務の効率化を進める方法を解説!役立つツールも紹介

関連記事:残業代や残業時間の計算方法とは?手順をわかりやすく解説

参考:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

ヒューマンエラーの予防

勤怠管理や給与計算など単純作業が多い給与管理業務を手入力で行うと、入力や計算ミスなどのヒューマンエラーが起こりがちです。特に、勤務形態で各従業員の給与条件が変わる場合は、給与計算も複雑になり、ミスが発生しやすくなります。人事給与システムを活用すればすべての業務を自動化できるため、ヒューマンエラーの予防になります。

セキュリティ向上

給与管理業務において、人事担当者は各従業員の個人情報や社外秘の情報を扱います。データ管理には、強固なセキュリティ対策が必要不可欠です。人事給与システムには、アクセス権を与えられた人しか情報を入手できないなど、機密情報を守るセキュリティ機能が搭載されています。データの紛失や情報漏洩などのリスクを軽減することが可能です。

人材評価への活用

人事給与システムの導入により、各従業員の能力や業績に関する情報をデータベースに蓄積できます。これらの情報が評価基準の基礎となり、人材評価に活用することが可能です。データが評価の裏付けとなるため、評価される従業員の納得度も上がります。成果を出せば公正に評価されることも伝わり、従業員のモチベーション向上にも有効です。

関連記事:業務システムとは何か?種類やメリット・デメリット、導入事例を紹介

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人事給与システムの運用形態

クラウド型

クラウド型は、サービス提供者が管理するネットワークを介して運用するのが特徴です。自社で設備を用意する必要がなく、導入するまでの時間を短くできるメリットがあります。ネットワークのメンテナンスやアップデートについても、サービス提供者に一任することが可能です。ただし、個人データを社外に保管するため、セキュリティ面に不安が残ります。

オンプレミス型

オンプレミス型は、システムやサーバーを自社内に設置して運用するのが特徴です。システムやサーバーを用意する必要はありますが、自由度が高く、カスタマイズしやすいメリットがあります。既存システムと同一のネットワークを利用するため、連携しやすいのも魅力です。ただし、システムの導入には初期費用や運用時のランニングコストがかかります。

インストール型

インストール型は、自社で用意したパソコンやサーバーにソフトウェアをインストールして使用するタイプです。インストールするソフトウェアは、パッケージとして購入する方法と、ダウンロードで入手する方法があります。原則として、ソフトウェアを1回購入するだけであるため、手軽で、月々の利用料なども発生しません。

デメリットとしては、ソフトウェアをインストールしたパソコンなどのみでしか使えない点が挙げられます。したがって、テレワークやリモートワークをしながら、休暇などの人事申請を行おうとしても、できません。

ネットワークを介して外部と接続していないため、セキュリティ面では有利ですが、法改正や社内制度の改定などへの自動的な対応は不可能です。費用が比較的高めである点も、デメリットの一つといえます。

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人事給与システムの選び方のポイント

自社の課題の解決につながるか

人事給与システムは、自社の課題の解決につながるものを選ぶことが重要です。まずは給与管理や勤怠管理など自社の課題を洗い出し、課題解決のソリューションとなる人事給与システムを探しましょう。該当する人事給与システムがあれば、操作性や費用面、自社との相性を考慮しながら比較検討し、その中から適したサービスを選びます。

予算に合ったサービスか

人事給与システムを選ぶ際は、予算内に収まるかどうかを確認することが大切です。基本的に、各種機能が充実するサービスほど費用が高くなります。付帯機能によっては料金が変動する場合もあり、結果的に予算を超えてしまうこともあります。人事給与システムの導入時にかかる費用を算出したうえで、予算に合うサービスを選びましょう。

クラウド型とオンプレミス型、どちらにするか

人事給与システムの運用形態には、クラウド型とオンプレミス型があります。それぞれ特徴が異なり、どちらを選ぶかで得られるメリットが変わります。たとえば、運用の柔軟性やセキュリティ面を強化したいなら、オンプレミス型がおすすめです。導入にかかる費用を抑えたい場合は、初期費用や維持管理費が不要なクラウド型が適しています。

ソフトウェアを自社のパソコンなどにインストールする、手軽なインストール型もありますが、法改正や制度改正への対応ができないなどデメリットも多いため、導入には慎重な検討が必要です。

他のシステムと連携が容易か

人事給与システムを選ぶときは、既存システムと連携が可能かどうかを確認しておきましょう。人事情報を周辺システムに連携することで、バックオフィス業務全体の効率化を図れます。また、システム上での自動移行、データ出力してから読み込むなど、サービスで連携方法が異なる場合も多いです。導入後の利便性を考慮して選ぶことをおすすめします。

導入後のサポートの手厚さ

人事給与システムを選ぶときは、サポートの充実性も重要です。特に、人事情報は雇用形態など独自制度を反映する必要があり、ベンダーのサポートが必要な場面があります。長期的な運用をする場合は、法令の改正や税制に応じたアップデートも必要です。サポートが充実するサービスを選べば、不具合や問題が生じても気軽に相談できるため安心できます。

操作感や使いやすさ

人事給与システムは、操作感や使いやすさも考慮して選びましょう。担当者が使いづらさを感じると、期待した効果が得られない場合もあります。無料体験を提供するサービスもあるため、試用してから選ぶのもひとつの方法です。特に、オンプレミス型の人事給与システムは初期費用が発生するため、相性を確認しておくことで無駄な出費を抑えられます。

法改正に対応できるか

人事や労務に関する法律は近年、頻繁に改正されており、企業に対応が義務付けられることも少なくありません。労働安全衛生法は2014年に改正され、企業に対して従業員の「ストレスチェック」を実施することが義務付けられました。

2019年には働き方改革関連法により、年間10日以上の有給休暇が付与される従業員に対して、年5日については企業が時季を指定して取得させることが義務付けられています。こうした法改正にシステムが対応できない場合、エクセルで別管理するなどの煩雑な方法をとらなければならず、ミスの原因にもなりかねません。

システムが対応できる場合でも、迅速に法改正が反映されるかどうかは確認が必要です。クラウド型であれば、法改正に自動で対応が行われるのが一般的です。

参考:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」

参考:厚生労働省「働き方改革関連法に関するハンドブック」

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カシオヒューマンシステムズ「人事管理システムADPS」の導入事例

カシオヒューマンシステムズ株式会社では、1990年に登場以来、累計5000社を超える導入実績を持つ人事管理システム「ADPS(アドプス)」を提供しています。ここでは、ADPSを導入して人事給与業務の効率化に成功した企業の事例を紹介します。

株式会社西松屋チェーン様:給与計算の時短化に成功

高品質で購入しやすい価格の子供向け洋品を展開する西松屋チェーンは、2022年にADPSを導入しました。前システムの導入から16年を経過していたことが契機でしたが、以下の観点からリニューアルを検討されたといいます。

  • 従業員数の大幅な増加に対応したい
  • 法改正に伴う改修の手間を削減できるシステム
  • パッケージ製品で業務の属人化を防ぐ

最終的にADPSが選ばれたのは、「従業員規模の拡大に対応できる」ことに加え、「バージョンアップで手間とコストをかけずに法改正へと対応できる」ことがポイントとなりました。ADPSの導入により、西松屋チェーンでは、「アウトソーシング先で2時間半かかっていた給与計算が、自社内で10分で完了できるようになった」といいます。

ADPSは、西松屋チェーンの人事給与業務に劇的な変化をもたらし、業務の効率化を実現しています。

株式会社西松屋チェーン様の導入事例はこちら

岩井コスモ証券株式会社様:人事業務の負担を軽減

岩井コスモ証券は、2012年に岩井証券とコスモ証券が合併して誕生しました。旧コスモ証券では2000年からADPSを導入しており、合併後も引き続き人事業務に活用しています。ADPSが採用されたのは、以下のような点に魅力があったためです。

  • 豊富な導入実績
  • 高い専門知識を持ったサポート力
  • 安価なコスト
  • ユーザーインターフェースに優れた画面デザイン

それ以来、バージョンアップを重ねながらADPSを使い続けてきました。人事、給与制度の異なるグループ企業4社の人事給与業務の効率化にも、ADPSが貢献しています。

証券会社には、証券外務員資格の管理という業界特有の業務があります。同社では、ADPSのカスタマイズでこの資格の管理に対応しました。業務ニーズにフレキシブルに対応できることが、ADPSの強みです。

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人事給与システムで業務を効率化

カシオヒューマンシステムズ「人事管理システムADPS」の導入事例

人事業務の効率化を目指すなら、カシオヒューマンシステムズ株式会社が提供する人事管理システム「ADPS(アドプス)」の導入がおすすめです。

「ADPS」は、人事情報管理や給与計算など人事にかかわる業務を一元管理できるシステムです。複雑な業務をシームレスに処理し、人事業務の効率化を図れます。「ADPS」の導入実績は累計5,000社を超え、個別の要望にも柔軟に対応しています。

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詳しくは、以下をご確認ください。

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まとめ

人事給与システムは、給与関連と人事関連の業務を管理できる人事向けシステムです。人事給与システムの導入により、業務の効率化や人件費の削減、ヒューマンエラーの予防、セキュリティ向上などの効果が期待できます。

ただし、人事給与システムにはさまざまな種類があり、企業が求める効果を得るには自社に適したサービスを選ぶことが求められます。まずは自社の課題を洗い出し、改題解決につながる人事給与システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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カシオヒューマンシステムズ コラム編集チーム

カシオヒューマンシステムズコラム編集チームです。
人事業務に関するソリューションを長年ご提供してきた知見を踏まえ、
定期的に「人事部の皆様に必ず今後の業務に役立つ情報」を紹介しています。