給与計算はどこまで自動化できる?|自動化のメリット・デメリットをご紹介!

毎月発生する給与計算を自動化するとさまざまなメリットがあります。当記事では、給与計算システムで自動化できる業務と、自動化できない業務について解説したうえで、給与計算自動化のメリットとデメリットについて整理していきます。また、自動化した企業の事例についてもご紹介いたします。

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給与計算業務の流れを整理

給与計算の自動化について考える前に、まずは給与計算業務の一般的な流れを解説いたします。

データ登録

従業員の勤怠情報を見て、労働時間や遅刻・早退、欠勤、時間外労働などの時間を集計し、休日労働の有無なども確認したうえで、それらのデータを登録します。

給与計算実行

算出した労働時間数をもとに、給与を計算します。給与は基本給をはじめ、通勤手当や住宅手当などの各種手当、時間外労働や遅刻、早退といった欠勤の情報を考慮し、各種社会保険料や住民税・所得税などを差し引いて、総支給額を計算します。

給与計算後工程

給与計算を行った後は、所得税・住民税と各種社会保険料の支払いも行う必要があります。なお、各種税金は、翌月10日までに税務署に納付することになっています。

給与計算システムで自動化できる業務

給与計算システムを導入して自動化できる業務に、次のようなことが挙げられます

関連記事:【2024年】人事給与システムとは?導入メリットや選び方のコツを紹介

給与計算

給与の計算は、基本給や手当などの支給額から、各種の控除を差し引き、総支給額を出す工程となります。これは従業員一人ひとり、個々に計算しなければなりません。決して難しい作業ではありませんが、従業員の数が増えるだけ、負担は大きくなります。この工程を、給与計算システムでは自動化できます。手動で各従業員の計算をするとなると、計算間違いや申請漏れなどによって業務の負担が増えることがありますが、自動化すればそのような事態を防ぎ、大幅な負担軽減につながります。

関連記事:給与計算のやり方とは?計算方法や基礎知識をわかりやすく解説

社会保険料に関する月額変更

社会保険料は、給与額を基準に定められます。給料の増減があった場合は、その旨について届出を行い、社会保険料の改定を行わなければなりません。社会保険料の月額変更については、年に1度届出を提出することになります。この作業は、給与計算を自動化することで簡易化できます。

経費などの申請

各種経費の申請では、従業員による申請内容や金額記入の際によく誤りが起こりやすいです。そのような場合、正確な経費計算に支障をきたし、担当者にも負担となります。しかし給与計算システムを導入すれば、そのような経費申請の誤りをシステム上で防ぐことができます。従業員が入力する際、必須入力項目をわかりやすく明記したり、金額に誤りがあった際には、自動でアラートを出すことができます。また、従業員に申請締め切りの自動メールを送ることで業務の効率化に繋がります。

データの暗号化・バックアップ

給与計算に関するさまざまなデータは、個人情報になります。その管理は、企業のリスクマネージメントのひとつと言えます。給与計算システムを導入することで、給与計算の自動化だけでなく、給与計算に関するデータを暗号化し、バックアップも可能になります。万が一、自然災害が起きたり、人的な要因でデータを消失したりしても、バックアップがあるので安全です。企業としての信頼を失うことも防ぐことができます。

関連記事:業務システムとは何か?種類やメリット・デメリット、導入事例を紹介

給与計算システムで自動化できない業務

一方、給与計算システムで自動化できない業務もあります。

従業員の勤怠の修正

給与計算は、従業員の労働時間にもとづいて行われるものです。しかし、従業員の勤怠は正しく登録されていないことがよくあります。例えば、出勤時と退勤時にタイムカードを押すシステムでは、打刻忘れがあった場合、従業員に理由を確認したうえで、正しい出退勤に修正しなければなりません。このような修正の工程は従業員が手動で対応しているのが一般的で、給与計算システムを導入しても自動化できない部分になります。

給与の更新

昇給、異動、退職などにともなって、給与の更新を行う必要がありますが、こちらも自動化はできません。それぞれの従業員に応じて、手動で給与の修正が必要となります。

給与計算自動化のメリット

ここからは、給与計算を自動化することによるメリットを紹介いたします。

給与担当者の負担を大きく軽減する

給与計算システムで自動化することの最大のメリットは、給与担当者の負担軽減です。従業員の数が増えれば増えるほど、毎月の給与計算の作業は大きくなるものですが、自動化をするとこの工程を大幅に減らし、負担を軽減できます。負担が減った分、自動化できない業務に集中したり、ほかの業務に時間を割くことができ、業務全体の効率化に繋がります。

ヒューマンエラーを予防する

従業員一人ひとり異なる基本給や住民税などの控除の計算は、人が行うとどうしても単純な計算間違いなども起こり得てしまいます。しかし、そのような事態は極力避けなければなりません。自動化された給与計算なら、そのようなヒューマンエラーを防ぐことができます。自動化された給与計算であれば、入力漏れに対してアラートを出す仕組みなどで、ヒューマンエラーを防ぐことができます。

業務の効率化・人員不足の解決

給与計算の自動化システムは、毎月発生する給与計算の工程をかなり削減してくれるメリットがあります。そのため、給与計算に関わる給与担当者の負担を抑えて、業務の効率化につなげることも期待できるでしょう。人手不足が社会全体の問題となっている中、働き方改革が進められており、各企業はできるだけそれぞれの業務を効率化していくことが求められています。そのような社会的背景を踏まえ、給与計算の自動化はひとつの手段として大いに役立つことは間違いないでしょう。

給与計算自動化のデメリット

一方で、給与計算の自動化に関してデメリットもあります。

コストがかかる

給与計算の自動化システム導入にはコストがかかり、ランニングコストも考慮しなければなりません。自動化システムの種類やコストはさまざまです。自社向けにカスタマイズしたい場合は、便利に使えるメリットがありますが、その分の費用が加算されます。導入費用とランニングコストを確認し、費用対効果を想定して最適なシステムを選ぶことが必要です。

導入・管理する人員が必要

給与計算システムを導入する際、使いこなせるようになるまで、時間がかかります。さらにシステムの使い方を他の従業員に教育する人員や、システムの管理者も考えなければなりません。給与計算システムには、提供ベンダーによるサポートが用意されているものも多いですが、困ったときやトラブルが起きたときの対応方法を事前に確認しておくことが必要です。

セキュリティ面での懸念

新しいシステムの導入は、業務の効率化につながり便利である一方、セキュリティ面についても目を向けておく必要があります。 個人情報も多く含まれる給与データの漏洩は、企業に大きな損害をもたらします。給与計算システムを導入する際は、そのデータの管理方法や、クラウドにデータを管理するタイプであれば、クラウドのセキュリティ体制などを確認しておくことをおすすめします。

給与計算自動化事例

実際に給与計算システムを導入した企業の事例をご紹介いたします。全国に店舗を展開するA社は、従業員数が15,000人以上となる大手です。その従業員の中には、正社員、契約社員、パートナー企業の社員、アルバイトなどがおり、給料体系も時給も異なるので、給与計算の作業が負担になっていました。そこでこの給与計算を簡易化するために自動システムを導入したところ、毎月の給与計算にかかる作業時間を半分以下まで短縮し、人事部門に所属する従業員のパフォーマンスもアップしました。今後は、働き方改革による法改正で、給与体系などの変更も頻繁に起こる可能性がありますが、自動化によってそのような作業もスムーズに行えるようになりました。

デメリット以上にメリットが多い給与計算の自動化

給与計算の自動化には、ご紹介したようにメリットとデメリットがあります。しかし、限られた従業員のなかで、効率的かつ的確に給与計算を行っていくためには、給与計算の自動化がおすすめです。導入すれば、デメリット以上に多くのメリットを享受できます。ぜひ、それぞれの企業にあった給与計算システムについて、導入を考えてみてはいかがでしょうか。

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カシオヒューマンシステムズ コラム編集チーム

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