HRとは?人事部との違いや意味、役割と仕事内容

2025.09.22

HRとは?人事部との違いや意味、役割と仕事内容

労働人口の減少や働き方の多様化が進む現代において、企業の成長を支えるための中核は「HR(ヒューマンリソース)」です。本記事では、HRの役割や重要視される背景を紹介し、効率的な人材活用を可能にする「HRテック」についてわかりやすく解説します。

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HR(ヒューマンリソース)とは

HR(ヒューマンリソース)とは

HRとは「Human Resources(ヒューマンリソース)」の略称で、日本語では「人的資源」を意味します。企業活動の経済活動の継続に重要な従業員を資産と捉え、その価値を最大限に引き出すための取り組み全般を指す言葉です。

優秀な従業員を確保・育成し、その能力を最大限に発揮できる環境を整えます。HR体制を強化することで、従業員一人ひとりの潜在力が引き出され、企業全体の競争力を持続的に高められます。

HRと人事部の具体的な違い

HRと人事部の具体的な違い

「人事部」と「HR」は、業務範囲と目的に次のような違いがあります。

項目 人事部 HR(ヒューマンリソース)
役割 採用、勤怠管理、給与計算、人事評価など、日常的な人事・労務の管理業務 経営戦略に基づいた人材確保・育成・最適配置など、戦略的人材マネジメント
目的 社内の人事・労務を適切に運営すること 従業員を企業の資産と捉え、その価値を最大化し、組織成長に貢献すること

人事部の役割は、従業員の勤怠管理や給与計算、採用手続きなど、日常業務の遂行が主なもので、組織の基盤を安定させます。

一方のHRの役割は、こうした業務を包含しながら経営課題を解決するために、人材戦略を策定・実行します。優秀な従業員の採用・育成、適材適所の配置、モチベーション管理などを通じて、企業価値を高めることがゴールです。

HRは単なる管理部門ではなく、経営と密接に連動した部門として位置づけられるようになっており、近年ではCHRO(最高人事責任者)を設置する企業も増えています。

HRが重要視される背景

HRが重要視される背景

HRの必要性を理解するためには、HRが重要視される背景を知ることが重要です。単なる人事業務ではなく、経営戦略の一環としてHRが求められている理由や役割が明確になることが理由です。

ここでは、HRが重要視されている理由を解説します。

労働人口の減少

HRが重視される背景のひとつは、労働人口の減少です。日本では少子高齢化が進行しており、15~64歳の生産年齢人口は毎年減少を続けています。総務省の推計では、2050年には約29.2%の労働人口が減少するとの予測があります。

労働力が不足すると、優秀な従業員の確保は難しくなります。そのような状況で企業が成長し続けるためには、限られた従業員を活かすことが重要です。

HRでは、従業員一人ひとりのスキルや適性をデータとして把握し、最適なポジションに配置し、組織全体のパフォーマンス向上を図ります。また、個々のデータをもとに、それぞれに合った人材育成プランを策定できることが特徴です。

労働人口が減少する環境下では、人を採用するだけでなく、従業員の力を最大限に引き出すHR戦略が企業の競争力を維持する鍵といえます。

参考:総務省「令和4年版 情報通信白書|生産年齢人口の減少」

働き方の多様化

HRが重要視される背景のひとつに、働き方の多様化があります。新型コロナウイルスの影響でテレワークや副業を導入する企業が増え、社会全体にワークライフバランスを重視する傾向が強まりました。昇進よりもライフスタイルを優先したり、リモート環境で働きたいと考えたりするなど、価値観の変化が進んでいます。

HRは、こうした多様な価値観に応える職場づくりを推進し、従業員が自分らしく働ける環境を整えます。その結果、従業員のモチベーションや生産性が向上し、企業の持続的な成長へとつながるのです。

関連記事:働き方改革とは?目的や背景を、事例を交えてわかりやすく解説

HRの仕事内容

HRの仕事内容

HRの役割は、従業員の力を引き出し、組織全体の価値を高めることです。担当する業務は採用だけでなく、適材適所の配置や評価制度の運用など、多方面に広がっています。

本章では、HRが担う主な業務内容について詳しく紹介します。

採用活動(求人活動)

HRにおける重要な業務のひとつが採用活動です。企業の成長を支えるためには、事業戦略に合った優秀な従業員を確保しなければなりません。HRは、単なる従業員募集にとどまらず、計画立案から入社後の受け入れまで一貫したプロセスを担います。

以下は、HRにおける採用活動の基本的な流れです。

プロセス 主な内容
採用計画の策定 経営戦略に基づき、必要な従業員像・採用人数・時期を明確化。短期・中長期の視点で計画を立てる。
母集団形成 求人媒体の選定、採用広報、スカウト送信などを通じ、採用ターゲットにアプローチ。
選考・面接 書類選考、適性検査、面接を実施。求職者のスキル・適性・志向性を評価し、最適な従業員を選定。
内定・フォロー 内定通知、オファー面談、内定者交流や研修などで入社意欲を高め、辞退を防止。
入社受け入れ 各種手続きや備品準備、社内における歓迎ムードの醸成や研修計画を策定して早期戦力化を支援。

採用活動において重要なことは、従業員が成果を出せるための戦略を立てることです。採用後の育成や配置により、人材確保を組織の成長につなげます。

人材育成・人材開発

HRの役割として、採用した従業員の能力を最大限に引き出すための育成・開発も重要です。優秀な従業員であっても、入社後に適切な教育を受けられなければ能力を発揮できず、モチベーション低下や離職につながる恐れがあります。

HRは、組織が求める人物像やスキルに応じて段階的な育成を行います。業務の基礎を身につける研修から、専門性やリーダーシップを強化する研修まで、経験に合わせた研修を通じて、段階的に成長できる環境整備が重要です。

HRが主導する人材育成・開発は、個々のパフォーマンスを高め、組織全体の競争力を持続的に強化するために欠かせません。

人材配置

従業員のスキルや適性、キャリアを踏まえた適材適所への人材配置もHRの役割のひとつです。組織のパフォーマンスを最大化するためには、「誰をどのポジションに配置するか」という判断が極めて重要です。

適切な人材配置を行わなければ、従業員のモチベーションが低下したり、チーム全体の業務効率が下がったりするなど、さまざまな問題を引き起こす恐れがあります。HRは、従業員のスキルや業務実績、キャリア志向、人間関係などを総合的に分析し、最も能力を発揮できる環境を提供します。

また、配置後もパフォーマンスを継続的にモニタリングし、必要に応じて配置転換やフォローアップを行うことも重要です。適切な人材配置は、従業員のモチベーション向上や生産性の向上、離職率低下やコスト削減など多くのメリットをもたらします。

人事評価

HRは、従業員の実績や能力を正当に評価する人事評価を担います。人事評価は個々のパフォーマンスを測るだけでなく、給与・昇給・昇進などの処遇の根拠になるため、企業運営を支える重要な業務です。スキルや成果、業務姿勢を多角的に評価し、その結果を報酬や昇格に反映させます。

また、HRには評価制度の設計・改善も求められます。従業員の不満や離職を避けるために、公平性と透明性を備えた評価基準が不可欠です。

さらに、人事評価は単なる査定にとどまらず、育成方針を策定するための指標にもなります。評価結果をもとに必要なスキルを見極め、教育プランやキャリア形成支援に活用することで、組織全体の成長へと結びつけられます。

HRによる人事評価は、従業員のモチベーションを高め、企業の競争力を強化するための中核的な役割を担っているのです。

関連記事:人事評価システムのメリットとは?役立つ機能や選び方も解説

労務管理

HRに欠かせない業務のひとつが、労務管理です。労務管理とは、従業員の労働に関するさまざまな事項を適切に管理し、法令遵守と働きやすい職場環境の維持を行う業務です。具体的には、勤怠管理や給与計算、就業規則の策定・改定、社会保険手続き、福利厚生制度の運用、安全衛生管理、ハラスメント対策など、多岐にわたります。

労務管理の目的には、大きく分けて以下の2つがあります。

  • 法令遵守とリスク回避:労働基準法をはじめとする関連法規を順守し、適切な労働条件を整備する
  • 生産性の向上:快適で安全な労働環境を提供し、健康管理や福利厚生を充実させ、従業員のモチベーションを高め、生産性の向上や定着率の改善につなげる

HRでは、単なる労務管理ではなく、従業員のパフォーマンスを最大化するための基盤づくりとして取り組むことが求められます。労務管理が適切に行われることで、企業全体のエンゲージメント向上と持続的な成長を実現できるのです。

関連記事:労務管理とは?人事管理との違いや仕事内容などの基礎知識

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HRに求められるスキルや知識

HRに求められるスキルや知識

HRには、人事の専門知識だけでなく、企業経営やデータ活用などさまざまなスキルや知識が必要です。事務的な採用業務以外にも、従業員を活用した業務効率化や経営課題の改善などが求められることが理由です。

ここからは、HRに求められるスキルや知識を紹介します。

HRに関する専門知識

HR業務の遂行には、人事領域に関する幅広い専門知識が不可欠です。従業員を戦略的に活用し、企業の成長へとつなげるためには、労務管理・安全衛生・人事戦略策定などの多様な領域を理解しておかなければなりません。

採用活動では、求人設計や選考プロセスの構築が求められます。また、労務管理では、労働基準法や社会保険制度の把握をはじめ、働き方改革や最新の人事トレンドの理解が求められます。

なお、HRの各業務は互いに密接に関わり合っているため、全体を俯瞰する知識が重要です。HR担当者には、法改正や業界動向をアップデートし続ける姿勢が求められます。

企業経営に関する知識

HRでは、人材戦略を経営戦略と結びつけるための経営知識が欠かせません。HRは単なるバックオフィス部門ではなく、経営陣に近い立場で組織の方向性に関わる戦略的な役割を担うことが理由です。

そのため、事業計画や組織構造、財務状況など、企業全体の情報を理解し、そこから導かれる経営課題を人材施策に落とし込む力が求められます。成長戦略を進める企業は、将来を見据えた人材採用・育成が重要ですが、コスト最適化が課題の企業であれば、効率的な人員配置や業務プロセスの改善が必要です。

HRでは、経営の視点を持って組織課題を把握し、人を通じて企業価値を高めるための戦略を描くスキルが重要です。

企画立案・データ活用のスキル

HRには、組織課題を解決し、企業の持続的成長につなげるための企画立案力とデータ活用スキルが求められます。労働人口の減少や働き方の多様化など、企業を取り巻く環境は大きく変化しており、優秀な従業員の確保・定着やエンゲージメント向上などの課題に直面しています。

これらの課題を解決するためには、現状を分析し、具体的な戦略を立てなければなりません。採用戦略の改善、人材育成プランの設計、人事評価制度の見直しなど、組織の状況に合わせた最適なアプローチを企画・実行できるスキルが求められます。

また、データ分析力も重要な要素です。従業員のパフォーマンスデータや離職率、採用活動の効果測定などを定量的に把握することで、施策の精度を高められます。データに基づいた意思決定を行えるHR担当者は、組織の成果を最大化し、経営戦略の実現を強力に支える存在になります。

コミュニケーションスキル

HRには、多様な関係者と連携し、信頼関係を築くためのコミュニケーションスキルが必要です。HRは、経営層、部門責任者、現場の従業員、さらには外部パートナーなど、社内外の幅広い人々と関わります。立場が異なる相手との円滑なやり取りには、相手の意図を正確に理解し、自らの考えを明確に伝える力が求められます。

具体的には、面接や人事評価の場面で応募者・従業員の想いや考えを汲み取り、適切なフィードバックを行ったり、現場の課題や要望を吸い上げて経営戦略に反映させたりすることが挙げられます。また、関係者の意見を整理し、合意形成を導く調整力も重要です。

HRのコミュニケーションスキルは、組織全体をつなぎ、課題解決を推進するための基盤となる能力といえます。

HRのひとつ「HRM」とは

HRのひとつ「HRM」とは

HRの領域には、HRMと呼ばれる分野も含まれます。HRM(Human Resource Management)は人的資源管理の概念であり、従業員を重要な経営資源として捉え、企業戦略に合わせた育成や配置を行う考え方です。

この章では、HRMの特徴や取り組み内容について詳しく説明します。

HRMが注目される背景

HRMが注目される背景には、労働人口の減少とキャリア形成の重要性の高まりがあります。

日本では少子高齢化が進み、生産年齢人口が年々減少しています。新たな従業員の確保が難しい状況下では、既存の従業員を最大限に活用し、組織力を維持・向上させることが不可欠です。HRMは、採用・育成・評価・配置などの人事施策を戦略的に行い、限られた人的資源の価値を高める仕組みとして注目されています。

また、近年は「人生100年時代」ともいわれており、従業員一人ひとりが自分のキャリアを主体的に考えることが必要です。さらに、終身雇用の崩壊やジョブ型雇用の普及により、企業には従業員の中長期的なキャリア形成を支援する姿勢が求められます。HRMを導入することで、キャリアプランニングを通じて従業員の成長を支援し、結果的に組織全体の競争力を強化できるのです。

HRMは、「人を採る」から「人を活かす」へシフトする現代の人事戦略の中心的な考え方として注目されています。

関連記事:人的資源管理(HRM)とは?5つの機能や課題、事例を紹介

HRMとPMの違い

HRMとPM(Personnel Management)は、いずれも人材マネジメントの手法ですが、考え方や目的に大きな違いがあります。具体的には次のとおりです。

項目 PM(Personnel Management) HRM(Human Resource Management)
従業員の捉え方 コスト(管理対象) 資産(成長を促す対象)
目的 組織運営の効率化 組織力強化・企業価値の向上
手法の特徴 大量採用・年功序列・終身雇用 能力開発・キャリア形成・成果主義
時代背景 高度経済成長期における大量人員管理 労働人口減少・働き方多様化・人材流動化対応
重視する視点 統制・長期雇用の維持 個々の成長・柔軟な人材活用

PMは「Personnel Management」の略で、人事労務管理を指します。高度経済成長期に主流だったこの手法は、従業員をコストと捉え、組織運営の効率化を最優先にしていました。大量採用した従業員を統制し、年功序列や終身雇用制度によって長期的に勤めるメリットを与え、管理負担を減らすことに重きを置いていたのです。

一方、現代のHRMの目的は、従業員を企業の資産とみなし、個々の能力を最大限に引き出すことを目的としています。働き方の多様化、従業員の流動化、労働人口の減少が進む中、限られた従業員を育成し、キャリア形成を支援しながら組織の成長につなげることが求められていることが理由です。

PMは管理による効率化を重視していましたが、HRMは従業員の成長による組織力強化を重視する点が大きく異なります。

HRMの代表的なモデル

HRMを実践する際には、理論的な枠組みを理解しておくと効果的です。自社の方針や課題に合ったモデルを選び、活用することで、より戦略的かつ実践的に取り組めます。

ここからは、HRM分野で広く知られている2つのモデルを取り上げ、それぞれの特徴を解説します。

ハーバード・モデル

ハーバード・モデルは、1980年代にハーバード大学で行われた研究をもとに提唱されたHRMの代表的なモデルです。人材マネジメントを経営戦略の一環として捉え、経営陣が主導して従業員と信頼関係を築き、組織力を高めることを重視しています。

このモデルの大きな特徴は、4つの主要領域に基づき、従業員を包括的にマネジメントする点です。

領域 特徴
従業員の影響 経営陣が一方的に方針を押し付けるのではなく、アンケートや面談を通じて従業員の意見を取り入れ、人事施策や経営戦略に反映する。
信頼関係を深め、組織へのコミットメントを高める。
人的資源のフロー 採用から異動、昇進、退職に至るまでの従業員の流れを、スキルの現状だけでなく将来の成長性も考慮して長期的に計画。
報酬システム 従業員が意欲的に働けるよう、成果に応じた報酬や魅力的な福利厚生を整備。
「この組織で働く価値」を感じられる仕組みをつくる。
職務システム 指示された業務を遂行するだけでなく、自ら目標を設定し、提案や意見を出せるような職場環境を構築。

これらの要素が相互に作用することで、従業員の能力向上と組織へのコミットメントを促進します。人的資源のコスト効率を高め、個人と組織の目標を一致できれば、従業員が前向きに働くため、企業成長を実現できるサイクルが生み出せます。

ミシガン・モデル

ミシガン・モデルは、1980年代にミシガン大学を中心に行われた研究を基盤とするHRMのモデルです。経営戦略と人材マネジメントの統合を重視し、企業の戦略目標に沿って従業員を最適に活用することを目的としています。

以下4つの領域をもとに、経営戦略にマッチングする従業員を採用したり育成したりする点が特徴です。

  • 採用・選抜
  • 人材評価
  • 報酬
  • 人材開発

ミシガン・モデルは、経営戦略ありきで人材施策を設計しているため、企業と従業員の目標が一致すれば高いパフォーマンスを発揮する環境を構築できます。一方、戦略偏重になれば、従業員のキャリア志向や希望が軽視されるリスクが生じます。現代では、従業員との対話を重視した運用が必要です。

新分野「HRテック(HR Tech)」とは

新分野「HRテック(HR Tech)」とは

近年、HR分野を進化させる手段として「HRテック(HR Tech)」が大きな関心を集めています。HRテックをうまく活用することで、人事業務の効率化や戦略強化が実現可能です。

本章では、HRテックの概要や特徴について詳しく紹介します。

HRテックとは「HR×テクノロジー」のこと

HRテック(HR Tech)とは、Human Resources(人的資源)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた造語です。HR領域にテクノロジーを導入することで、業務効率化や課題解決を図る考え方、もしくはそのサービスを指します。

近年では、クラウドやAI、ビッグデータ解析などの先端技術の進歩が目覚ましく、人事業務の大幅な効率化が実現しています。

関連記事:HRテックとは?メリットや導入方法、導入時の注意点を分かりやすく解説

HRテック活用が注目される背景

HRテックが注目される背景には、労働人口の減少、働き方の多様化、テクノロジーの進化という3つの要因があります。

少子高齢化による人手不足により、人事部門は限られた人員で多岐にわたる業務を担わなければなりません。HRテックを導入すれば、採用管理や勤怠管理の自動化が進み、戦略業務に注力できる体制が整います。

また、終身雇用の崩壊や副業・リモートワークの普及により、多様な働き方や成果を正しく評価する仕組みが必要です。多様な働き方でも正しいパフォーマンス管理や評価測定ができるHRテックは、柔軟な人材マネジメントを可能にします。

クラウド、AI、ビッグデータの活用で高度な人材分析や適性配置が容易になり、人事の精度とスピードは飛躍的に向上しました。

業務効率化を超えた戦略ツールとして、HRテックは企業の競争力を支えています。

HRテックを導入するメリット

HRテックの導入を検討する際には、どのような利点があるかを理解しておくことが欠かせません。導入によって得られる効果を把握しておくことで、自社の課題解決に適しているかどうかの判断材料となります。

以下では、HRテック導入によって期待できる具体的なメリットを解説します。

人事業務を効率化できる

HRテック導入のメリットのひとつが、人事業務全体の効率化です。HRテックを活用すれば、複数のシステムで管理されていた経歴や評価、給与や勤怠などの情報を一元管理し、必要な情報を迅速かつ正確に把握できます。

また、給与計算や入退社手続き、社会保険の処理などのルーチン業務も自動化されるため、担当者の業務負担を大幅に軽減可能です。ヒューマンエラーの防止や人件費削減にもつながるうえ、戦略立案や人材育成など、企業価値を高めるコア業務に浮いたリソースを充てられます。

結果として、業務のスピードと正確性が向上し、人事部門の生産性そのものが底上げされるのです。

人事配置の最適化につながる

HRテックを導入することで、従業員データを活用した客観的かつ戦略的な人材配置ができます。従業員のスキルや経験をはじめ、業務実績、価値観やキャリア志向などの情報をデータとして管理し、分析できることが理由です。

従業員データを正確に把握することにより、採用時のミスマッチを防ぐだけでなく、入社後の配置転換やプロジェクト配属では適材適所を実現できます。結果として、従業員は自分の能力が発揮できる環境で働けるため、モチベーションやエンゲージメントの向上、離職率の低下といった効果に期待できます。

また、感覚や経験に頼った人事判断から脱却し、より公平性と透明性の高い人材マネジメントの実現が可能です。

働き方の多様化に対応できる

近年、リモートワークやフレックスタイム、副業など、働き方の多様化が急速に進んでいます。コロナ禍を契機に多くの企業がリモートワークを導入したことで、従業員一人ひとりの勤務状況や成果が見えにくくなり、適切な評価やマネジメントに課題が生じました。

HRテックを導入すれば、勤務データや業務成果をリアルタイムで収集・分析し、客観的な評価ができます。また、成果や勤務態度などをデータで閲覧できるため、働く場所や時間に関わらず、公平性ある評価を実現し、従業員のモチベーション維持につなげることも可能です。

さらに、社内チャットツールやビデオ会議システムなどの技術を活用すれば、遠隔地で働く従業員同士のコミュニケーションの活性化もできます。HRテックの導入によって、チームの一体感が高まり、多様な働き方を前提とした正確な組織マネジメントを実現できるのです。

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HRテックの代表的なサービスやシステム

HRテックの代表的なサービスやシステム

自社に合うHRテックを探す際は、代表的なサービスやシステムの知識が不可欠です。各サービスの特徴や機能を理解していなければ、自社の課題に適したツールを選べず、十分な効果を得られない可能性があります。

ここでは、HRテックの代表的なサービスやシステムを紹介します。

タレントマネジメントシステム

タレントマネジメントシステムは、従業員の能力・経験・キャリア志向などの人材情報を一元管理し、組織の成果最大化に活用するためのシステムです。単なる人事データの蓄積にとどまらず、適材適所の人材配置や戦略的な人材育成、将来のリーダー候補の発掘など、施策を支える基盤として重要な役割を担います。

主な機能として、人材データベースの構築・管理、目標管理、パフォーマンス評価、配置シミュレーション、要員計画、組織図の作成、アンケートなどが挙げられます。これらを通じて、従業員一人ひとりの強みや課題を可視化し、適切な研修プログラムの提供やキャリア開発のサポートを可能にします。

従業員の潜在能力を最大限に引き出すことで、企業の中長期的な成長や経営目標の達成を後押しできるのです。

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人事システム

人事管理システムは、従業員に関するあらゆるデータを一元的に管理し、人事業務を効率化するためのシステムです。氏名や年齢、入社年月日といった基本情報はもちろん、給与、昇格履歴、配属先、勤怠状況などの幅広い情報をまとめて管理できます。また、フレックスなどの複雑な勤務形態にも柔軟に対応できるため、手作業によるミスの削減が可能です。

なお、採用管理、評価制度、福利厚生、退職手続きなど、近年は複数の機能を備えた統合型システムも増えています。導入を検討する際には、自社の課題や業務フローを明確にしたうえで、必要な機能を備えたシステムの選定が重要です。適切なシステムを導入することで、人事部門の負担軽減だけでなく、戦略的な人材活用や経営判断の迅速化にもつながります。

給与計算システム

給与計算システムは、従業員の給与・賞与・各種控除を自動で計算し、給与管理業務を効率化するシステムです。勤怠データや人事情報と連携し、毎月の給与計算を自動化するほか、給与明細の発行、銀行振込データの作成、税金・社会保険料の計算に対応できるものもあります。また、年末調整や源泉徴収票の作成などの業務にも対応できるシステムも増えています。

給与計算システムを導入することで、手作業による計算ミスや法改正対応の遅れなど、リスクの軽減が可能です。従業員が多い企業であれば、作業負担と時間コストを大幅に削減できるうえ、常に最新の税法や制度に準拠した正確な給与計算を実現できます。

結果として、人事・経理担当者の業務負荷軽減、法令遵守、組織全体の生産性向上につながります。

勤怠管理システム

勤怠管理システムは、従業員の出勤・退勤、休暇、残業といった勤務状況を自動で記録・管理するシステムです。主な機能には、出退勤の打刻、シフト提出、各種休暇・残業申請と承認、有給休暇の管理、労働時間の自動集計などがあります。労働基準法に基づく残業時間の管理や、年5日以上の有給取得義務など、法令遵守に対する管理が可能です。

近年はリモートワークやフレックスタイムなど、多様な働き方が浸透し、勤怠管理の複雑さが増しています。勤怠管理システムを導入すれば、勤怠状況を一元管理できるため、労務リスクの軽減が可能です。

また、蓄積された勤怠データを分析することで、過重労働の防止や生産性向上に向けた施策立案にも役立ちます。

マイナンバー管理システム

マイナンバー管理システムは、従業員のマイナンバーを安全かつ効率的に収集・管理・活用・廃棄できるシステムです。マイナンバーは、税務や社会保険手続きなどに必須の情報であり、企業は厳格な管理が欠かせません。しかし、紙やエクセルでの管理は紛失や漏えいのリスクが高く、担当者に負担がかかります。

マイナンバー管理システムでは、提出依頼から本人確認、データの暗号化保管、利用履歴の自動記録、保管期限の通知・削除まで一括管理できます。また、クラウドを活用した仕組みであれば、データの分散保管やアクセス制御、外部からの不正アクセス対策も容易になり、法令遵守とセキュリティ強化の両立が可能です。

さらに、給与計算システムや労務管理システムとの連携により、源泉徴収票などの帳票作成時にマイナンバーを自動反映できます。マイナンバー管理システムは、個人情報保護の徹底と労務管理の効率化を同時に実現する重要なツールです。

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カシオヒューマンシステムズが人材戦略の推進をサポート

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人事業務をスムーズかつ戦略的に運用したいと考えているなら、カシオヒューマンシステムズの「ADPS」と「Hito-Compass」が解決策になります。

ADPSは、人事・給与・勤怠・申請・マイナンバー管理までを一元化し、膨大な業務を正確かつスピーディーに処理できる人事管理システムです。給与計算や社会保険の手続き、年末調整など、時間のかかる業務を自動計算やペーパーレス化で劇的に効率化できます。

担当者の煩雑な作業に追われる時間を削減できるだけでなく、勤怠や申請といった事務作業から従業員を解放するため、企業全体の生産性向上を実現できます。

一方、単なる業務効率化にとどまらないのが「Hito-Compass」です。Hito-Compassは、従業員一人ひとりのスキルや評価履歴、目標、キャリア志向をデータとして蓄積し、可視化できるタレントマネジメントシステムです。

従業員の適性を客観的に判断できるため、適材適所の人材配置や、成長を促す研修計画、納得感のある評価を実現しやすくなります。また、初期設定や稼働後の活用サポートも行います。

人事部門が本来果たすべき「戦略的パートナー」の役割に集中するために必要なことは、業務の効率化と人材活用を両立させる仕組みです。「ADPS」と「Hito-Compass」は、その両方を実現し、企業の未来を支える強力な武器になります。

今こそ、貴社の人事業務に変革をもたらす一歩を踏み出してみましょう。

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多様な視点から人材価値の最大化を図る「HR」

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多様な視点から人材価値の最大化を図る「HR」は、採用・育成・評価・労務管理といった幅広い人事業務を通じて、企業の成長を支える基盤です。労働人口の減少や働き方の多様化といった社会の変化に対応し、従業員一人ひとりが最大限の力を発揮できる環境を整えることで、組織全体の生産性と競争力を高めます。

こうした取り組みを効果的に支援するのが、カシオヒューマンシステムズの「ADPS」と「Hito-Compass」です。ADPSは、勤怠・給与・人事情報を統合管理し、煩雑な人事業務を効率化することで、戦略的な人材活用にリソースを集中させます。一方のHito-Compassは、従業員のスキルや目標を可視化し、キャリア形成や適材適所の配置を支援するタレントマネジメントシステムです。

制度と現場をシームレスにつなぎ、人的資源を企業成長の原動力へと変えるためにも、これらのシステム導入や活用を検討しましょう。

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