Excel(エクセル)で勤怠管理┃自動計算のメリットと注意点

Excel(エクセル)で勤怠管理┃自動計算のメリットと注意点

従業員の給与額を算出するには、適切な勤怠管理が欠かせません。近年は従業員の働き方や勤務形態が多様化しており、勤怠管理が複雑化しているのが現状です。より簡単かつ効率的な管理方法として、身近にあるオフィスソフト「Excel」の活用があります。

今回は、Excelで勤怠管理するメリットや注意点、具体的な導入方法について解説します。

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Excel(エクセル)で勤怠管理をするメリット

Excel(エクセル)で勤怠管理をするメリット

Excelで勤怠管理をするメリットには、以下のようなものがあります。

  • コストが抑えられる
  • 操作に慣れた従業員が多い
  • ニーズに応じてカスタマイズできる

それぞれの内容を見ていきましょう。

コストが抑えられる

Excelは、すでに多くの企業で導入されています。

Excelで勤怠管理するために新たなオフィスソフトを導入する必要がないため、導入コストはほとんどかかりません。また、インターネット上には、勤怠管理に役立つ集計表や勤怠管理表などの無料テンプレートも公開されています。

それらをうまく活用すれば、担当者の業務負担を軽減することが可能です。

操作に慣れた従業員が多い

通常、新たにオフィスソフトを導入する際、従業員が業務を正確かつ迅速に遂行できるように学習機会の提供や操作マニュアルを作成する必要があります。

しかし、学習機会を提供するには教材の作成や学習者の選定、学習環境の整備等の準備が必要です。操作マニュアルを作成する場合は、書類に盛り込む内容を整理し、操作方法や手順、利用時の注意点などを詳細に記載しなければいけません。これらの作業は、通常業務と合わせて進める必要があるため、担当者の業務負担が増加する可能性があります。

企業での利用が高いExcelであれば、操作に慣れた従業員が多いです。担当者は、操作方法等を説明する学習機会や操作マニュアル作成に対応する必要はありません。従業員もストレスなく対応できるため、少ない負担で導入を開始できます。

ニーズに応じてカスタマイズできる

ネット上で公開されている集計表や勤怠管理表等の無料テンプレートは、関数やVBA(Visual Basic for Applications)でカスタマイズすることが可能です。部署やチームごとにシートを分けたり、自社の勤怠規則や雇用形態に応じて項目を作成できたりします。

近年は働き方改革の影響により、テレワークやフレックス制度等を導入する企業が増えてきました。従業員の働き方に合わせて管理表を作成すれば、適切な勤怠管理を行えます。

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Excel(エクセル)による勤怠管理の注意点

Excel(エクセル)による勤怠管理の注意点

Excelによる勤怠管理の注意点には、以下のようなものがあります。

  • 国のガイドラインに沿った運用が必要
  • ヒューマンエラーのリスクがある
  • 勤務情報改ざんのリスクが高い
  • 法改正時の素早い対応が求められる
  • 勤怠管理における手間を要する

それぞれの内容を見ていきましょう。

国のガイドラインに沿った運用が必要

Excelで勤怠管理する場合、厚生労働省が策定した労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインに合致した運用が必要です。厚生労働省のガイドラインでは、「使用者には労働時間を適正に把握する責務がある」と定められています。

労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれる従業員が業務に従事する時間です。業務上、参加が義務付けられる研修・教育訓練の受講、業務に必要な学習等も含まれます。

ガイドラインでは、労働時間を把握する方法として以下の2点を挙げています。

  • 使用者が、自ら現認することにより確認すること
  • タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること

「自ら現認する」とは、使用者または労働時間管理者が始業時刻や終業時刻を直接確認することです。具体的には、タイムカードの打刻やICカードでの出退勤記録等が挙げられます。

労働時間は、原則的にタイムカードやICカード等の客観的な記録での確認が必要です。従業員が直接Excelに入力する「自己申告制」を併用している場合、勤怠管理の客観性を証明するのが難しいため、使用者は別途措置を講じる必要があります。自己申告制の別途措置については、厚生労働省のガイドラインで確認することが可能です。

Excelでの勤怠管理を検討しているなら、自社の勤怠管理方法が厚生労働省のガイドラインに合致しているのかしっかり確認してから運用を開始しましょう。

引用:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」

ヒューマンエラーのリスクがある

Excelで勤怠管理する場合、打刻や入力において人的ミスが発生するリスクがあります。

近年はテレワークやフレックス制度等を導入する企業が増えており、従業員ごとに出退勤時間が異なる場合も少なくありません。また、正社員や契約社員など雇用形態も多様化しており、集計や計算間違いが起こりやすい傾向にあります。

Excelによる勤怠管理では、関数で労働時間や残業時間を自動算出することが可能です。

しかし、設定を間違えると数値に誤差が発生するため適切な勤怠管理を行えません。人間が作業するかぎり完全にミスを排除することは難しいですが、単純な間違いが大きな問題に発展する可能性もあります。システム導入時は、人的ミスを防ぐ対策が必要です。

勤務情報改ざんのリスクが高い

Excelによる勤怠管理では、勤務情報改ざんのリスクが高いです。

たとえば、入力作業をすべて従業員に任せた場合、代理打刻、遅刻や早退のごまかしなど不正申告が発生するかもしれません。従業員の勤務状況を把握できていない場合、担当者は改ざんされた勤務情報に基づいて給与計算を行うため、不当な人件費が発生してしまいます。

また、勤務情報の改ざんは、労働基準法に抵触する可能性があります。労働基準法とは、賃金や労働時間など労働条件の最低基準を定めた法律です。企業が労働基準法に抵触したと判断された場合、是正勧告だけでなく、刑事責任を問われる可能性もあります。

参考:e-Gov「労働基準法」

法改正時の素早い対応が求められる

Excelの関数を活用すれば給与計算の自動化が可能ですが、法改正時は数式の見直し・修正が必要です。法改正に迅速かつ適切に対応しないと法律に抵触するおそれがあります。

法改正が行われた場合は、深夜残業や休日出勤の賃金割増率の改定、各種税率や保険料が変更されていないかなど改正内容を理解し、迅速かつ計画的に対応することが重要です。

勤怠管理における手間を要する

Excelでの勤怠管理は関数を活用した自動計算が可能ですが、手作業による入力や転記、計算式を間違えると給与計算ミスが発生します。

とくに、従業員が多い企業の場合は勤怠管理業務の工数も膨大です。また、近年は働き方や雇用形態が多様化しており、従業員によって計算方法が変わる場合もあります。勤怠管理における人的ミスを防止するには、丁寧な確認作業が必要です。

しかし、全従業員の集計データを丁寧に再確認すると膨大な工数が発生してしまいます。人手不足の影響により、限られた従業員で勤怠管理業務を回す企業も少なくありません。担当者の業務負担が増すとコア業務に支障をきたし、経営に影響が出る可能性もあります。

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Excel(エクセル)を使った勤怠管理の流れ

Excel(エクセル)を使った勤怠管理の流れ

Excelを使用した勤怠管理は、以下のような流れで進めます。

  • 勤怠管理表を作成する
  • 従業員の勤怠記録をとる
  • 勤務時間を集計する

それぞれの内容を見ていきましょう。

1.勤怠管理表を作成する

出勤・退勤時刻や残業時間等を正確に記録するために勤怠管理表を作成します。自作する場合は、Excelの関数やマクロを活用するのが一般的です。

Excelの関数やマクロの特徴を以下の表にまとめました。

項目 特徴
SUM関数 SUM関数は、範囲内のセルの数値を合計する関数です。月間の労働時間や残業時間を集計したい場合に利用します。
FLOOR関数 FLOOR関数は、指定した基準値の倍数で数値を切り捨てる関数です。出勤・退勤時刻を15分・30分単位で切り捨てたい場合に使用します。
TIME関数 TIME関数は、時間を計算式に用いる場合に便利な関数です。勤怠管理では勤務時間や残業時間を自動計算したい場合に使用します。
TEXT関数 TEXT関数は、日付に応じた曜日を表示する関数です。勤怠管理では、平日出勤と休日出勤を分けて計算したい場合に使用します。
IF関数 IF関数は、条件に基づいて異なる値を返す関数です。時間外労働や休日出勤、深夜残業など割増賃金が適用される場面で使用します。
マクロ マクロは、一連の操作を自動化する機能です。複数の従業員に同じ計算業務が発生する場合、繰り返し作業を自動化できます。

勤怠管理表は、ネット上で公開されている無料テンプレートを活用する方法もあります。

従業員の勤怠情報を入力するだけで労働時間や残業時間等を集計・計算できるため非常に便利です。ただし、法改正時は自社で数式を見直す必要があります。

2.従業員の勤怠記録をとる

従業員の出勤・退勤時間や残業時間等の勤怠状況を記録しましょう。

勤怠情報の記録方法には、主に以下の方法があります。

  • 勤怠管理表に従業員が直接入力する
  • 労務担当者がタイムカードを転記する

勤怠管理表に従業員が直接入力すれば労務担当者の負担を軽減できますが、勤怠情報改ざんの懸念があります。一方、担当者がタイムカードを転記すれば、改ざんリスクを低減することが可能です。ただし、担当者の業務負担が増える可能性があります。

なお、勤怠記録は厚生労働省のガイドラインに基づいて進める必要があります。ガイドラインに抵触しないように勤怠記録の適切な方法を従業員にも周知しましょう。

参考:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」

3.勤務時間を集計する

関数を活用した勤怠管理表の場合、勤怠情報を入力すると自動計算されます。

しかし、関数やマクロの数式が必ず正しいとはかぎりません。給与計算の正確性や労働基準法の遵守のため、算出額が正しいかどうかを確認してから承認作業を進めましょう。

複雑な勤怠管理表では確認に時間がかかるため、タブの切り替えで各従業員の勤怠情報を一目で確認できるなど確認作業を効率化できる仕様にまとめることも重要です。

また、集計項目や計算式は従業員の雇用形態や働き方で異なります。従業員の雇用形態や働き方に合わせて集計・給与計算を行いましょう。

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Excelによる管理が難しい場合は勤怠管理システムがおすすめ

Excelによる管理が難しい場合は勤怠管理システムがおすすめ

担当者の業務負担軽減や業務効率化を目指すなら、出退勤時間の自動集計や給与計算に対応できる勤怠管理システムの導入を検討しましょう。

従来の手法であるタイムカードと手作業の集計による勤怠管理は、集計ミスや不正打刻、法改正の対応などさまざまな課題があります。また、従業員が多い企業ほど勤怠管理に膨大な労力と時間がかかるため、担当者の業務負担も大きくなる懸念もあります。

近年はリモートワークやフレックスタイム制など働き方が多様化しており、勤怠管理は正確かつ柔軟な対応も必要です。勤怠管理システムを導入すれば、従来の手法では難しかった多様な働き方や勤務形態に合わせた勤怠情報を効率的かつ正確に管理できます。

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勤怠管理システムを導入するメリット

勤怠管理システムを導入するメリット

勤怠管理システムを導入するメリットには、以下のようなものがあります。

  • 客観的な勤怠データを保存できる
  • ヒューマンエラーや情報改ざんを防げる
  • 法改正に素早く対応できる
  • 業務効率化につながる

それぞれの内容を見ていきましょう。

客観的な勤怠データを保存できる

勤怠管理システムは、打刻と同時に勤怠情報を保存できます。厚生労働省のガイドラインが示す「客観的記録」の定義を満たす勤怠管理が可能です。客観的記録とは、労働時間や出退勤時刻の自己申告ではなく、客観的な要素が認められる記録方法を指します。

また、正確に勤怠情報を管理するには、全従業員の勤怠状況を把握することが重要です。

Excelでの勤怠管理は、従業員または担当者が入力するまで正確な勤怠情報を把握できません。勤怠管理システムならスマホやタブレットなどさまざまな端末での打刻に対応しているため、外回りからの直帰や出張中でも勤怠情報をリアルタイムで把握できます。

さらに、従業員が自分の勤怠情報を確認できるのも大きなメリットです。

業務量の変動に応じて労働時間を調整する「変動労働時間制」を採用している場合、従業員の労働時間は固定されていません。毎日の労働時間や残業時間を自身で把握するのは難しいため、勤怠管理システムの導入により従業員がいつでも確認できる環境を整えられます。

ヒューマンエラーや情報改ざんを防げる

従業員や担当者の手入力で勤怠管理する場合、ヒューマンエラーや情報改ざんリスクがあります。

勤怠管理システムは、ICカード打刻機やデジタルデバイス(スマートフォンやタブレットなど)から勤怠情報の自動取り込みが可能です。手作業による転記・入力が不要になるため、ヒューマンエラーの回避や不正防止に役立ちます。

また、入力ミスや数字の書き換えが発生した場合、アラートが表示される機能を搭載した勤怠管理システムもあります。ヒューマンエラーや情報改ざんは重大な問題に発展する可能性があるため、これらのリスクを低減したいなら勤怠管理システムの導入が有効です。

法改正に素早く対応できる

法改正の自動アップデートに対応してくれる勤怠管理システムがあります。

Excelで勤怠管理する場合、法改正後に関数の数値を修正しなければいけません。手作業による修正は入力ミスや漏れが起こりやすく、重大な問題に発展する可能性があります。

法改正に正確かつ素早く対応したいなら、勤怠管理システムの導入を検討しましょう。ただし、法改正の自動アップデートが有料オプションになる勤怠管理システムもあります。導入前にサービス内容をしっかり確認し、自社に適したシステムを選びましょう。

業務効率化につながる

勤怠管理システムの導入で業務を自動化すれば、業務効率化の向上が期待できます。

とくに、従業員数が多い企業の場合、勤怠管理業務の負担が大きくなる傾向があります。多様な働き方や雇用形態を取り入れている企業は、各従業員に合わせた勤怠管理が必要です。勤怠管理システムで自動集計できれば、担当者は効率的に業務を進められます。

また、勤怠管理システムは、場所を問わずデジタルデバイスから打刻することが可能です。テレワークや外出が多い従業員の利便性も高まります。

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勤怠管理システムを導入する際の注意点

勤怠管理システムを導入する際の注意点

主な注意点には、以下のものが挙げられます。

  • 導入時は初期費用や月額利用料金がかかる
  • サポート体制が充実するシステムを選ぶ

勤怠管理システムを導入する際、初期費用や月額利用料金がかかります。

月額利用料金は毎月発生するため、金銭的な負担に感じる企業も少なくありません。ただし、勤怠情報の集計や給与計算の自動化により業務効率の向上が期待できます。担当者の業務量を軽減できるため、長期的に見ればコスト削減につながる可能性が高いです。

既存システムと連携可能な勤怠管理システムを導入すれば、人事業務全体の業務効率向上が期待できます。どれだけの利益や価値を生み出せるのか、勤怠管理システム導入後の費用対効果を検討して自社が抱える課題を解決できるシステムを選定しましょう。

また、勤怠管理システムは直感的に操作できる製品が多いです。しかし、導入後は疑問やトラブルが発生する場合があるため、サポート体制が充実する勤怠管理システムを選びましょう。

「ADPS(アドプス)」なら多様なワークスタイルに対応可能

「ADPS(アドプス)」なら多様なワークスタイルに対応可能

Excelでの勤怠管理はメリットがある一方、手作業による入力ミスや不正打刻、法改正の迅速な対応などさまざまな問題が発生する可能性があります。人的ミスの防止や担当者の業務負担軽減を図るために、勤怠管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

カシオヒューマンシステムズ株式会社では、人事管理システム「ADPS」を提供しています。労働時間管理や給与計算に必要な勤怠情報をシステムで一元化できるため、担当者の業務負担を軽減することが可能です。法改正に応じた自動アップデート機能も搭載されているため、改正内容を随時確認して修正する手間も省けます。

詳しくは、以下をご確認ください。

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まとめ

まとめ

企業におけるExcelの導入率は高いため、操作に慣れている従業員が多いです。勤怠管理のために新たなオフィスソフトの導入も必要ないため、導入コストも抑えられます。

ただし、手入力による勤怠管理は入力ミスや不正打刻等が発生しやすいです。法改正時は迅速な対応が求められるため、担当者の業務負担も大きくなる傾向にあります。

人的ミスや担当者の業務負担を改善するには、勤怠管理システムの導入が有効です。自社の課題を解決できる勤怠管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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カシオヒューマンシステムズ コラム編集チーム

カシオヒューマンシステムズコラム編集チームです。
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