社会保険の住所変更手続きについて解説!提出方法・期限・不要なケースを紹介
2024.01.12
人事異動などをきっかけに従業員が引っ越しをした場合、社会保険の住所変更手続きが必要です。社会保険とは、厚生年金保険と健康保険のことをいいます。しかし、住所変更時にどのような手続きがあるのか、よくわかっていないという人も多いのではないでしょうか。本記事では、住所変更手続きで用意するものから社会保険の「被保険者住所変更届」の書き方、提出方法などについて解説します。
目次
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住所変更をしたら手続きが必要?
社会保険に加入している従業員が引っ越しをした場合、引っ越しをした世帯の世帯主とその家族は、住所変更の手続きが必要です。住所変更の手続きには、「健康保険 厚生年金保険 被保険者住所変更届」の書式を用います。
住所変更の対象者や、加入している社会保険によって提出の仕方が異なるため注意が必要です。この点については後述します。
企業が従業員の住所を把握すべき理由
多くの企業では、就業規則に「住所を変更した場合は、速やかに届け出ること」などとした項目を設けています。この項目を設ける理由の一つが、住所変更に伴う社会保険の手続きを行うためです。手続きは、企業の人事部門や総務部門が従業員の代わりに行います。
住所変更を企業側で把握していないと、変更届を出せません。住所変更をしなかった場合、以下のようなリスクがあるため注意してください。
- 診療費や手術代などを全額自己負担しなくてはならない
- 未納期間ができるともらえる年金額が少なくなる
- 年金に関する重要な通知が届かなくなる可能性がある
従業員の住所は慎重な取り扱いを要する情報です。もしも情報が漏洩してしまった場合、企業は従業員に対する不法行為責任を問われることもあります。住所の把握はしなくてはなりませんが、扱いには注意が必要です。
社会保険の住所変更手続きで用意するもの
従業員が引っ越しをした場合の、社会保険の住所変更手続きで用意するものは健康保険と厚生年金保険共通の「被保険者住所変更届」という書類です。企業側は自社内での手続きを行うと同時に、この書類を年金事務所または事務センターに届け出て、社会保険の登録済み住所を変更します。
変更届は複写式の2枚つづりになっています。全国健康保険協会(協会けんぽ)管掌の健康保険のみ加入の場合、従業員(被保険者)が住所を移動したときは、被扶養者が一緒でもそうでなくても、1枚目だけを提出します。住所が変わるのが被扶養配偶者のみなら、手続きの必要はありません。
協会けんぽの健康保険と厚生年金保険に加入している、または厚生年金保険のみ加入という例(協会けんぽではなく、自社などで設立した健康保険組合に加入しているなど)では、対応は以下のとおりです。
- 従業員に扶養している配偶者がいて、家族で一緒に引越す場合は2枚とも提出し、変更届にある「被扶養配偶者の住所変更欄」にも必要事項を記入
- 単身赴任などで、引っ越しをするのが従業員1人であれば、2枚つづりのうち1枚目だけを提出
- 被扶養配偶者のみの住所変更の場合は、2枚目だけの提出
変更届の書き方は、次項を参照してください。
社会保険の「被保険者住所変更届」の書き方
社会保険の「被保険者住所変更届」には、被保険者の生年月日や氏名、変更前後の住所などを記入します。書式のタイトル部分、「健康保険」と「厚生年金保険」が2段になっているところは以下のようにします。
- 健康保険組合管掌の健康保険にのみ加入の場合……「健康保険」をマル囲いする
- 厚生年金保険のみ加入の場合……「厚生年金保険」をマル囲いする
- 全国健康保険協会管掌の健康保険と厚生年金保険に加入の場合……何もしない
「個人番号(または基礎年金番号)」の欄に記入するのは、マイナンバーまたは基礎年金番号です。マス目はマイナンバーに合わせて12ケタで用意されています。基礎年金番号は10ケタであるため、こちらを記入する際は右詰めとしてください。この欄は、全国健康保険協会管掌の健康保険にのみ加入している場合は、記入不要です。
配偶者を扶養している場合は、「被扶養配偶者の住所変更欄」にも記入が必要です。ただし、被保険者と被扶養配偶者が同居している場合は、同じことを再度書き込む必要はありません。「被扶養配偶者の住所変更欄」の上側欄外にある「被保険者と配偶者は同居している。」のチェックボックスにレ点やマルなどの印を入れれば、それ以下は省略できます。
参考:日本年金機構「健康保険・厚生年金保険 被保険者住所変更届(記入例)」
「被保険者住所変更届」の提出方法・期限
「被保険者住所変更届」の提出方法は、事務センターまたは管轄の年金事務所への持参と、郵送の2通りです。提出期限は明確に定められてはいませんが、日本年金機構の公式サイトでは「速やかに」とされています。
住所変更時に「被保険者住所変更届」を提出する必要があるのは、マイナンバーと基礎年金番号が紐づけられていない場合だけです。紐づけが行われていれば、住民票の異動に合わせて社会保険の登録情報も切り替えられるため、提出は不要です。ただし、健康保険のみに加入している場合や、海外在住などでマイナンバーがないなどのケースでは、変更届の提出が求められます。
参考:日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)および被扶養配偶者の住所に変更があったときの手続き」
社会保険の住所変更手続きに関するよくある質問
引っ越して住所が変わった場合、手続きはどのようにすればいいですか
社会保険に加入する従業員が引っ越して住所が変わった際には、企業は日本年金機構に住所変更手続きをする必要があります。そのときに必要な書類は健康保険と厚生年金保険に共通の「被保険者住所変更届」です。変更届は2枚つづりで、加入している社会保険などによって、以下の3つのように対応が変わることがあるため、注意してください。
- 1枚だけ提出すればよい
- 2枚とも提出する
- 提出不要
なお、提出は年金事務所や事務センターへの持参や郵送で行います。
社会保険とマイナンバーの紐づけができている場合は?
前述のとおり、社会保険とマイナンバーの紐づけができている場合は「被保険者住所変更届」の提出は必要ありません。マイナンバーを基に、住所変更が自動的に各種の登録情報にも反映される仕組みとなっているためです。健康保険が「健康保険組合」への加入である場合や、住民票以外の場所に住んでいるなど、なんらかの事情でマイナンバーとの紐づけができていない場合は「変更届」を提出しなくてはなりません。
給与計算を簡単に行うならカシオヒューマンシステムズ
社会保険の住所変更手続きで「被保険者住所変更届」を提出するとなると、人事・総務部門には煩雑な業務が発生します。従業員の引っ越しの場合、自社内の住所情報の更新や社会保険の手続きなど、複数の事務処理が必要です。こうした手続きを自動化できる給与計算システムを導入すれば、作業の抜けや漏れを防げるほか、従業員の事務処理負担も軽減できます。
カシオヒューマンシステムズの人事統合システム「ADPS(アドプス)」は1990年の誕生以来、累計5000社を超えるユーザーに採用されています。従業員の住所変更だけでなく、人事、給与からマイナンバー管理まで幅広く業務をサポートできるのが特徴です。
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まとめ
社会保険に加入している従業員が引っ越しをした場合は、住所変更の手続きをする必要があります。住所変更をしなかった場合、病院などの診療費や手術代などが全額自己負担となったり、将来もらえるはずの厚生年金の額が減ってしまったりする恐れがあります。
社会保険の住所変更で必要な書式は「健康保険 厚生年金保険 被保険者住所変更届」です。住所変更の対象者や加入している社会保険によって、提出の仕方が異なります。給与計算システムを導入して担当者の負担を軽減し、事業運営の効率化を図ってはいかがでしょうか。
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カシオヒューマンシステムズコラム編集チームです。
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