1on1ミーティングとは?目的やメリット、進め方について解説
2024.07.22
1on1ミーティングをどう進めればいいのか、わからない方も多くいるかもしれません。今回は、1on1ミーティングの具体的な方法や実施するメリットをまとめました。ほかにも、注意点や成功させるためのポイントや、取り上げたいテーマなどの情報についても解説します。
目次
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1on1ミーティングとは
1on1ミーティングとは、上司・部下が対話しながら行う1対1の面談のことです。1on1ミーティングでは対話によるコミュニケーションで、現在抱えている課題やプライベートな話題などについても話しやすい特徴を持っています。マネジメント手法のひとつであり、部下の成長を促せる点が魅力です。
ここでは、1on1ミーティングと他の面談との違いや、1on1ミーティングが注目される背景について解説していきます。
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1on1ミーティングの目的や評価面談との違い
上司と部下の間で行われる面談には、評価面談があります。評価面談とは、基本的に上司・部下間の1対1で行われる面談で、一定のサイクル(四半期/半期/年に1度など)で実施されるのが特徴です。
評価面談の目的は、評価者である上司が被評価者である部下に仕事の成果を聞き、フィードバックをしながら対象期間の評価を行い管理することにあります。
1on1ミーティングにおける目的は、部下の成長にあります。部下の仕事への意欲を高めたりモチベーションを上げたりするために実施することが一般的です。
そのため、1on1ミーティングではあくまで部下を主体に、ミーティングのテーマを策定し、問題提起・解決策の決定まで進めていきます。
評価面談が部下の管理、評価を目的としているのに対し、1on1ミーティングでは部下の成長を目的に行う点が両者の違いであることを理解しておきましょう。
1on1ミーティングが注目される背景
1on1ミーティングは、時代の変化とともに注目度が高まっているマネジメント手法です。ここでは、注目される背景について解説します。
- VUCA時代の到来
- 労働人口の減少
- 働き方の多様化
それぞれ詳しくみていきましょう。
VUCA時代の到来
1on1ミーティングが注目される背景として、将来の予測が難しいVUCA時代の到来が挙げられます。VUCAとは、次の4つの要素を指す言葉です。
- Volatility:変動性
- Uncertainty:不確実性
- Complexity:複雑性
- Ambiguity:曖昧性
技術革新や多様性に重きを置く流れにしたがって、従来の経験則だけでは太刀打ちできない状況が増えているのが実情です。また、価値観の多様化が進み部下の考え方もさまざまに変化しているため、対話型のコミュニケーションを促進する1on1ミーティングは、VUCA時代に欠かせない役割を担っているといえます。
労働人口の減少
労働人口の減少も、1on1ミーティングの重要性に影響を及ぼしている一因です。少子高齢化や人口減少にともない労働人口は減少しています。自社に優秀な従業員を引き留めるためにも、上司と部下が互いの理解を深める場である1on1ミーティングは欠かせません。
1on1ミーティングを通じて部下との信頼関係を築ければ、離職を思いとどまってもらえる可能性もあります。話を聞いて上司が部下との信頼関係を構築する場として、1on1ミーティングが重要視されています。
働き方の多様化
テレワークや副職など、働き方が多様化したことも1on1ミーティングが注目される背景の1つです。こうした働き方の多様化や複雑化において、上司と部下それぞれのコミュニケーションは希薄になりがちです。その対策として、1on1ミーティングが注目されています。
1on1ミーティングを実施するメリット
1on1ミーティングを実施することで、上司と部下との信頼関係を構築するだけでなく、離職率の低下や生産性向上など、さまざまなメリットが期待できます。ここでは、次の4つのメリットについて解説します。
- 部下の成長につながる
- 信頼関係が構築される
- 離職率低下が期待できる
- 生産性が向上する
各ポイントを解説します。
部下の成長につながる
1on1ミーティングを実施するメリットのひとつが、部下の成長です。1on1ミーティングでは、部下が抱える業務への悩みやプライベートの話などについて、上司とともに課題解決に取り組みます。
部下はその過程で、自分の失敗/成功体験を振り返る習慣や経験学習のサイクルが身につくため、1on1ミーティングが成長するきっかけになります。また、1人が成長することでほかの従業員にも好影響を与えられれば、従業員全体の成長にもつながるはずです。
信頼関係が構築される
1on1ミーティングを通して上司と部下の距離が縮まることで、互いの信頼関係が構築される点もメリットです。
前述したように、評価面談では上司による部下の評価が目的のため、緊張感が生じてしまいます。しかし、1on1ミーティングでは部下の成長が目的のため、仕事やプライベートの話題を遠慮なく話し、自然と距離を縮めることが可能です。その結果、悩みがある場合でも相談しやすい環境構築につながります。
また、1on1ミーティングを通して課題解決に一緒に取り組むことで信頼関係が構築されるため、部下のモチベーションアップも期待できます。
離職率低下が期待できる
1on1ミーティングを実施することで、離職率低下にも期待できます。1on1ミーティングでは仕事以外のプライベートに関する悩みや話題について話すこともあります。部下が抱えている悩みや課題などを知ることで、相談なしで辞めてしまうような事態を避けられる可能性も高まるものです。
また、定期的に1on1ミーティングを行って考えや悩みを共有できれば、部下の上司や組織に対する信頼感やエンゲージメントが向上し、離職防止につながります。
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生産性が向上する
1on1ミーティングを実施するメリットとして、従業員の生産性向上も挙げられます。1on1ミーティングを通して部下の性格や特性を理解できれば、それを活かした業務の割り振りが可能です。
また、1on1ミーティングを通して課題解決方法のヒントや気づきを与えられれば、部下が自ら課題を解決できるようになります。部下が達成感を得て仕事へのモチベーションが高まれば、業務効率化につながります。組織全体の生産性向上を実現できる点は1on1ミーティングを実施する大きなメリットです。
1on1ミーティングの進め方
ここでは1on1ミーティングの進め方を具体的に解説します。基本的には、次の4ステップです。
- 1on1ミーティングの目的を共有する
- スケジュールを設定する
- ミーティングの方向性を検討する
- 1on1ミーティングを実施する
各ステップについて、順番に解説します。
1.1on1ミーティングの目的を共有する
まずは、1on1ミーティングでの対話が有意義なものになるよう事前に目的を共有しておくことが重要です。
1on1ミーティングの実施にあたり、「何を話せばいいのか」「もしかしたら評価に関係するのではないか」と不安になる従業員もいます。そのため、最初に1on1ミーティングを行う目的や意義について共有することが大切です。
たとえば、「○○さんの課題や悩みなどについて話してもらって、上司である私と解決策や改善点を考える場です。仕事の成果や進捗を確認する面談ではないので、安心してください」などと伝えておくと、部下も話しやすくなります。
2.スケジュールを設定する
事前の目的共有が済んだら、1on1ミーティングを実施するスケジュールを設定しましょう。上司と部下のどちらが設定しても構いません。スケジュールは「月1回、第一月曜日の16時から30分」「隔週水曜日の14時から30分」と具体的に設定するようにしましょう。
都度設定するのではなく、定期的なスケジュールを設定することが重要です。一定のスケジュールにすることで持続性が高まります。
3.ミーティングの方向性を検討する
1on1ミーティングを実施する前に、「何を話したらいいかわからない」といった状態に陥らないよう、話す内容や質問項目を事前に検討しておきましょう。1on1ミーティングの失敗につながる原因として、「何を話したらいいかわからない」ということがあります。
部下の成長に欠かせない情報を引き出すためにも、事前準備を忘れずに行いましょう。また、そのためには、部下の行動や仕事ぶりを日頃から観察しておくことも大切です。
取り上げるべきテーマについては後述するので、そちらを参考にしてください。
4.1on1ミーティングを実施する
人の成長には継続が重要です。部下の成長のためにも、話し合った内容をメモして、忘れないようにしてください。
上司と部下それぞれがメモを残すことをおすすめします。そうすることで互いの内容を確認でき、認識の違いを避けられます。
1on1ミーティングの注意点
前述したようなメリットを引き出すためには、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。ここでは、1on1ミーティングにおける注意点を紹介します。主な注意点は次の3つです。
- 1on1ミーティングだけでは信頼関係は構築できない
- 効果が出るまでに一定の期間を要する
- 雑談で終わってしまう可能性がある
それぞれの注意点を解説します。
1on1ミーティングだけでは信頼関係は構築できない
1on1ミーティングの実施により、部下との信頼関係が築けるわけではありません。1on1ミーティングだけに頼るのではなく、日頃から互いにコミュニケーションを取っておくことが重要であることを理解しておきましょう。
1on1ミーティングの実施だけで、部下との信頼関係を構築できているつもりになる場合があります。1on1ミーティングを実施していたとしても、普段から対話が少なかったり、言いたいことを言いにくい雰囲気があったりする場合には、マネジメントを適切に行えていない可能性があるため注意が必要です。
日常的なコミュニケーションを通じて信頼関係を構築し、意見や本音を言いやすい環境作りが求められます。
効果が出るまでに一定の期間を要する
1on1ミーティングは実施後にすぐ効果が出るものではありません。継続して行うことが大切です。
1on1ミーティングの目的は、部下から引き出した話に対してフィードバックを行い、主体的に成長してもらうことにあります。つまり、部下はフィードバックに基づいて働き方や考え方を自ら考えて、最適化させることが必要です。そのため、最適化されるまでに時間を要することも理解しておきましょう。上司は目標を長期的な視点で捉え、1on1ミーティングのあり方や内容を修正しながらPDCAを回すことが求められます。
雑談で終わってしまう可能性がある
1on1ミーティングでよくある失敗例として、ただの雑談で終わってしまうことが挙げられます。1on1ミーティングに対して上司のスキルが不足していると、雑談に終始してしまう可能性があるため注意しましょう。
そのような状況を回避するうえで、管理職向けのコミュニケーション研修などを開催するのも1つの手です。事前に部下のスキルや性格などに合わせて、話すテーマや接し方、有効なアドバイスを考えておくと具体的な話し合いを行えます。
そのほか、1on1ミーティングでよくある失敗例は次のとおりです。
- 上司が聞く側に回っていない
- 部下が主体的になっていない
失敗例のようにならないように、事前準備を確実に行いましょう。
1on1ミーティングで取り上げたい5つのテーマ
1on1ミーティングでは、話すテーマを事前に用意しておくことで、ミーティング時間をより有意義なものにできます。1on1ミーティングで取り上げたいテーマは、次の5つです。
- プライベートについて
- モチベーションについて
- 体調やメンタルの状態について
- 業務上の悩みや課題について
- 将来のビジョンについて
ただし、テーマは部下の状況や個性に応じて選択することが大切です。1on1ミーティングを有意義なものにするためにも、ここで紹介するテーマをぜひ参考にしてください。
1.プライベートについて
1つめが、プライベートについての話題です。プライベートの話題は、1on1ミーティング開始時のアイスブレイクとして役立ちます。
<質問の具体例>
- 「休みの日は何をして過ごしているの?」
- 「どんな趣味があるの?」
- 「最近買ってよかったものってある?」
好きなものや趣味など、仕事以外の情報を互いに共有することで、それぞれの個性や考え方を知るきっかけになります。1on1ミーティングは上司と部下の関係で行う面談でもあるため、話のきっかけ作りとして身近なことなどを聞いてみるようにしましょう。
2.モチベーションについて
2つめが、モチベーションについてです。モチベーションは働きがいに直結するテーマでもあるため、部下のモチベーションが低下している原因などがわかれば、より適切なフィードバックを実施できます。また、ヒアリングした課題に対して一緒に話し合うことで、信頼関係の構築にも役立てることが可能です。
<質問の具体例>
- 「業務でストレスになっていることはある?」
- 「業務で不安に思っていることはあるの?」
- 「業務で自信がない部分は?」
- 「最近うまくいった仕事はなにかある?」
- 「仕事でおもしろいと思っていることは?」
- 「どんなときにモチベーションが上がっていると感じる?」
ほかにも、最近の業務への成果を伝えたり、社内の評価を伝えたりするようにしましょう。なお、表向きには問題がないように見える部下ほど、気を配る必要があることに注意してください。
3.体調やメンタルの状態について
3つめが、体調やメンタルに関する話題です。心身の健康状態は、モチベーションや離職につながるため重要な要素といえます。
<質問の具体例>
- 「仕事上でストレスに感じていることはある?」
- 「業務の人間関係で困っていることはない?」
- 「家ではしっかり休めている?」
部下の業務や人間関係について具体的に確認するようにしましょう。
4.業務上の悩みや課題について
4つめが、業務上の悩みや課題についてです。部下の個人的な課題について話していきましょう。
<質問の具体例>
- 「会社やチームに対してなにか不満はある?」
- 「仕事で行き詰まっていることはある?」
- 「チームで一緒に働くうえで課題と思っていることはある?」
- 「何が改善されればチームワークが今よりよくなると思う?」
部下が抱える課題に向き合うことで、不安や不満の解消に期待できます。
5.将来のビジョンについて
5つめが、部下の将来のビジョンについてです。部下が持っている目標を掘り下げていきましょう。短期的な目標や将来のビジョンについて話し合うことは、部下のモチベーション向上や自立心を促すことにつながります。
そのためには、会社やチームの方向性を共有しておくことが重要です。お互いが納得のいく形で目標をすり合わせておけば、認識のズレや離職を回避できます。
<質問の具体例>
- 「1年後にはどんなことを達成していたい?」
- 「目標にしたいことは?」
- 「社内で将来やりたい業務はある?」
対話により、部下が自身のキャリアに目を向けて自律を促せるようにしましょう。
1on1ミーティングを成功させるためのポイント
1on1ミーティングを成功させるためのポイントは次の2つです。
- 1on1に必要なスキルを習得する
- 部下の個性に応じたサポートを行う
1on1ミーティングを成功させ意義あるものにするためには、上司側のスキルが求められます。また、指導は画一的なものではなく、個々の個性に応じたものであることも重要です。ポイントを確実に押さえて、1on1ミーティングを成功させましょう。
1on1に必要なスキルを習得する
成功に向けたポイントの1つめが、1on1ミーティングに必要なスキルの習得です。
1on1ミーティングは、ただ部下の悩みや相談を聞くだけの場ではありません。聞いた内容を振り返って部下にフィードバックを行うことで、有意義なものにできます。
1on1ミーティングで求められるスキルとしては、次の3つが必要です。
- コーチングスキル
- ティーチングスキル
- フィードバックスキル
コーチングスキルとは、コミュニケーションスキルの1つです。対話や質問を通して部下に気づきや自主的行動を促す手法で、部下の話を聞きながら、その内容を深く掘り下げられるように会話を誘導します。
そのため、上司は聞き役に徹することが重要です。アドバイスや解決策、解答を一方的に与えないようにしましょう。
ティーチングスキルとは、知識やスキル、ノウハウなどを教える技術のことです。部下が知らないことがあったり、初めての問題に直面したりしている場合に効果を発揮します。
ただし、1on1ミーティングは部下の自主性を育てるためのものです。コーチングスキルを優先するようにしましょう。
フィードバックスキルとは、部下との考えの違いを埋めるための技術です。いくら部下とはいえ、配慮なく指摘をすると失礼に当たる可能性もあるため、部下へのリスペクトを持ったうえで実施するようにしましょう。
部下の個性に応じたサポートを行う
部下は性格や仕事の習熟度、置かれている状況などがそれぞれ異なります。1on1ミーティングでサポートを行う場合は、部下の個性に応じた内容を意識するようにしましょう。そのためにも、日頃から部下が働く姿を観察し、特性を把握しておくことが重要です。
個人の特性に合わせたサポートに役立つ考え方として、SL理論が挙げられます。SL理論とは、リーダーシップを指示型・説得型・参加型・委託型の4つに分類し、相手の状況に自らのリーダーシップを合わせる方法です。それぞれの型における指示の必要性は、次のようになっています。
- 指示型:指示を細かく出す
- 説得型:説明したうえで、疑問に答える
- 参加型:問題解決などを支援する
- 委託型:行動遂行について一任する
必要とするコミュニケーションの量は、説得型、参加型が高めで、指示型・委託型は低めになっています。部下がどの型に該当するのかを把握し、それぞれに合わせたサポートを行うことで1on1ミーティングが効果的なものになるはずです。
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まとめ
1on1ミーティングは上司・部下が行う1対1の対話形式の面談です。VUCA時代の到来や労働人口の減少、働き方の多様化などにより、注目されています。
1on1ミーティングを実施することで、部下の成長につながったり信頼関係が構築されたりするなど、さまざまなメリットを受けることが可能です。ただし、それらのメリットを享受するためには、正しい手順で1on1ミーティングを実施する必要があります。
記事で紹介したステップや注意点を理解して、部下の成長につなげましょう。
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