子会社管理の業務とは?ポイントや効率化のための方法を解説

2024.07.22

親会社による適切な子会社管理は、経営の安定と効率化を図り、グループ全体の価値を高めるために欠かせません。スムーズな子会社管理には、グループの特性にあった運営や管理が求められます。本記事では、子会社管理の対象業務や実施のポイント、効率化の方法などをわかりやすく解説します。

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子会社管理とは?

子会社管理とは?

子会社管理とは、親会社が子会社の経営を適切に管理し、グループ全体の業務効率と健全性を確保する取り組みを指します。主な目的は、財務経理、法務、内部統制などの間接業務をサポートすることです。

子会社管理の具体的な業務内容は、企業グループの規模や形態によって異なります。小規模なグループの場合、親会社が子会社の人員不足を補うなどの簡単なサポートに留まる場合もありますが、大規模なグループでは、より高度な子会社管理体制が必要です。

とくに親会社が上場企業の場合には、決算発表や法令遵守など、子会社にも厳格な基準に基づく管理が求められます。このように、子会社管理はグループ全体の経営効率と透明性を高め、リスクを最小限に抑えるために欠かせない業務です。

子会社管理の対象となる業務

子会社管理の対象となる業務

子会社管理の対象業務は多岐にわたります。代表的な5つの業務は以下のとおりです。

  • 財務管理
  • 事業計画
  • 法務関連業務
  • ブランディング
  • 人事制度の構築

それぞれの業務内容を解説します。

財務管理

子会社管理における重要な業務の1つが財務管理です。売上や費用の会計処理、資金状況の管理を通じて、子会社の財務状況を親会社が把握し、経営の安定を図ります。

親会社の役割は、子会社から提出される財務諸表をチェックし、会計処理の妥当性や収支状況、業績動向などを確認することです。単に数値をチェックするだけでなく、当期の出来事の反映や過去と比較した合理性のチェック、増減要因の分析など、親会社の専門的な知見を活かした支援も行います。このように、子会社の事業実態を的確に把握し、健全な事業運営を後押しすることが財務管理の主な役割です。

事業計画

事業計画策定のサポートも、子会社管理の重要な業務の1つです。親会社は、グループ全体の長期的な経営方針や基本戦略を明確にした上で、実現に向けた子会社ごとの事業計画の策定を支援します。その際、親会社は全体最適の視点から適切な指針を示しつつ、子会社の独自性や創意工夫を尊重するバランスが欠かせません。

また、策定した事業計画が適切に実行されているかをモニタリングし、必要に応じた見直しの支援も親会社の役割です。このように、親会社は子会社の自主性を尊重しつつ、グループ全体の方向性を常に意識した事業計画策定と進捗管理が求められます。

法務関連業務

親会社の法務部門による、子会社の法務関連業務のサポートも重要な業務です。とくに、複雑な法的問題やコンプライアンスの確保は子会社単独では対応できない場合も多く、親会社が統括することできめ細かく対応できます。

具体的には、法的な観点からの契約書レビューや社内規程の制定・改訂のサポート、訴訟案件が発生した際のグループ挙げての対応などが挙げられます。専門性が求められる法務関連業務は、親会社に人員を集中させることが、人員確保やコスト面で合理的です。一方、契約書レビューのような比較的軽微な業務は子会社内で完結できる体制を整備するなど、自立性と一体運営のバランスを常に意識した取り組みも求められます。

ブランディング

子会社を含めたグループ全体のブランディングは、企業価値や信頼度の向上につながる重要な取り組みです。消費者にとって、企業グループのブランド力は製品やサービスを選ぶ大きな判断材料になります。とくに、知名度で劣る子会社では、親会社の強力なブランド力を活用することで、信用力の向上が可能です。

親会社は子会社に対し、グループブランドの適切な活用やブランディングのあり方について指導・支援します。また、子会社が独自に確立したブランドでは、親会社ブランドとの組み合わせで相乗効果を生み出すアプローチも有効です。このように、グループ内で連携を図ることで、企業グループ全体のブランド力の向上が期待できます。

人事制度の構築

子会社の人事制度の構築や運用支援も、親会社による子会社管理の重要な役割の1つです。親会社と子会社の関係性によって対応は異なり、完全子会社の場合には、人事制度をグループで統一するケースも少なくありません。人事制度を共通化することで、グループの公平性や一体感が高められ、会社の枠を超えた人員の有効活用が可能です。

具体的には、企業年金や福利厚生の統一や新卒社員のグループ一括採用、人事システムの共通化などが挙げられます。一方、過度の共通化は子会社の独自性を損ないかねません。適切な人事ガバナンスを通じて、自主性の確保と全体最適のバランスをとることが重要です。

関連記事:人事制度とは?仕組みや目的、設計手順、最新トレンドなどを解説

子会社管理のポイントと注意点

子会社管理のポイントと注意点

親会社による子会社管理では、多岐にわたる業務に目が行き届かず、不備や不正などの問題が見過ごされがちです。実際に、上場企業の内部統制報告書では、2020年3月期からの2年間で報告された開示すべき重要な不備200件のうち、43%を子会社関連が占めていました。

こうした課題を解決するためには、グループガバナンスの確立とモニタリング機能の構築が不可欠です。それぞれの内容を解説します。

参考:PwC Japanグループ「内部統制報告書から読み解く子会社管理シリーズ」

グループガバナンスの確立

グループガバナンスとは、企業グループ全体を統制する仕組みのことです。

会社法では、株式会社と子会社からなる企業集団に、業務の適正を確保する体制を整備することが義務付けられています。2021年には、コーポレートガバナンス・コードが改訂され、これまで以上にグループガバナンスの強化が求められるようになりました。

子会社管理においても、グループ全体の経営理念や価値観を子会社に浸透させることは、不正や不祥事の発生を防ぐうえで重要です。そのためには、子会社管理に関するグループ全体の枠組み整備が欠かせません。

子会社管理の枠組みづくりでは、子会社のリスクや重要度に応じたガバナンスモデルの構築が重要です。子会社の出資比率やグループ戦略における位置付けなどを見極め、適切なレベルでのグループガバナンス体制の確立が求められます。

参考:e-Gov法令検索「会社法」

参考:金融庁「コーポレートガバナンス・コードと投資家と企業の対話ガイドラインの改訂について 」

モニタリング機能の構築

モニタリング機能の構築は、子会社の不正防止や検知のために重要な取り組みです。モニタリングによる牽制やチェックが不十分だと、子会社に不正会計や横領などの隙を与えることになります。

モニタリング強化の有効な手段の1つが、グループ全体の財務機能を集約管理するCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)の導入です。CMSを活用すれば、親会社が中心となって子会社を含むグループ全体の財務状態を的確に把握できます。子会社の資金の動きをリアルタイムで監視でき、不正の早期発見と是正が可能です。

CMSをはじめとした、グループ内でのツールやインフラの共通化がモニタリング機能の強化に役立ちます。

子会社管理業務を効率化するための方法

子会社管理業務を効率化するための方法

子会社管理業務を効率化する有効な方法の1つに、シェアードサービスの導入があります。シェアードサービスとは、グループ内の複数企業に共通する業務を集約し、共有する仕組みのことです。主に総務や経理・人事・法務・ITなどの、どの企業でも業務内容に大きな違いのない間接部門が対象になります。

間接部門の機能の集約により、重複業務の一元化によるコスト削減や、グループ全体の業務標準化による品質向上が可能です。また、グループ各社に散らばっていた業務を一か所に集中することで、ガバナンスの強化も期待できます。

一方、シェアードサービスには、業務の標準化やシステムの統合などの準備作業が必要となり、導入に多くの時間とコストが必要です。また、間接部門に従事していた従業員のモチベーション低下や社内に有識者がいなくなることによる弊害もあります。

シェアードサービスの導入を検討する際は、メリットとデメリットの双方を踏まえた判断が必要です。

管理業務をサポート!人事統合システム「ADPS」

管理業務をサポート!人事統合システム「ADPS」

グループの運営方針は企業によって千差万別です。子会社管理を効率的に進めるためには、さまざまなグループ運営に対応できる柔軟なシステムのサポートが欠かせません。

グループの人事管理業務の効率化にお悩みなら、カシオヒューマンシステムズ株式会社が提供する人事統合システム「ADPS(アドプス)」を検討してはいかがでしょうか。

ADPSは、親会社によるグループ会社全体の一括管理のほか、グループ各社での独立した運用や、両者を組み合わせた運用も可能です。たとえば、親会社による一括運用なら、グループの資源管理を一元化でき、横串集計やコスト削減を実現できます。

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まとめ

まとめ

子会社管理とは、親会社が子会社の経営を適切に管理し、グループ全体の業務効率と健全性を確保する取り組みです。主な業務に財務管理・事業計画・法務関連業務・ブランディング・人事制度の構築などがあります。親会社の専門的な知見を活かして、グループガバナンスとモニタリング機能を強化しつつ、子会社の自主性も尊重するバランスが重要です。

子会社管理を効率化する手段の1つとして、間接部門のシェアードサービスの導入が有効です。重複業務の一元化やプロセス標準化によるコスト削減と品質向上が期待できます。人事統合システムなど、グループ運営に合わせた柔軟なシステム導入も検討しましょう。

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カシオヒューマンシステムズ コラム編集チーム

カシオヒューマンシステムズコラム編集チームです。
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定期的に「人事部の皆様に必ず今後の業務に役立つ情報」を紹介しています。