所得税の計算はどうするの?所得税の基礎知識や計算方法、節税対策を解説

所得税を計算する際は、まず収入合計や所得金額・課税所得金額を算出します。2037年までは、復興特別所得税もあわせて課される点に注意が必要です。

本記事では、所得税の基礎知識や計算方法について具体例を交えて解説します。

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所得税とは

所得税とは、個人の所得に対してかかる税金のことです。1年間(1月から12月まで)に得たすべての所得から所得控除を引いた残りの課税所得に対象の税率を適用して算出します。

所得とは、給料や自分で商売して稼いだお金から、必要経費などを引いた金額のことです。性質に応じて、以下10種類の所得に分類できます。

  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

日本の所得税は、所得が多くなるにつれて段階的に税率が高くなり、納税者が各自の支払能力に応じて公平に税を負担する超過累進税率である点が特徴です。

また、財務省の発表によると、2023年度の予算における所得税額は約21兆円です。ピーク時(1991年度)に約26.7兆円であったことを踏まえると、所得税の税収は6兆円近く減少しています。

ここから、復興特別所得税の概要や、所得税と源泉所得税や住民税との違いについて確認していきましょう。

参考:国税庁「所得税のしくみ」
参考:財務省「税収に関する資料」
参考:財務省「Q 所得税について教えてください。」

復興特別所得税とは

復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興のための施策を実施するための財源を確保するための税金です。個人が所得税を納める際、通常の「所得税」に加えて「復興特別所得税」も納付する義務があります。

復興特別所得税が課される期間は、2013年から2037年までです。給与所得者の場合、給与から復興特別所得税が源泉徴収されています。

なお、所得税や復興特別所得税の計算方法については、後ほど詳しく説明します。

参考:国税庁「個人の方に係る復興特別所得税のあらまし」

源泉所得税と所得税の違い

源泉所得税とは、所得税のうち源泉徴収で納付されるものを指します。源泉徴収とは、事業者が従業員に給与を支払う際に一定率の金額を天引きして預かり、納税者本人(従業員)の代わりに所得税として納付する仕組みです。

会社員が受け取る給与所得は、基本的に源泉所得税として納付します。そのほか、退職手当や公的年金なども源泉徴収の対象です。

所得税の納税方法には、源泉徴収(源泉所得税)以外に、申告納税制度もあります。申告納税制度とは、納税者本人が所得を申告して確定した税額を、自ら納付する制度です。

所得税を源泉徴収で納付できない場合は、所得税の確定申告をしなければなりません。確定申告が必要なケースは、主に以下のとおりです。

  • 給与所得があり一定の要件を満たす場合
  • 所得が公的年金にかかる雑所得のみの場合
  • 退職所得がある場合
  • 上記3つ以外で、所得税額から配当控除額を引いた金額がプラスの場合

基本的に、給与所得がある場合は年末調整で所得税額を精算するため申告は不要です。ただし、給与収入が2,000万円を超えるなど一定要件を満たす場合に、自ら申告して納税しなければなりません。

住民税と所得税の違い

住民税が地方自治体に納付する地方税(市町村民税・都府県民税)であるのに対し、所得税は国に納付する国税である点が主な違いです。また、住民税は所得のあった年の翌年度に課税されるのに対し、所得税は所得があった年に課税される点も異なります。

住民税とは教育や福祉、消防・救急、ゴミ処理など、地域に住む人たちへ提供する行政サービスをまかなうための税金です。該当する市区町村に住所がある個人が負担する個人住民税と、法人が負担する法人住民税があります。

個人住民税の税率は、均等割と所得割の2つです。均等割は、非課税限度額を上回る人に定額の負担を求めるもの、所得割は納税義務者の所得金額に応じた税額の負担を求めるものを指します。

均等割の金額は、市町村民税が3,500円、道府県民税が1,500円です。東日本大震災を踏まえて各自治体の防災費用を確保するため、2014年度から2023年度までそれぞれ500円ずつ引き上げられています。

所得割の税額は、納税義務者の所得金額に対して一律10%です。うち、市町村民税の標準税率が6%、道府県民税が4%とされています。ただし、指定都市に住所がある場合は、市民税が8%、道府県民税が2%の比率です。

給与所得者の場合、原則として住民税の申告は必要ありません。ただし、一部の給与所得者や、一年間に給与所得以外の所得がある人は、基本的に確定申告か住民税の申告が必要です。

参考:財務省「住民税について教えてください。所得税とはどう違うのですか?そもそも国税と地方税の違いはなんですか?」

所得税の計算方法とは

所得税を計算するには、収入や課税所得金額などを算出しなければなりません。所得税を計算する際の主な流れは、以下の4つのSTEPです。

  • 収入の合計額を計算する
  • 所得金額を計算する
  • 課税所得金額を計算する
  • 所得税額を計算する

毎年源泉徴収されている会社員でも、年によって確定申告が必要なケースがあるため、所得税の計算方法を理解しておくことが大切です。ここから、各STEPの概要について計算例を交えて詳しく解説します。

(1) 収入の合計額を計算する

1年間(1月から12月まで)の収入合計額を計算します。

給与所得者の場合、1年間に受け取った給料などが収入の具体例です。毎年勤務先から受け取る「給与所得の源泉徴収票」に記載の「支払金額」が収入に該当します。

会社員でも、副業で給料以外に不動産収入や事業収入などがある場合は、合計せず別途計算が必要です。給与を複数から得ている場合は合算します。

一方、個人事業主の場合は1年間に発生した売上金額が収入です。原則として発生主義で処理するため、取引が発生した時点で売上を計上しなければなりません。
例えば、今年12月に商品を取引先に提供し代金の入金が翌年2月の場合、売上計上は今年度での計上になります。

現金の受け渡し時点で売上計上する「現金主義」を採用したい場合、事前に税務署へ「現金主義による所得計算の特例を受けることの届出書」を提出するなど、特例を受けるための手続きが必要です。

また、小規模事業者に該当しなければ、特例を受けることはできません。小規模事業者とは、その年の前々年分の不動産所得の金額及び事業所得の金額(事業専従者給与(控除)の額を必要経費に算入しないで計算した金額)の合計額が300万円以下の事業者等を指します。

なお、1年間で給料などを700万円受け取った給与所得者のAさん、個人事業で900万円の売上を出したBさんを例にとって、計算例を説明していきます。

参考:国税庁「[手続名]現金主義による所得計算の特例を受けるための手続」

(2) 所得金額を計算する

収入の合計額から経費を引いて、所得金額を計算します。

給与収入が660万円以上の給与所得者の場合(Aさん)、給与などの収入金額から下記の表を使って給与所得控除額を引いた金額が給与所得金額です。ただし、給与収入が660万円未満の場合、下記の表ではなく最新年度の「所得税法別表第五(年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表)」で計算しなければなりません。

給与などの収入金額(給与所得の源泉徴収票の支払金額) 給与所得控除額
1,625,000円まで 550,000円
1,625,001円から1,800,000円まで 収入金額 × 40% - 100,000円
1,800,001円から3,600,000円まで 収入金額 × 30% + 80,000円
3,600,001円から6,600,000円まで 収入金額 × 20% + 440,000円
6,600,001円から8,500,000円まで 収入金額 × 10% + 1,100,000円
8,500,001円以上 1,950,000円(上限)

参考:国税庁「No.1410 給与所得控除」

給与収入が700万円の場合、上記の表から給与所得控除額は180万円と計算できます(700万円×10% + 110万円)。そのため、給与所得額は520万円です(700万円 - 180万円)。

また、給与収入が660万円以上であれば、下記速算表でより簡単に計算できます。

給与等の収入金額(給与所得の源泉徴収票の支払金額) 給与所得の金額
6,600,000円以上8,500,000円未満 収入金額 × 90% - 1,100,000円
8,500,000円以上 収入金額 - 1,950,000円

参考:国税庁「No.1410 給与所得控除」

給与収入が700万円の場合、速算表を使っても給与所得額520万円と計算可能です(700万円 × 90% - 110万円)。

個人事業主の場合(Bさん)、収入から売上原価や該当する収入を得るために要した費用(必要経費)を引いて事業所得を算出します。収入が900万円でも、必要経費が600万円かかっていれば事業所得は300万円です。

なお、所得には課税所得と非課税所得があります。障害者等の少額預金の利子など、非課税所得に該当する金額は所得金額の計算に含まれません。

参考:国税庁「令和4年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」

(3) 課税所得金額を計算する

算出した所得金額から各種所得控除額を引いて課税所得金額を計算します。所得控除とは、各納税者の個人的事情で発生した金額を加味して所得税額を計算するための数値です。

所得控除は、以下の15種類があります。

所得控除名 概要
雑損控除 災害または盗難もしくは横領で対象の資産が損害を受けた場合
医療費控除 自分や自分と同一生計の配偶者、その他の親族のために医療費を支払い、金額が一定額を超える場合
社会保険料控除 自分や自分と同一生計の配偶者、その他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金などを支払った場合
生命保険料控除 生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合
地震保険料控除 特定の損害保険契約等にかかる地震等損害部分の保険料または掛金を支払った場合
寄附金控除 国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、「特定寄附金」を支出した場合
障害者控除 自分や、同一生計配偶者または扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合
寡婦控除 自身が寡婦である場合
*原則としてその年の12月31日の現況で「ひとり親」に該当せず、いくつかの要件を満たす場合
ひとり親控除 ひとり親に該当する場合
勤労学生控除 勤労学生に該当する場合
配偶者控除 所得税法上の控除対象配偶者がいる場合
配偶者特別控除 配偶者控除の適用が受けられないケースで、配偶者の所得金額が配偶者特別控除の要件を満たす場合
扶養控除 所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合
基礎控除 誰でも一定の金額を引ける制度

参考:国税庁「No.1100 所得控除のあらまし」

所得控除の種類によって、計算方法や金額が異なります。今回は、給与所得者のAさんが配偶者控除、個人事業主のBさんが医療費控除に該当するケースを考えてみましょう。

配偶者控除の金額は以下のとおりです。

控除を受ける納税者本人の合計所得金額 一般の控除対象配偶者の控除額
900万円以下 38万円
900万円超950万円以下 26万円
950万円超1,000万円以下 13万円

参考:国税庁「No.1191 配偶者控除」

Aさんの給与所得は520万円のため、配偶者控除額は38万円で計算されます。そのため、課税所得金額は434万円です(520万円 - 38万円 - 48万円)。

また、医療費控除の金額は以下の式で計算できます。

(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額) - 10万円(総所得金額が200万円未満の場合、総所得金額 × 5%)

Bさんが支払った医療費が20万円(補てんされる金額なし)の場合、医療費控除額は5万円と計算できます。そのため、課税所得金額は247万円(300万円 - 5万円 - 48万円)です。

なお、基礎控除は誰にでも適用できるため、下記表を参考にいずれも48万円を控除しています。

納税者本人の合計所得金額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

参考:国税庁「No.1199 基礎控除」

(4) 所得税額を計算する

以下の「所得税の速算表」を参考に、課税所得額に所定の税率をかけて該当する控除額を引くことで所得税額を計算できます。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」

Aさんは課税所得額が434万円のため、所得税額は約44万円です(434万円 × 20% - 42.75万円)。一方、課税所得額247万円のBさんには、約15万円の所得税が課されます(247万円 × 10% - 9.75万円)。

基準所得税額の計算方法とは

復興特別所得税を計算する際は、まず基準所得税額を計算しなければなりません。基準所得税とは、所得税額から「所得税額から差し引かれる金額(税額控除)」を差し引いた後の金額のことです。

税額控除には、以下のような種類があります。

  • 配当控除
  • (特定増改築等)住宅借入金等控除
  • 住宅耐震改修特別控除
  • 住宅特定改修特別税額控除
  • 認定住宅等新築等特別税額控除
  • 外国税額控除

配当控除とは、株主や出資者として法人から剰余金や利益などの配当を受け取った場合(配当所得)、原則として10%または5%に相当する金額を控除する制度のことです。

また、(特定増改築等)住宅借入金等控除は、住宅ローンを利用してマイホームを新築・取得・増改築した場合に、要件を満たせば一定額を控除できる制度を指します。
2024年1月1日から2025年12月31日までの間に居住する住宅を取得した場合、10年間にわたって、年末残高等(上限2,000万円)×0.7%を控除できます。たとえば、所得税額が44万円で、住宅ローンの年末残高が1,800万円の場合、基準所得税額は31.4万円です(44万円 - 1,800万円 × 0.7%)。

参考:国税庁「No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」

復興特別所得税額の計算方法とは

復興特別所得税額の計算式は以下のとおりです。

  • 基準所得税額 × 2.1%

基準所得税額が30万円の場合、復興特別所得税額は6,300円と計算できます(30万円 × 2.1%)。

なお、2037年までは復興特別所得税額に基準所得税額を加えた金額が、最終的に納付する所得税額です。今回のケースでは、306,300円(300,000円 + 6,300円)が最終的に納付する金額となります。

参考:国税庁「個人の方に係る復興特別所得税のあらまし」

所得税の申告・納付方法

所得税の申告方法や納付方法は、個人事業主か給与所得者かによって異なります。そこで以下の3つの場合について紹介します。

  • 個人事業主のとき
  • 給与所得者のとき
  • 給与所得と事業所得が両方あるとき

個人事業主のとき

個人事業主の場合、自ら確定申告で所得税を申告しなければなりません。確定申告できる期間は、所得が生じた年の翌年2月16日から3月15日までです。

万が一確定申告を怠ったり、期限を過ぎたりすると加算税や延滞税が課される可能性があるため注意しましょう。確定申告書は、インターネットを利用したe-Tax(国税電子申告・納税システム)、所轄税務署への郵送、所轄税務署受付への持参により提出できます。

また、期限内(申告と同じく3月15日まで)に自ら納付しなければなりません。納付方法は、以下のとおりです。

  • 振替納税(事前に登録した預貯金口座からの自動振替)
  • ダイレクト納付(e-Taxで登録した口座から即時または指定した期日に引き落とし)
  • インターネットバンキングやATMで納付
  • クレジットカード納付
  • スマートフォンアプリ納付
  • QRコードを利用したコンビニ納付
    *QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です
  • 窓口納付(金融機関または所轄税務署窓口で納付)

なお、振替納税の場合、引き落としされるのは4月です(2022年度:2023年4月24日)。

参考:国税庁「令和4年分 確定申告特集」

給与所得者のとき

給与所得者の場合、原則として勤務先で年末調整をすることで申告が完了し、会社が給料から天引きして所得税を納付します。年末調整とは、毎月の給与から源泉徴収した所得税と復興特別所得税の合計額と、1年間に納めるべき所得税および復興特別所得税の額との差額を精算するものです。

年末調整の結果、1年間に支払った税額合計額が実際の所得税額より多ければ還付され、実際の所得税額より少なければさらに徴収されます。

なお、給与所得者であっても、1年間に支払うべきことが確定した給与の総額が2,000万円を超えるなど一定要件を満たす場合は、確定申告が必要になるため注意が必要です。

給与所得と事業所得が両方あるとき

副業を理由に、給与所得と事業所得が両方ある場合、勤務先で年末調整した後に自分で確定申告もしなければなりません。年末調整は給与所得にしか対応していないためです。

副業で得た収入が20万円以下の場合、給与所得と事業所得が両方あるときでも確定申告する必要はありません。ただし、住民税については所得税とは異なるため各自治体に申告が必要になります。

個人事業主が所得税を節税する方法とは

個人事業主は、工夫次第で所得税を節税する方法がいくつかあります。具体例は以下のとおりです。

  • 青色申告する
  • 経費を漏れなく計上する
  • 掛金全額控除対象の制度に加入する
  • 減価償却の特例を利用する
  • 所得次第で法人化も検討する

それぞれ解説します。

青色申告する

青色申告とは、確定申告の種類の1つです。一定水準の記帳に基づいて申告をする場合に、所得金額の計算などについて有利な取り扱いが受けられる制度です。青色申告して要件を満たせば、所得から55万円(65万円)控除できます。

※電子帳簿保存やe-Taxによる電子申告を行っている場合

青色申告するには、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。新規開業の場合は、事業開始から2か月以内の提出が必要です。

そのほかにも、青色申告には同一生計の配偶者や親族のうち、年齢が15歳以上でその青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与を条件次第で必要経費に算入できるメリットがあります。事業所得に赤字がある場合には、損失額を翌年以降3年間にわたって繰り越して所得金額から控除できる点もメリットです。

参考:国税庁「No.2070 青色申告制度」

経費を漏れなく計上する

必要経費を漏れなく計上すれば収入から引ける金額が増え、事業所得の減額(節税)につながります。原則として、事業に関係する費用であれば経費にできるため、見落としているものがないか確認しましょう。

たとえば、自宅を店舗や事務所として使用している場合でも、業務遂行上直接必要であったと区分できる場合は、家賃や水道光熱費などを一部経費として計上できます。

参考:国税庁「No.2210 やさしい必要経費の知識」

掛金が控除対象の制度に加入する

掛金が控除対象の制度に加入すれば、保障を受けられる上に節税効果も期待できます。掛金が控除される制度の具体例は以下のとおりです。

  • iDeCo
  • 国民年金基金
  • 小規模企業共済

iDeCoとは、自分が拠出した掛金を自分で運用し、資産を形成する年金制度です。国民年金基金は、国民年金とあわせて自営業者などの老後の所得保障の役割を担います。小規模企業共済とは、小規模企業や個人事業主の積立による退職金制度です。

減価償却の特例を利用する

減価償却とは、設備投資などにかかった費用を一定期間にわたって配分する処理のことです。青色申告者は、条件を満たす場合に取得価額が30万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産)を均等償却せずに、一括で必要経費に算入できます。

黒字計上した年は、減価償却の特例を利用した方がよいことがあります。ただし、一括で必要経費に算入するとその分利益が減るため、銀行の融資などを検討している場合は注意が必要です。

所得次第で法人化も検討する

所得が増えた場合、個人事業主でいるよりも法人化した方がよいことがあります。個人事業主に課される所得税は所得が多くなるほど税率が上がる累進課税であるのに対し、法人に課される法人税は800万円を超えると税率が一律であるためです。

ただし、会社を設立するには費用がかかります。そのため、会社設立のコストや手間を踏まえて、法人にするか決断することを推奨します。

また、法人化して従業員を雇う場合、給与管理の手間もかかります。人事・給与の事務作業を効率化したい場合は、人事統合システムの導入も検討しましょう。

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カシオヒューマンシステムズの給与・所得税の計算自動化事例

企業経営者や人事・経理担当者にとって、給与や所得税の計算に手間や労力がかかることが課題でしょう。そこで、ここからカシオヒューマンシステムズのADPSで給与や所得税の計算を自動化した事例を紹介します。

給与計算の時間短縮に成功

全国で「コーナン」、「コーナンPRO」などのホームセンターを展開するコーナン商事株式会社のADPS導入事例です。

コーナン商事株式会社では、1999年からADPSを活用しています。システムをリニューアルする際も、7社の候補を比較した上で、ADPSをバージョンアップすることにしました。

人事部の業務はマスター登録や異動手続き、社会保険・労働保険の手続きなど多岐にわたるため、業務負担をいかに軽減するかが課題でした。とくに、リニューアル前に従業員の人事情報取り込みに約1時間、計算に約30分かかっていた作業の短縮が急務だったとのことです。

リニューアル後は、取り込みに約15分、計算に約5分まで劇的に短縮できました。また、修正があった場合に前の画面に戻れるため、修正時間も半分以下の時間に短縮できています。

結果的に、新システムのパフォーマンスが業務改善に大きく貢献しているとのことです。

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まとめ

所得税の計算は、1年間に得たすべての所得から所得控除を引いた残りの課税所得に、対象の税率を適用します。また、2037年までは所得税のほかに基準所得税額に2.1%をかけた復興特別所得税の納付も必要です。

所得税の申告・納付方法は、個人事業主と給与所得者で異なります。個人事業主は自分で確定申告して納付が必要なのに対し、給与所得者は年末調整で完結することが一般的です。

ただし、給与所得者は会社が代わりに所得税を納付するため、人事・総務担当者などに負担がかかります。人事給与業務の負荷が高い場合は、人事統合システムの導入を検討しましょう。

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カシオヒューマンシステムズ コラム編集チーム

カシオヒューマンシステムズコラム編集チームです。
人事業務に関するソリューションを長年ご提供してきた知見を踏まえ、
定期的に「人事部の皆様に必ず今後の業務に役立つ情報」を紹介しています。